軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

358.包囲網ですか!?

三つ目のスイッチを探して、プレイヤーたちは遺跡内部を駆け回る。

「この道はなんだ!?」

「行け行け! 何かありそうな気配あるぞ!」

発見された新たな通路。

付近にいたプレイヤーたちが、我先にと駆けこんで行く。

「行かせるか! 【ファイアアックス】!」

「やりやがったな! 【ソードエクスプロード】!」

二派に分かれての対決クエストは、いよいよ最後の『防衛スイッチ』を賭けて加熱していく。

そんな中メイたちは、一つ目のスイッチからつながった道を進んでいた。

やがてたどり着いたのは、広い石灰色の空間。

しかしその薄暗さのせいか、どこか不気味さを感じさせる。

そしてそこには、数百にのぼる数のロボットが規則正しく並んでいた。

「すごーい……この子たちは何ロボットなのかな」

「……戦闘用っぽいわねぇ。足元の魔法石で魔力を充填してる感じかしら」

植物園などの個体とは違い、その体躯は全て180センチほど。

色もグレーと黒で統一された宇宙服型で、数字らしき古代文字が肩に表示されている。

手と胸元に魔法石を装着しているのは、攻撃のためだろうとレンは予想。

「……こういう風に『敵になりそう』な個体が、たくさん並んでいると」

「はい、動き出しそうです」

「そうなの?」

ゲーム慣れをしていないメイは、首と尻尾を傾げる。

「何かスイッチになる仕掛けがあるのよね。一定以上踏み込んでロボットたちにしっかり囲まれた状態になるか、ゴール地点に近づくか……」

「接近すると急に動くパターンもありますね」

「そうなんだぁ……ドキドキするねぇ」

メイたちは周りに注意しながら、ロボット格納庫を進んで行く。

時々ロボットたちをじっと見つめてみるが、動き出す感じはない。

「この『像』が動き出しそうな気配って、何から始まったのかしらねぇ」

「やはり古い映画辺りでしょうか」

臨戦態勢のまま進んで行く三人。すると。

「「「ッ!!」」」

突然、止まっていたロボットたちの目に一斉に光が灯った。

だだっ広く薄暗い空間に並ぶロボットたちの目が光り出す瞬間は、不思議な恐ろしさがある。

突然の事態に硬直しながらも、三人は注意深く成り行きを見守る。

「「「…………」」」

しかしロボットたちが動くことはなく、目の光もスッと消えた。

「か、完全に驚かせるためだけの演出だったわね……」

「びっくりしちゃったねぇ」

「さすがに驚きました」

安堵の息をつくメイたち。

「うおおっ! なんだここは!?」

すると三人の後に入ってきたプレイヤーたちが、ロボット兵が大量に並んでいるのを見て驚きの声を上げた。

「……そーっと進もう。これ絶対動き出すやつだ」

続々とやって来た『お宝奪取組』も、即座にレンたちと同じ想像をする。

その緊張ぶりに、ちょっと笑ってしまうレンとツバメ。

「ここは……おい、このロボット兵はリーダー個体を起動させれば戦闘命令が出せるやつだぞ!」

こうして『遺跡保存組』と『お宝奪取組』が同じ空間で一緒になったところで、突然トレジャーハンターがやって来た。

「……どういうことかしら」

「このロボットたちを、邪魔なヤツらにけしかけることができるんだ!」

「「「ッ!?」」」

まさかの言葉に、その場にいた全員が目を見開く。

「おい! あそこにいる遺跡保存組……噂のメイちゃんたちじゃねえか!?」

「本当だ、あの耳と尻尾は間違いない!」

「急げっ! リーダーロボットを見つけて、あの子たちの足止めをさせるんだ!」

メイの存在に気づき、すぐさま動き出すお宝奪取組。

「私たちも急ぎましょう! おそらくリーダーロボットには外見上の差異をつけてあると思うわ!」

「りょうかいですっ!」

「はいっ!」

メイとツバメは走り出し、レンは【浮遊】でリーダーであろうロボットを探す。

早い動き出しは、見事の一言だ。

「あの子だっ!」

この部屋にはすでに多くのお宝奪取組が入り込んでいるのに対して、遺跡保存組はメイたち三人のみ。

それでも得意の『違和感探し』能力と【遠視】で、メイは誰よりも早くリーダーロボットを発見。

そのロボット兵には、頭部にアンテナのような角が付けられていた。

「【バンビステップ】!」

メイはすぐに駆け出すが――。

「はははっ、こりゃちょうどいいところに来たね」

その個体の前を通りかかったお宝奪取組の一人が、偶然『角』持ちの存在に気づいた。

それは、二つ目のスイッチをオフにしてやってきたトップ姉妹だ。

「遺跡保存組を止めてくれ」

姉の蘭がそう命じて頭部に触れると、リーダーロボットの目にじんわりと赤い光が灯る。

すると整然と並んでいたロボットたちの目も、一斉に赤く輝き出した。

そして数百体にのぼるロボット兵たちが、同時にメイたちを見る。

「ロボット兵たちの格納庫があるということは、この近くにスイッチがあるに違いない!」

トレジャーハンターの言葉に、お宝奪取組が動き出す。

「なるほど、ここにいる遺跡保存組はメイちゃんたちだけなのか」

「ラッキーだな! これいけるぞ! ここはロボットに任せて俺たちはスイッチ探しに向かおう!」

「……なるほどね、そんじゃお先に」

蘭はなぜかお宝奪取組の後は追わず、妙に落ち着いた感じで外へと出て行った。

妹のすみれはメイに一礼すると、こんな状況でも笑顔で手を振ってきたメイに、もう一度深く頭を下げて姉の後を追う。

完全に包囲されてしまったメイたち。

構えを取ると、ロボットたちが一斉攻撃を開始した。