軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

444.ここから先には行かせませんっ!

「【輝石】持ちは地下に進んだぞ! 追ってヤツらを潰して、守り神を奪い取るんだ!」

「いまだ! 撃てぇぇぇぇ!! 相手は一人だ、俺たちならやれる!」

「「「オオオオオオ――――ッ!!」」」

迫り来る多量のフロンテラ陣営から放たれる、矢の雨。

「【バンビステップ】!」

一人駆け出したメイは、これを置き去りにして敵前衛のもとへ突撃を仕掛けに行く。

「【アロー・エクスプロード】!」

「【サンダーアロー】!」

飛び交う必殺の矢を【遠視】が見つけ、速いステップで踊るようにかわす。

「【二連砲】【ファイアシェル】!」

「【ウィンドストライク】!」

【聴覚向上】は、今まさにメイに杖を向けた魔導士の位置を的確に把握。

「【アクロバット】からの……【アクロバット】!」

魔法が放たれた瞬間にはもう、その場からの回避を終えている。

「お返しは【投石】! からの【投石】だーっ!」

反撃の【投石】で魔導士たちを弾き飛ばし、メイはさらに前へと突き進む。

「【ソニックステップ】! 【三日月斬り】!」

前衛との接敵。

最速で飛び込んできた剣士の放つ剣閃、メイは側方宙返りでそのギリギリ上を超えていく。

「確かにめちゃくちゃ速いけど、これだけ人数いりゃさすがにどうにかなるだろ!」

「そうだよな!」

噂でしかメイを知らない二人のフロンテラ勢が、そう言って武器を構えたところで、着地したメイが剣を振り上げた。

「くるぞぉぉぉぉ――――っ!」

「「「避けろぉぉぉぉ――――!!」」」

「「……え?」」

『知っている』者たちが、一斉に声を張り上げる。

「【ソードバッシュ】!」

「「「う、うおおおおおおおお――――っ!?」」」

荒れ狂う猛烈な衝撃波が、『知らなかった』大量の前衛たちを一撃で消し飛ばす。

「な、なんだよあれ……っ!?」

「メイちゃんの【ソードバッシュ】を【ソードバッシュ】と思うな! 天災の一つだと考えるんだ!」

「どういう事だよそれはッ!?」

「いいから攻撃を続けろ! 【エーテルバースト】!」

「【ラビットジャンプ】!」

放たれた魔力光の爆発を大きな跳躍で飛び越えたメイは、さらにもう一発。

「いきますっ! ジャンピング【ソードバッシュ】だぁぁぁぁ!」

「「「ぐああああああ――――っ!!」」」

「左右から行け! 囲む形で叩くんだっ!」

メイの恐ろしい勢いを前に、早くもフロンテラとアングルの垣根がなくなる。

両陣営の高速移動スキル持ちたちが、一斉に左右に分かれた。

対してメイは、【蒼樹の白剣】を大きく引くと――。

「おおきくなーれ! 【フルスイング】――――っ!!」

「「「うわああああああ――――っ!!」」」

そのまま一回転。

しなるムチのような軌道で放たれた薙ぎ払いが、囲みの前衛部隊をまとめて弾き飛ばす。

「「来いっ! サーベルタイガー!」」

押されていく前衛組。

流れを変えるために従魔士二人が呼び出したのは、体高三メートルに届こうかという大型のサーベルタイガー。

強く地を蹴り、猛烈な勢いでメイに飛び掛かっていく。

「【ゴリラアーム】!」

するとメイは倒れたまま放置されていた石柱を抱え上げ、飛び掛かってくる二体の魔獣を前に構えた。

「それっ! それっ!」

一頭目のサーベルタイガーの横っ面を叩いて飛ばし、二頭目の頭に石柱をそのまま叩き付ける。

そしてそのまま、グルッと一回転。

「それぇぇぇぇぇぇ――――っ!!」

見据えていたのは空中。

投じた石柱はそのまま、空からこっそりメイを狙ったつもりだったグリフォンに激突して地に落ちる。

「止まるな! 一気に押し込むんだ!!」

すると従魔士たちの勢いに押されたアングル陣営の召喚術師たちが、同時に召喚魔法を発動。

地上に現れた四つの魔法陣から飛び上がったのは、色違いのドラゴンたち。

「やれぇぇぇぇぇぇ――――っ!!」

四体のドラゴンが、一斉に放つ業火。

混ざり合ったその一撃は、場にいた者たち全員が息を飲むほどの勢いだ。

灼熱の豪炎が、辺りを深紅に染め上げる。

「やった!」

「やったぞ!」

拳を突き上げ、歓喜の声を上げる召喚術師たち。

炎が消えると同時に、表情を愕然とさせる。

「ウソ……だろ……」

巻き起こる風に、払われる炎。

火の粉となって消えていく業炎の中には、【王者のマント】を身にまとい、仁王立ちするメイの姿。

「ここからは――――一気にいきますっ!」

この言葉を聞いた前衛組、「今までのは『一気』じゃねえの!?」と震えあがる。

そしてその言葉に思わず足を止めてしまったのが、大きな失敗となった。

「――――【蓄食】!」

メイが取り出したのは【知力】上げのリンゴ。

「えへへ、リンゴはちょっとだけおしゃれな感じかもっ!」

これをうれしそうに10個、まとめて使用したところで頭装備も交換。

「【装備変更】っ!」

メイの耳が【猫耳】から【狐耳】に変わり、尻尾も長く大きなものに変わる。

「ビ、ビビるな! まだこっちの方が圧倒的に数が多いんだ! 何も恐れることはねえ! とにかく全力をぶつけて叩き潰すんだ!」

「行け行け行けぇぇぇぇっ!!」

「「「ウオオオオオオ――――ッ!!」」」

再び気合を入れ直し、叫び声と共に駆け出すフロンテラ陣営とアングル陣営のプレイヤーたち。

対してメイは、大きく右手を上げると――。

「それでは――――よろしくお願い申し上げますっ!!」

噴き出す風に、マントがバサバサと揺れ出した。

足元に現れる大きな魔法陣。

そこから猛烈な水しぶきと共に飛び出してきたのは、巨大な一頭のクジラ。

「お、おお……」

その壮大さに硬直するプレイヤーたちのど真ん中に、容赦のない体当たりを叩き込む。

「うおおおおおおおお――――――ッ!!」

さらに巻き起こった猛烈な水流が、敵の前衛を押し流した。

前衛後衛も、フロンテラもアングルも関係なく、大量のプレイヤーがまとめて吹き飛んだところで、運良く生き残って者たちは信じられないものを見る。

「なんで……もう一体」

同じく宙に舞う、もう一体の巨大なクジラの姿。

「なんでもう一体いるんだよぉぉぉぉ――――っ!?」

上がる悲鳴。

【狐耳】の持つスキル【幻影】によって生み出されたもう一体の召喚獣は、続けざまに敵陣の真ん中に着弾。

盛大な青の炎を巻き起こし、付近を燃やし尽くして消える。

舞い落ちてくる青い火の粉の中、勢力の6割以上を失った両陣営プレイヤーたちは呆然とする他ない。

「ありがとーっ!」

一方メイは帰っていくクジラに大きく手を振り、クジラも大きく一つ潮を吹いて帰っていくのだった。

前衛後衛もなくなり、大きく数を減らした両陣営のプレイヤーたち。

「……行くぞ」

散り散りになった者たちの背後からやってくるのは、最後尾にいたトッププレイヤー軍団。

ついに、七新星の3人が動き出した。