軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

357.両軍のスイッチ攻略

ブロック塔の最上部は、『透明ブロック』だった。

これをツバメが発見したことで、ホール最上部の天井の穴へと入り込むことに成功。

考古学者NPCと共に一本道を進んで行くと、そこには大きな扉があった。

「ここは僕に任せてくれ」

そう言って考古学者は、壁に貼り付けられた円盤に付いた、時計の針のような物を回転させる。

すると扉の紋様に青い光が走り、左右にゆっくりと開いていく。

中にあったのは、かなり分かりやすい大型のレバー。

大きな円形の紋様が何重にも入った床の真ん中に、線路の切り替えに使うようなレバーが立っている。

「これを倒せばいいのかな?」

「そういうことね」

メイが「よいしょっ」と、レバーを倒す。

これにてロック成功だ。

「これで一つ目クリアね」

三人は軽くハイタッチして笑い合う。

『――――動力部の物理障壁が確保されました』

するとアナウンスが入り、クエスト参加プレイヤーたち全員に物理障壁のロックが伝えられた。

これで残るスイッチは二つ。

「それじゃ、次に行きましょうか」

「りょうかいですっ!」

「いきましょう」

「ここまで連れてきてくれてありがとう。先に進むのなら、こっちの道を使ってくれ」

そう言って考古学者が壁の一部を押すと、外部へと続く道が現れた。

「これで次のスイッチを目指すんだね!」

メイは尻尾をピンと立てて気合を入れ直す。

「良かったです。帰りも一緒に降りろという形だったら大変でした」

「本当ね。でも考古学者が履いてるって言ってた衝撃分散シューズが、この高さから落ちても大丈夫なのかちょっと見たかったかも」

「つ、突き落としてみる気だったのですか……?」

「ふふ。直立不動で落ちていくのか、それとも猫みたいに空中で体勢を立て直すのかちょっと気になっただけ」

建物でいえば、10階建てを超える高さのブロック塔。

そこから落ちて普通に『ストッ』と軽快に着地する考古学者を想像して、三人は笑うのだった。

「物理障壁は守られちゃったんか。ま、仕方ないね」

軽快にブロックの道を駆ける紺の重装鎧は、姉の蘭。

大雑把に結んだ長く茶色い髪に強気の笑みを浮かべながら、スイッチを求めて先を急ぐ。

その後には、黒髪の妹すみれも続いている。

「よし、このままいくぞ!」

「メイちゃんに続いて、立て続けにスイッチがロックできると一気に有利になるぞ!」

すると大きな直線通路の先に見えてきたのは、先行していたプレイヤーたち。

先を行くのは『遺跡保存組』だ。

それからやや遅れて『お宝奪取組』も続いている。

入り混じっての競争状態だが、ここでは『遺跡保存組』の方が先行できているようだ。

人数もそれなりにいるため、しっかり優位が保たれている。

「はいはい、みんな邪魔ぁー!」

叫んで蘭は、左手に大きな剣を取り出した。

それは水属性の大剣【ポセイダル】

「【メイルフラッド】!」

振り上げた大剣から生まれる、暴力的な放水。

それは水流というより、水の爆発。

「「「うおおおお――――っ!?」」」

もはや物理攻撃のような強烈な衝撃で、目前のプレイヤーたちをまとめて弾き飛ばした。

「お、お姉ちゃん……やりすぎだよ……っ」

ライバルチームはまだしも、味方までまとめて吹き飛ばす強引さに妹は「すみません……っ」と申し訳なさそうに頭を下げる。

「いいのいいの! あたしらがいりゃクエスト自体はどうにだってなるんだ! 多少味方が減ったところで変わりゃしないよ!」

一気に先行プレイヤーたちを片付けた姉妹は、さらに奥へと進む。

するとそこに、この道を守るために配備されたロボット兵が立ちふさがる。

大きさにして4メートルほどの宇宙服型ロボットだ。

「お前がここのボスだな! もう一発【メイルフラッド】ォ!」

炸裂する水の爆発。

大きく体勢を崩したロボット兵に向けて、蘭は右手に取り出した大剣【コキュートス】を振り降ろす。

「【コールドゲヘナ】!」

それはウロコを逆立てた氷の蛇竜が、地面を突き進むような壮大なエフェクトの武器スキル。

【メイルフラッド】からの【コールドゲヘナ】

高いダメージに加えて、凍結まで取られたロボット兵は身動きが取れない。

「【跳躍】【二刀一斬】!」

蘭は跳躍し、両手に持った大剣をそのまま全力で叩きつける。

派手なエフェクトと共に、砕け散る氷塊。

その驚異的な威力の前にロボット兵は倒れ、動きを止めた。

「あははは! あたしに見つかったのが運の尽きだね。この程度じゃ敵にもならないっての!」

余裕の笑みで駆け抜けていく蘭は、そのまま扉の前へ。

ここは先ほど倒した中ボス自体がカギになっており、倒せば普通に通過できるようだ。

「いっちょ上がり! さて、ここの装置はなんだ?」

レバーを『切』の方に倒し、蘭はアナウンスを待つ。

『――――動力部の『防護扉』が解放されました』

「よっしゃあ! 少なくともこれで、動力部前で手間を取られることはなくなった!」

敵パーティ、味方、そしてボスまでをも一人で片付けた蘭は、すぐさま引き返していく。

「この調子なら余裕だね」

その豪快な戦いぶりと、すさまじいまでの強さに、倒れたプレイヤーたちは呆気にとられたままだ。

そんな中、妹のすみれだけが「本当に申し訳ございませんでした」と、走りながら頭を下げていた。