軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

368.入り乱れの戦いです!

動力部をめぐる、両者入り乱れての戦い。

制限時間を背負ったすみれは、ツバメを狙って動き出す。

「【狐走】」

速く、それでいて回避性能も高いつま先走りで、一気に距離を詰めていく。

「【加速】【リブースト】!」

ツバメは斬り下ろしを後方移動でかわし、即座にリターン。

ダガーによる刺突を狙いにいく。

しかしすみれもこれを回避し、再び反撃に出ようとしたところで――。

「【紫電】」

「ッ!!」

閃く雷光にしかし、すみれはスキルの意図を読み取る。

「【狐走】【蜻蛉返り】!」

バックステップから続く大きなバク宙で、【紫電】の範囲から抜け出してみせた。

「回避された……っ!?」

その見事な身のこなしに驚くツバメだが、全力の回避ゆえに隙も生まれる。

「もらったわ! 【フレアストライク】!」

この瞬間を狙っていたレンが、炎の砲弾を叩き込む。

さすがにこの状況での回避は間に合わない。

ツバメは追撃に向けて動き出すが――。

「【斬魔閃】!」

満月を描くようなエフェクトと共に放たれた縦の回転斬りが、なんと炎の砲弾を斬り払った。

タイミングはシビアだが、上級魔法すら斬り払う防御スキルを見事に決めたすみれ。

即座に納刀し、輝くエフェクトを閃かせると――。

「【走破閃】!」

扇状の剣閃を放った。

「ッ!! 【跳躍】!」

すでに動き出していたツバメは、これをとっさに前方へのジャンプで回避する。

するとすみれは再び刀を納め、空中のツバメを見据えた。

「【空破閃】!」

初撃は、跳躍をさせるのが目的。

空へ向けて放たれた必殺の斬撃が襲い来る。

しかし、当然ツバメも負けていない。

「【エアリアル】【跳躍】!」

「ッ!?」

まさかの二段ジャンプで、迫る斬撃を飛び越える。

【空破閃】は範囲が長く威力も高いが、その分隙が大きい。

「【エアリアル】四連剣――」

この瞬間を逃さず、ツバメは空中からの斬撃を放ちにいく。

「【転地】【コールドゲヘナ】!」

「ッ! 【加速】【跳躍】!」

とっさにスキルの使用を中止して、着地と同時に回避行動へ。

「ッ!!」

迫る氷の蛇竜が太ももに当たり、ツバメは2割ほどのダメージを受けた。

「【バンビステップ】!」

やや強引になった蘭の援護。

もちろんこの隙を突き、メイは攻撃を狙いに行く。しかし。

「【狐走】【雷閃走破】」

「うわわっ!」

超高速の斬り抜けで飛び込んできたすみれを前に急停止。

駆け抜けていく刃が、メイの鼻先を横切っていった。

振り返る両者。

「【返し飛燕】」

「ッ!?」

それは真正面から相手に迫り、あえて通り抜けてから振り返りの刃を振るうフェイントスキルだ。

鋭い振りで放たれる刃を、メイは『刀を抜く音が後方から聞こえた』ことで前方に飛び込み回避する。

「かわされた……っ!?」

初見の変わり種スキルを普通に回避されて、驚くすみれ。

メイはすぐさま体勢を立て直し、大きな踏み出しから剣を振り降ろす。

「【フルスイング】!」

「【蜻蛉返り】!」

これを大きなバク宙で回避し、すみれは反撃を狙う。

「【波紋刀舞】」

広がる斬撃の波紋。

「【バンビステップ】【アクロバット】!」

だがこれを側方宙返りで飛び越えて、メイは距離を詰めていく。

「【走破閃】!」

「もう一回【アクロバット】っ!」

高く飛ばせてから狙う【空破閃】も、メイは【走破閃】のスレスレを跳んでかわしてきた。

これでは対空スキルによる迎撃は不可能だ。

「【装備変更】【バンビステップ】!」

「ッ!?」

頭装備を【鹿角】に換えると、突然速度を上げた足の運びに驚くすみれ。

高速の振り降ろしを運良く避けて放った横なぎを、メイは身体をのけ反らせることで刃の2センチ下をすり抜ける。

そして最短の回避から放つ【フルスイング】

「と、【蜻蛉返り】! 【雷閃走破】っ!」

最後は攻撃スキルの移動使いによって、どうにかメイの攻撃から距離を取った。

しかしメイは止まらない。

「まだまだいきますっ!」

「【狐走】ッ!!」

速い踏み込みから放つ攻撃を、すみれは必死に回避する。

振り降ろしから斬り上げ、そこから一回転して放つ斬り払い。

「ッ!」

かすめただけの一撃が、HPゲージを3割も吹き飛ばしたことに目を疑う。

「【ラビットジャンプ】!」

「ッ!?」

その勢いはとどまることを知らない。

メイは予期せぬ低空跳躍で、一瞬で目前に迫ってきた。

空中で二度の横回転。そこから放つスキルは【ソードバッシュ】だ。

「こ、このままでは……っ!」

まともに喰らえば即死。

すみれは全力で意識を集中する。

そのスキルの『受付』時間は、とにかく短い。

狙うは、ベストなタイミングでの発動だ。

「――――【刃合わせ】!」

「うわあっ!?」

次の瞬間。振り降ろしたメイの剣とすみれの刀がぶつかり、まばゆいエフェクトが閃いた。

