軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

348.エアリアルの可能性

「王都では戦いが続いてたし、こういうのもいいわね」

「本当だねぇ」

「はい。メイさんの楽しそうな【密林の巫女】が見られるなんて、最高です」

若干ツバメだけ受け取り方が違うものの、見事に荒れた砂地を緑の空間に戻したメイたち。

ロボットは、ゆっくりと植物園を見て回る。

すると広がった植物園に、どこからか耳の大きなリスのような動物が数匹やって来た。

そしてそのまま、生い茂った草木の下でくつろぎ出す。

するとロボットは近くの木から実を一つ取って、耳長リスたちに与えた。

「かわいいー!」

「かわいいです……本来こういう場所だったのですね、ここは」

メイとツバメが、動物とロボットの不思議な関係をうれしそうに眺める。

「……でも、こっちの機械獣はそれを許すつもりはないみたいよ」

そこにやって来たのは、目を赤く輝かせる豹型の機械獣。

すると管理人ロボットは、リスたちを抱えて逃げ出した。

慌てた感じで逃げるロボットだが足は決して速くなく、追ってきた豹型にすぐに追いつかれてしまう。

「ロボットと動物両方にHPゲージがある! これ、防衛だわ!」

「助けましょうっ!」

敵方の存在を見つけた瞬間、動き出していた三人。

『動物』のパラメータが低いと、守ろうとしても逃げられてしまい苦戦必至なこのクエスト。

だがメイが救助に向かうと、動物たちはすぐさまメイの肩や背に飛び乗ってきた。

「これで動物たちの方は大丈夫ね。あとはこの子も……って重っ! 【ブリザード】!」

右往左往している重たいロボットを動かすことを諦めて、レンは氷嵐の壁で敵をけん制。

すると機械獣の狙いは『生き物』なのか、そのターゲットをツバメに向けた。

「【電光石火】」

ツバメは高速移動斬りを放つが、豹型は前方への跳躍ですれ違うようにして回避。

着地と同時に、ブレードをくわえて特攻してきた。

「っ!」

これをツバメが横移動でかわすと、早い切り返しからの飛び掛かり。

さらにバックステップでこれを回避したツバメに、ブレードをくわえたまま回転撃を放つ。

「地上戦はお手のものといったところでしょうか……っ【加速】」

ここでツバメは一度距離を取る。

すると豹型は頭部の魔法石を輝かせ、そのまま大きく一回転。

生まれた風刃が、波紋のように広がる。

「ッ! 【跳躍】!」

接近ではなかなかの強さを見せる豹型機械獣に、地上戦ではダメージが取りにくい。

そう判断したツバメは【跳躍】で風刃を回避して、空中からの【投擲】を狙うが――。

次の瞬間、豹型の頭部に埋められた魔法石が強く輝いた。

「なっ!?」

派手なエフェクトと共に、放たれる対空スキル。

空中のツバメに向けて、【豪炎槍】が突き進む。

管理人ロボットと進めるクエストの最終戦、ボス扱いの豹型が持つ最大スキルだ。

すでに空中にいる状態では、これをかわす術はない。

「――――ツバメ! 【跳躍】よ!」

思いついたように、レンが叫ぶ。

「……そういうことですかっ! 【エアリアル】【跳躍】!」

レンの言葉の意味を、すぐに理解した。

ここでツバメは、【エアリアル】からの【跳躍】を発動。

すると『接地』が条件のスキルである【跳躍】がここで発動。

ツバメはなんと、空を蹴った。

「うまくいったわ!」

「二段ジャンプ……っ!」

ツバメを狙い撃った炎の槍は、かすることもなく空に霧散していく。

一方軌道の変更を成功させたツバメは、そのまま豹型へ向けて落ちていく。

「いきます! 【エアリアル】【四連剣舞】!」

落下際の連撃で豹型を弾き飛ばし、着地と同時に走り出す。

「【電光石火】【紫電】!」

そして起き上がりの反撃を出す前に真横を高速で斬り抜け、動きを止めた。

「【フリーズブラスト】!」

追い打ちを叩き込んだのはレン。

強烈な氷嵐の一撃で、見事にとどめを刺した。

「おおーっ! ツバメちゃんすごーい!」

耳長リスを両肩と頭に乗せたメイが、拍手しながら目を輝かせる。

「【エアリアル】……空中での使用可能スキル説明に『攻撃スキルのみ』っていう表示がなかったから、もしかしたらと思ったけど……いけそうね」

「レンさん、ありがとうございます。私はすっかり攻撃スキルだけだと思っていました。これで今までより高い地点にも跳び上がれそうです」

ツバメの見事な空中連携によって、手にした勝利。

戦いが終わると、メイはリスたちをもといた草の上に下ろす。

もちろんロボットも無事で、ダメージなし。

HPゲージが消え、これにてクエスト達成だ。

するとロボットは近くの植物から新たに果実を取り、それをメイたちに差し出してきた。

【ものまねの実】:戦闘中に認識した他者のスキルから、一つを選んでマネすることが一度だけ可能になる。

「ありがとうーっ!」

「また面白そうなアイテムねぇ」

さっそくその効果を見て、あれこれと考えるレン。

「なんだか、不思議な雰囲気のクエストでした」

「管理人さん、これから忙しくなりそうだねっ」

そう言ってメイたちは、不思議な愛らしさを感じさせるロボットの頭をなでる。

「人のいない遺跡、動いているのはロボットたち。驚くほど静かな空間で進むクエスト……初めての経験です」

「これで一段落みたいだけど、現状で行ける場所はまだあるのかしら」

「倉庫があった下層を見に行くというのはどうでしょうか」

「はいっ! いいと思いますっ!」

手を振って見送る管理人ロボットとリスたちに、大きく手を振り返すメイ。

植物園を復旧し、動物を守った三人は、ロボットに見送られながら下層へと向かうことにした。