軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

356.ブロック塔を登ります!

ブロック塔は、高いホールの中央にそびえたっている。

そしてホールの壁には何本もの通路が通っており、そこから塔を目視することが可能だ。

当然、塔へ向けて攻撃することもできる。

「もう一回! 【ファイアアロー】!」

宝を手に入れたいトレジャーハンターは『遺跡保存組』のメイたち、そして考古学者を狙って矢を放つ。

「よいしょっ!」

メイはこれを、考古学者の手を引き回避。

「ちょっと待って、考古学者にHPゲージが出てきたわ」

「ここからは防衛クエストになるのですね」

「【ファイアアロー】!」

さらに矢を放ってくるトレジャーハンター。

三発の矢がかわされたところで、突然声を上げた。

「このままじゃ『防護障壁』を守られちまう! 力を貸してくれ! お宝を頂くために!」

それが合図になる。

「おい見ろ! クエストが出てるぞ!」

「考古学者の足止めだって!」

「あの位置なら弓術師だな!」

「撃て撃て! 弓術師は考古学者を狙い撃つんだ!」

ホールに響く声。

壁面通路を通りがかった『お宝奪取組』の面々は、次々に弓を構えた。

「うわっと!」

そこから、塔の途中にいるメイたち目掛けて次々に矢が放たれる。

「【跳躍】」

「【夜風のローブ】があって良かったわ」

ツバメはブロックを渡り跳ぶことで矢をかわし、レンは【浮遊】で飛び回ることで的を絞らせない。

「はい考古学者さんこっち! しゃがんで! 次はこっちですっ!」

メイは考古学者の手を引き、肩を抑えてしゃがませて、再び引っ張り上げて矢を回避。

ペアダンスのような動きで、飛んで来る矢を避けていく。

「今、一段上がっちゃいましょう! それっ!」

隣のブロックにあがって、考古学者を引き上げたところで不運。

このタイミングで増援にやって来た『お宝奪取組』の一団は、その多くが弓術師だった。

「「「【ショットアロー】!」」」

【飛距離増加】を乗せた散弾矢が一斉に放たれる。

「うあわわわわっ!」

狭い足場、しかも考古学者の手を引くメイは、ここで大慌ての回避。

「考古学者さん、こっち!」

「「「【ストライクアロー】!」」」

手を引いたところに、放たれた銀の矢。

メイと考古学者目がけて、猛スピードで飛んでくる。

「うわああああーっと!」

矢は大きくのけ反ったその顔の上を通り抜けていった先で、さく裂した。

「ぜ、全然当たらねえっ!」

「とんでもない回避力だな……っ!」

「……慌ててる割にかすってもない」

弓術師たち、慌てている感じなのにまるで攻撃が当たらないメイに困惑する。

「こうなったら一斉射撃だ! いくぞ!」

「「「おうっ!」」」

弓術師たちは、再び矢を乱射。

「ツバメちゃんお願いします! 【ゴリラアーム】! それーっ!」

メイはこれ以上の増援が来る前に、考古学者を少し上方のブロックに投擲。

「はいっ!」

ツバメは受け止めた考古学者を、メイにならって手を引くことで矢の直撃を受けないよう移動させる。

「【アローエクスプロード】!」

続けて放たれた矢も見事に回避。

しかし、このスキルの狙いは爆発だった。

「っ!」

巻き起こった大きな爆発の衝撃で、考古学者がブロックからはじき出される。

「ッ!!」

するとツバメはとっさに考古学者の手を強く引き、どうにかとどまらせた。

そして代わりにツバメがブロック外へ。

「ツバメ!」

「ツバメちゃんっ!」

始まる落下。

すでにメイたちのいる場所は、高い落下ダメージを受ける高度だ。

ツバメの【耐久】では生き残ることは難しいだろう。しかし。

「【エアリアル】【跳躍】!」

とっさに空を蹴って元のブロックに舞い戻ると、この隙を突いて放たれた矢から考古学者を守ってみせた。

「ツバメちゃんすごーい!」

「やるじゃない!」

メイが大きな拍手と共に歓喜の声を上げ、レンも思わず拳を突き上げる。

「ど、どうなってんだ?」

これに驚いたのは『お宝奪取組』の弓術師たち。

同じく空を蹴るレアスキル【二段跳躍】も、あくまで跳躍中の二段目という状況でしか使えない。

落下中に跳躍するなんていう形は、見たこともない。

するとここで。

「おらー! 【サンドストーム】!」

「うおおっ!?」

「【ソードエクスプロード】!」

「「「うおおおお――――っ!?」」」

やって来たのは『遺跡保存組』の面々。

考古学者を狙い撃つ弓術師に向けて、一斉に攻撃を仕掛けていく。

「メイちゃんたちを手伝うぞ!」

「助かるわ! せっかくだし、私たちも少し反撃させてもらっちゃいましょうか!」

敵チームに狙い打たれる中を、防御や回避を使って防衛しながら進めというこのクエスト。

想定よりも大幅に参加者が多くなったことで、難易度が非常に高くなってしまっている。

しかし味方の到着によって状況が一転。

レンは杖を構えた。

「【魔砲術】【フレアストライク】!」

本来であれば、弓矢しか届かない距離。

それも【魔砲術】なら関係ない。

「「「うおおおおおおーっ!?」」」

『どうせ届かない』と余裕をかましていた一団が、爆炎でまとめて吹き飛んだ。

「もう一回! 【魔砲術】【フレアバースト】!」

「「「うぎゃああああ――っ!!」」」

さらに吹き飛ぶ弓術師軍団。

運よく防御で生き残ったプレイヤーが、顔を上げたところで――。

「【投石】だー!」

「う、うおおおおおお――――っ!!」

今度は石が飛んできて直撃。

「は!? 何でこの距離で【投石】が当た……ッ!!」

「【投石】【投石】【投石】からの【投石】だーっ!」

それこそ矢よりも速く、そして的確な狙いで飛んで来た石が、次々に弓術師を打ち倒していく。

「お、おいおい、弓術師が投石に倒されてくって何事だよ!」

「投石師なんてジョブあったか!?」

文明の敗北に、『お宝奪取組』は散り散りになって逃走していったのだった。

「みなさん! ありがとうございましたーっ!」

メイがブロック上から元気に頭を下げると、遺跡保存組は拳を振り上げて応える。

弓による攻撃はなくなり、三人はそのまま安全に最上段へ。

「ここで、途切れてる……?」

そして、足を止める。

天井部に空いた穴から、先につながっているのは見て分かる。

しかしその穴までは、跳んで届く距離ではない。

「私の【浮遊】と、メイが投げる形で考古学者とツバメを進ませるって形しかない?」

それでは、メイが進めない。

「……いえ、下方からトレジャーハンターが矢を撃ってきていたのには意味があったようです」

するとツバメが一言そう告げて、ブロックから何もない空間に足を踏み出した。

「ツバメ!?」

しかしツバメは落下しない。

その足もとに、青い円形の光が灯る。

「どういうこと?」

「トレジャーハンターの外れた矢が、なにもない空間に当たって跳ね返っていたのを見ました。ここからは透明ブロックになっているようです」

「そういうことなのね……」

「おおーっ! ツバメちゃんよく気づいたね!」

「すごーい!」と拍手のメイに、照れるツバメ。

仕掛けが分かれば後は、しっかり確認しながら進むだけだ。

こうしてメイたちは見事にブロック塔を攻略し、考古学者を連れたまま最上部へとたどり着いたのだった。