軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

443.遺跡にたどり着きました!

見事二つの【輝石】を手にしたメイたちは、浄化された超巨大スライムの毒だまりを越えて進む。

動物たちが示す方向へ進んで行けば、【輝石】を奉じる遺跡があるはずだ。

その祭壇で守り神を目覚させるのが、このクエストの目的。

「思ったより順調ね」

「そうですね。なんだか静かです」

守り神の使役には、二つの【輝石】が必要。

そして敵陣営に対して有利が取れるという点を考えれば、もっと騒がしそうなものだ。

霧の密林を進んでいた時とは、なんだか雰囲気が違う。

陽光輝くジャングルを、メイたちは素早く進んで行く。

「あれがそうかしら」

見えてきた密林の遺跡は広く、元々は石造りの柱や神殿らしきものが整然と並んでいたことが分かる。

浸食してきた木々や植物にかなりを飲み込まれているが、その風情はまだしっかりと残っている。

「すごーい……」

「植物に飲み込まれていると、古代神殿感が強く出てきますね」

「本当ね」

参道のような造りの道を、メイたちは並んで進んで行く。

そして、祭壇へと続く道の真ん中付近まで来たところで――。

「ッ!!」

気づいたメイが、とっさに空を見上げる。

そこにはどこからか飛んできた、無数の矢。

「矢が降ってくるよーっ!」

「「「う、うおおおおお――っ!?」」」

着弾と共に巻き起こる爆発。

メイの早い発見と指摘によって、負傷者はなし。

しかし代わりに聞こえ出したのは、無数の騒がしい足音。

「わわわわ! いっぱい来たよー!」

見えたのは、赤い腕章をつけたプレイヤーたち。

参道からわずかに離れた建物に隠れていたフロンテラ陣営が、一斉に飛び出してくる。

「行きましょう! メイ、道を作って!」

「りょうかいですっ! 【ソードバッシュ】!」

「「「うおおおおおお――っ!?」」」

遺跡の奥地へと向けて放つ衝撃波に、大慌てで逃げ出すフロンテラ陣営。

その隙を突いて、テーラ陣営は走り出す。

遺跡内に待ち伏せていたフロンテラ陣営プレイヤーは、なんと約3000人。

それは深蒼の鎧剣士アルマーダによって、先んじて遺跡へと集められていた者たち。

狙いはもちろん、祭壇に奉じられる前に【輝石】を奪取することだ。

「とんでもない人数だなおい!」

その勢いに、思わず悲鳴を上げる。

遺跡奥の門を抜けた先には、左右を密林に囲まれた石造りの長い道。

そこを駆け抜ければ祭壇だ。

「行きましょう!」

追って来る無数のプレイヤーを前に、大慌てで門を駆け抜けていくメイたち。

だが、状況はさらに悪化する。

「え、ええ……えええええーっ!?」

見えたのは、フロンテラ陣営の動きや情報を得てやって来ていたアングル陣営の一団。

木々の間から飛び出してくる青い腕章のプレイヤーは、その数約2000人。

「いくぞ! ここで【輝石】を奪うんだ!」

「「「オオオオオオオオ――――ッ!!」」」

「とにかく今は祭壇に向かいましょう!」

怒涛の勢いで追って来る、両陣営のプレイヤーたち。

石作りの参道を駆けていくと、そこにあったのは倒れたままの石柱たちと、紋様の刻まれた石積みの円陣。

直径50メートルほどの巨大な円陣の中心部分がにわかに輝き出し、手にした【輝石】と共鳴し始める。

「たどり着いた時点で守り神が目覚めるってわけじゃなさそうね……っ!」

どうやら円陣の中央部分が仕掛けになっていて、地下の祭壇へ向かう形になっているようだ。

道がつながるのを待つ時間が、これ以上ないほどにもどかしい。

このままでは、追いつかれるのも時間の問題だ。

「……レンちゃんツバメちゃん。これ、おねがいしますっ!」

するとメイはそう言って、手にした二つの【輝石】をレンとツバメに手渡した。

「メイ?」

「絶対に、守り神さまを助けようね!」

迫り来る大軍を前にそう言って、レンたちに背を向ける。

そして剣を手に、大量の敵陣営に向かい合う。

「……行きましょう! メイが足止めしてくれているうちに、守り神のところへ!」

レンたちが円陣の中央部に乗ると、光の紋様が点滅。

そのまま石床が落ちくぼみ、螺旋階段へと変化していく。

「メイさん、必ず私たちが守り神を目覚めさせます!」

「必ず戻ってこよう!」

「みなさん、よろしくお願いしますっ!」

元気に頭を下げるメイを前に、さっそくレンたちは地下へと降りていく。

一人残ったメイの目に映るのは、怒涛の勢いで迫り来るフロンテラ陣営とアングル陣営のプレイヤーたち。

「……始まるぞ」

そして地鳴りを起こしながら駆けていくプレイヤーたちの背後に続くのは、七新星の3人。

「それじゃ僕たちも、行っちゃいますかぁ」

「【輝石】は、ここでいただくっす」

翔二郎はそう言って、手持ちの剣を確認し始める。

「でも、とんでもないことになったっすね。アングル陣営もこんなに集まってたなんて」

「守り神を得た後、すぐにその力を利用することが可能であれば、ここでアングル陣営も叩くことができるということだな」

そう言って、かすかに笑うアルマーダ。

幸い、アングル側のリーダーたちは遺跡にたどり着けていない。

大量の敵勢力によって消耗しきったメイを討ち、そのまま守り神を手に入れれば、集まっている大量のアングル陣営プレイヤーたちにぶつけることもできる。

それはテーラ、アングルの両陣営にダメージを与える最高の結果だ。

「そうなれば一気に、フロンテラ陣営が優位となるだろう」

「いいっすね!」

「そんじゃまずは、野生児ちゃんの疲弊を見届けさせてもらいますかねぇ」

アルマーダを先頭に、余裕の笑みを浮かべて歩き出す七新星の3人。

その前にいるのは、両陣営合わせて約5000人のプレイヤーたち。

「やれぇぇぇぇぇぇー!!」

「これだけいるんだ! 絶対勝てるぞ!!」

ここに極まった不利。

叫びと砂煙をあげながら突撃してくる大量の敵勢力を前に、メイは剣を構える。

「――――いきますっ!」

そして迫り来る敵の一団に向けて一声あげると、勢いよく駆け出した。