軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

355.遺跡の中へ!

沈黙を守っていた遺跡内部は、新マップ発見の報で集まってきたプレイヤーたちで一気に賑やかになっていた。

考古学者についた『遺跡保存組』と、トレジャーハンターについた『お宝奪取組』の二派。

動力部を守る、三つの防衛装置を探して慌ただしく駆け回っている。

「おい、こっちに行ってみようぜ!」

積まれたブロックで作られた遺跡中央部。

自動ドアのように動くブロックを見つけた『お宝奪取組』のパーティが、現れた道に飛び込んだ。

すると進んだ部屋にあったのは、居並ぶ機械獣たちの姿。

「……に、逃げろぉぉぉぉっ!!」

慌てて振り返るが、動いたブロックはもとの位置に戻り道は塞がれてしまった。

「「「あ、ああああ――っ!!」」」

「……ハズレもあるのね」

見事に引っかかったパーティを横目にしながら、新たなフロアに出てきたレンは苦笑い。

「あれ? あのブロック……」

そんな中、メイが違和感に気づく。

このフロアのブロックは、青い光の紋様がゆっくりと点滅している。

その中に一つ、点滅のリズムが少しだけおかしい個体がある。

さっそく駆けつける三人。

メイが乗り、レンとツバメが続くと、紋様が一度強く輝いて下降を始めた。

エレベーターのように降りていくブロックは、長い時間をかけて一本道の端にたどり着く。

道を進んでいくと、そこにあったのは高く広いホールと、一辺150センチほどのブロックが塔のように積まれた空間だった。

「わあ、高ーい……あれ、考古学者さんがいるよ」

メイが指さした先には、ブロック塔を見上げる考古学者の姿があった。

「考古学者がいるってことは、この先に何かがありそうね」

「ここを登って行けということでしょうか」

いたる所に四角い穴の開いた塔から続く天井部には、穴が見える。

またホール自体の壁面にも複数の道が通っており、そこからホールを見られるようになっているようだ。

考古学者は、その最上部を見上げて息をつく。

「どうしたんですかー?」

メイが首と尻尾を傾げて問いかけた。

「君たちは……この遺跡を浮上させてくれた冒険者パーティだね」

考古学者は、悩ましそうな表情でやってくる。

「僕が文献などで調べたところによると、この最上部にスイッチがあると思うのだが……」

ブロック塔は、四角い穴の開きまくった壁のような形状をしている。

また魔法石によって浮いているブロックもあり、ここを登っていくのはなかなかに大変そうだ。

「最上部の扉を開くには、古代文字を解読していくつかの手順を踏む必要がありそうなんだ」

「そこまで連れて行けば、その手順はやってもらえるってことかしら」

「だがこの高さだ。僕の体力では登るのにかなりの時間がかかってしまう。そこで……僕を引っ張り上げてもらえないだろうか」

「それくらいなら何とかなりそうね」

冒険者が先行して、一段ごとに手を伸ばして考古学者を引き上げる。

手間と時間のかかりそうなクエストだが、メイは大きくうなずく。

「それではしつれいしますっ!」

そう言って手を伸ばしたメイは、引っ張り上げるのではなく『猫を持ち上げるような』感じで考古学者の両脇に手を入れると――。

「【ラビットジャンプ】!」

一気に五段飛ばしで、最初の着地を果たした。

「続きます」

ツバメは一段目のブロックから二段目のブロックへと二歩で上がり、そこから【跳躍】で一気に五段目へ。

「【浮遊】」

そしてレンは、少し遅れて後を追う。

この形式なら、高い塔も問題なく登っていけそうだ。

メイはそのまま軽い足取りで上がっていく。

すると十段目のところまでたどり着いたところで、横からブロックがゆっくりと空中を滑ってきた。

「……あれ、あれれれ?」

「メイ! 多分ブロックの動きで、上部へ行くのが阻害されるクエストなんだわ!」

「りょうかいですっ! 【ラビットジャンプ】!」

メイはすぐに考古学者を抱えて、近くのブロックにジャンプ。

すると横からやってきたブロックは、メイたちのいたブロックの上面を擦るようにして通り過ぎて行く。

あのまま立ち止まっていたら、押し出されて落下することになってしまう仕掛けだったようだ。

「なるほど、その場にとどまりながらゆっくりとはいかないわけね」

レンはこの仕掛けの『意図』を理解する。

すると今度は上から、エレベーターの様にブロックが静かに降りてきた。

「よいしょっ」

メイはこれも考古学者を背負ったまま、余裕を持って2マス空きのブロックに飛び移る。

降りてきたブロックは、そのままメイたちがいたブロックの上に重なった。

すると今度は、乗ったばかりのブロックに青い光が点滅し始めた。

「それ、多分落ちるやつっ!」

「ええっ!? もう一回【ラビットジャンプ】!」

落ちていくブロックを見ながら安堵の息をつく……が、今度は乗ったばかりのブロックが塔から遠ざかっていく。

「メイさん、そのままだとホールの壁際に連れて行かれてしまいます!」

「えええっ!?」

考古学者の手を引きつつ、なおかつブロックの状況を見つつ速い判断を求められる。

なかなかの難易度のクエストだ。

仕掛けに気づくのが遅れたメイだが、考古学者を持ち上げると――。

「【ゴリラアーム】……せーのっ!」

クエスト対象NPCを放り投げる。

高い【技量】による投擲は、見事に考古学者を別ブロックの上に着地させた。

「わたしもっ! 【ラビットジャンプ】!」

離れていくブロックからの跳躍。

距離感の把握が難しい跳躍になるが――。

「よいしょっ!」

それでもメイは、考古学者の乗ったブロックのフチに軽やかに着地した。

「これ、結構難しいクエストね。ていうか落ちたらどうなるのかしら……」

「大丈夫。僕の靴は落下の衝撃を分散するものなんだ」

「冒険者だけが落下で死に戻るシステムなのね……」

考古学者は普通に着地して、また誰かが引き上げてくれるのを待つのだと知ったレンは苦笑い。

「でもこれで、一段落したみたい」

「やはりメイさんが一緒だと、危なげないですね」

遅れて上がってきたツバメとレンも、中層にたどり着いて一息。

「……おい! あの塔はもしかして……っ!」

するとホール壁の通路に、トレジャーハンターがやって来て声を上げた。

「スイッチにつながる塔だな! 悪いけど先へは進ませないぜ【ファイアアロー】!」

「うわっと!」

ホールの壁際にある通路の一つ。

なんとそこから、トレジャーハンターが矢を撃ってきた。

放たれた炎矢は、ブロックにぶつかって弾け散る。

「……ここからは邪魔も入るという事ですね」

「やっかいになるわねぇ。でもこの難易度、動力部防衛のスイッチがあると思って間違いなさそうだわ」

「よーし! がんばりましょうっ!」

塔登り後半戦、メイは両手を握って気合を入れた。