「【メイルフラッド】!」

「【加速】【リブースト】!」

「【コールドゲヘナ】!」

「【電光石火】!」

ツバメは異常に短いクールタイムで繰り出される広範囲攻撃から、とにかく必死で逃げ回る。

『反則』と言われる蘭の大剣スキル乱舞は、【ソードリキャスト減少Ⅲ】によるもの。

回避に専念してもなお、逃げ切るのは難しい。

「そらもう一回だ! 【メイルフラッド】! 【コールドゲヘナ】!」

当たれば弾き飛ばされるほどの水の爆発を、氷の蛇竜が追いかけ凍結させていく。

「【加速】【跳躍】!」

ツバメは慌てて距離を取るが、迫る氷結の波が足先を捉えた。

「ッ!!」

1割強のダメージと共に凍結を取られたツバメに、蘭はすぐさま追撃を仕掛ける。

「【武器交換】プロミネンス――」

「高速【連続魔法】【フレアアロー】!」

「ちっ! 【転地】!」

蘭の姿が消える。

現れたのは、10メートルほど後方。

瞬間移動を思わせるスキルで、炎の矢を回避した。

移動方向は前後左右のみ。

距離も固定だが、再び大剣スキルを連発できる位置に下がることが可能だ。

「【テンペスト】ーッ!!」

「【加速】リブースト――くっ!」

荒れ狂う暴風に、転がされるツバメ。

二対一という状況でも、蘭は怒涛のスキル乱舞で接近を許さず、優勢を取り続ける。

「ほらほらどうしたぁ! 逃げ続けんのも限度があるよォ!」

蘭がそう言って、強気の笑みを浮かべると――――。

「……っ!」

まばゆい光と共に、空を舞う剣。

すみれの【刃合わせ】によって大きく弾き飛ばされたメイの【蒼樹の白剣】が、床に転がった。

「やったな! これは大きいぞ!」

蘭は思わず声を上げた。

剣がなければ、攻撃スキルはそのほとんどが意味を失うのが当たり前。

それを防ぐには『取りにいく』必要があるが、そこに広範囲の必殺技を叩き込めるのが蘭の強みだ。

すみれは即座に後退してツバメに狙いを変える。

代わりに蘭が【転地】で移動して、目標をメイに変更。

これで戦況は一気に、蘭たちの有利になった――――はずだった。

メイ、剣をひろいには向かわない。

「【裸足の女神】っ!」

「……なっ!? 向かって来るってのかっ!?」

二本の大剣を掲げた蘭に向け、メイは息をもつかせぬ速度で走り出す。

絶対に剣の方に向けて走ると踏んでいた蘭はわずかに出遅れ、接近を許してしまった。

「【装備変更】っ」

メイは頭装備を【狐耳】に変更し、懐に踏み込む。

「【キャットパンチ】!」

「なにっ!?」

【狐火】によって青い炎をまとった拳が突き刺さる。

「パンチパンチパンチ!」

一発こそ軽いものの、連打となれば侮れないその威力。

「くっ!」

右手の大剣を、慌てて振り回す。

「パンチ!」

左手の剣を、がむしゃらに振り回す。

「パンチ!」

両手の大剣を同時に振り降ろす。

「パンチだーっ!」

攻撃速度自体が遅い大剣は、どれだけ振っても当たらない。

まるで次の攻撃がどこに来るか知られているような感覚に、走る戦慄。さらに。

「【ゴリラアーム】!」

「なっ!?」

唐突に腕をつかまれた蘭は、驚きの声を上げた。

「いきますっ! せーのっ! それぇぇぇぇっ!!」

「お、おお、おおおおおお――――っ!?」

メイはその場で三回転して、蘭をそのまま上空へ放り投げた。

こうなってしまえばもう、隙を晒すだけ。

「待ってたわ!」

すでに【銀閃の杖】は、真っすぐ蘭に向けられていた。

「【魔眼開放】【フレアバースト】!」

輝く金色の目。

隙だらけになったところに、魔法が叩き込まれる。

「な、にぃぃぃぃ――――っ!?」

爆炎が、動力部ホールを赤く染めあげる。

吹き飛ばされ地面をバウンドした蘭は、慌てて身体を起こす。

「…………な」

するとそこには右手を突き上げたメイと、巨大な二頭のロボクマの姿があった。

「――――それでは、よろしくお願いいたしますっ!」

「じょうだんじゃないっ! 【メイルフラッド】【コールドゲヘナ】ァァァァ!!」

生み出す氷山は、最強の防壁。

これで一度体勢を立て直そうと蘭は息をつく。しかし。

目前の巨大な氷塊が、【幻影召喚】の【グレイト・ベアクロー】によって粉々に砕け散った。

「な……に……っ?」

これだけでは終わらない。

消えていく【幻影召喚】の背後から飛び出してきた本物のロボクマが、そのまま腕を振り上げる。

もはや回避が間に合う状態ではない。

蘭はその場で慌てて防御を選択。

「うわあああああああ――――っ!!」

【グレイト・ベアクロー】に弾き飛ばされ、何度もバウンドしながら床を転がった。

その異常なまでのスケールに、姉妹そろって言葉を失う。

これで蘭もすみれも、残りHPは5割程度だ。

「……止まんな。行くぞすみれ」

立ち上がった蘭は、一言そう宣言して大きく息をつく。

「お宝はもう目の前なんだ! ここで一気に勝負をつけにいく――――ッ!!」

そして気迫の雄たけびと共に、二本の大剣を振り上げた。