軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

408.報告します!

「ツバメちゃん! メルーナちゃーん!」

魔法獅子の打倒に成功したメイたちは旧研究塔から引き揚げ、中央塔へ戻ろうとしていた。

すると同じく大型ガーゴイルとの戦いを終え、メイたちのもとに向かおうとしていたツバメたちと鉢合わせた。

二人の姿を見つけたメイは、さっそくレンの手を引いて駆け出していく。

そしてそのままツバメに飛びついた。

「あ、あの獅子も、無事打倒できたのですね」

ギュッと真正面から抱き着いてきたメイに、思わず照れて噛むツバメ。

「上手くやってくれたわね。おかげで魔法獅子もしっかり叩けたわ。そっちはどんな感じだった?」

「ツバメの前衛がすごかったー」

「二体のガーゴイルを一人で引き付ける姿はぁ、カッコよかったですねぇ」

ガーゴイル戦を思い出して、こくこくとうなずく魔法学校住人たち。

メイたちの戦いを目撃したパーティと、ツバメと一緒に戦った住人たち。

どちらもその戦いぶりと、魔法学校が生み出す世界観の融合に「すごかった」と声を合わせる。

「さて、とりあえず『どうしても勝てない化物』はこれでどうにかなったけど……また明日の昼まで待ちになるのかしら」

「そういうことでしたら、青バラさんの手掛かり探しなんかをするのもいいかもしれませんね」

「それもいいわね」

「薬学教授はー、夜の時間帯も稀に薬学塔にいることがある」

すると魔法学校歴の長いメルーナが、そんな情報を提供してきた。

「これまでは話しかけてもー、特に何が起きるわけでもなかったけど、今なら違うかもー」

「そういうことなら一応探しに行っておきましょうか。時間制限の雰囲気もあったし、このタイミングで伝えることで何かが変わるかもしれない」

「それがいいと思うー。こういうのは早い方が色々対応できることが多いー」

二手に分かれたメイパーティの再会は、ちょうど薬学塔のホール内。

四人は、オーブルの姿があるかを確認しておくことにした。

夜の魔法薬塔を上がり、昼間とはまるで違う雰囲気の研究室へ向かう。

魔女帽子のお姉さんを始めとした、メイとその動向に夢中勢たちもドキドキしながら後に続く。

その最後尾には、違う意味でドキドキしているスライムの姿も。

「旧研究塔5階の化物、倒してきたわよ」

メイたちは運よく、薬学教授オーブルを見つけることに成功した。

レンがそう告げると、オーブルは音が鳴るほどの勢いで顔を向けてきた。

「本当か……?」

「本当ですっ!」

「……見事だ。これで校内に巣くう化物が、旧研究塔に迷い込んだ生徒を襲うようなことはなくなるだろう……っ」

そう言ってオーブルは、すぐさま席を立つ。

「よくやってくれた。ワタシは5階フロアの後始末に行ってこよう。もう時間も遅い、オマエたちはすぐ休むように」

そう言い残して、そのまま魔法薬塔を後にした。

「これで終わりというわけでは、なさそうな雰囲気ですね……」

「確かにー、手間のかかるクエストの最後にしてはあっさりしすぎてるかもー」

メルーナも、終わり方のシンプルさに感じるものがあるようだ。

「まあ、とりあえずは一段落したし、次は青バラの方を探してみましょうか」

「そうですね」

「それならー、一度アイテム塔に戻ってお嬢様二人に話をしてみるのがいいかも」

「魔法獅子と戦ったことで時間が経過してるものね、行ってみましょうか」

四人はさっそくアイテム塔に戻って、お嬢様二人に話を聞こうと動く。しかし。

「いない……」

メイはアイテム塔のホールを見回してみるが、お嬢様二人の姿はない。

「もしかして、ここにいた二人組を探してるのか?」

すると、近くのテーブル席で本を読んでいた生徒NPCが声をかけてきた。

「はいっ」

「それなら友達を探すとか言って、旧研究塔の方に向かったぞ」

「……行きましょう」

うなずき合い、自然と小走りでアイテム塔を出る四人。

旧研究塔にたどり着くと、魔法学校住人たちもバラけてお嬢様探しを開始する。

そんな中、メイたちは自然と夜間禁止区域へ足を延ばした。

並んだ魔法石灯の一つが切れ、その隣も具合悪そうに点滅を繰り返している。

そのせいで一層暗くなった廊下を進んで行くと――。

「「「「ッ!?」」」」

続く廊下の先に、奇妙な影の塊が見えた。

全員が、ピタリと全身を硬直させる。

「あれは……なに?」

「……人が、倒れてるみたいだよ」

【夜目】の影響もあり、メイはその形状から影が人であると判別。

目を凝らすと確かに、薄暗い闇の中に倒れ伏す何者かの姿が見える。

だが、それが誰なのかは分からない。

その光景に、さすがに息を飲む四人。

これまでとは違い、ゆっくりと慎重にレンのもとに集まっていく。

静かな旧研究塔の廊下。

こんな状況下でも、『突然起き上がって攻撃される』『この事態を起こした何者かに襲われる』可能性を想起したレンは、杖を手に少しずつ進む。

「……ローブを着てるわね」

「生徒という事ですか」

自然とささやき声になるレンとツバメ。

メイは尻尾をブルブルと震わせて、メルーナはもう完全にレンの背中にしがみついている。

うつぶせのまま、動かない誰か。

特徴がつかめる距離まで近づくと、見えたのは――。

「これって……!?」

「茶色の髪のお嬢様ー……?」

レンはそっと近づいて、気を使いながら茶髪お嬢様の身体を起こす。

間違いなく、青バラ一味のお嬢様だ。

「どういう……ことでしょうか」

何かこの状況を推測するきっかけになる物はないか、付近に視線を配りながらゆっくりと進むツバメ。

「ッ!?」

角を曲がると、もう一人。

そこに倒れていたのは、長い銀髪のお嬢様。

彼女も、倒れたままピクリとも動かない。

「……大丈夫ですか?」

ツバメはあらためて銀髪お嬢様に呼びかけてみるが、やはり返事はない。

「――――誰だ」

「「「「ッ!?」」」」

その背にかけられた言葉に、ビクリと身体を震わせるメイたち。

慌てて視線を声の方に向ける。

そこにいたのは、魔法動物塔の教授ベルリッドだった。

何をどう言葉にするか悩む四人。すると。

「とにかく一度、医務室へ連れて行くんだ」

そう言ってベルリッドが杖を上げた。

するとすぐに狼たちが駆け寄って来て、お嬢様二人をその背に乗せる。

「……私たちもまずは、医務室に向かいましょう」

こうしてメイたちは来た道を戻り、中央塔医務室へと向かうことになったのだった。