軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

304.従魔士の長老

「ありがとうございますっ! ありがとうございますっ!」

「いえいえー」

従魔士ギルドに戻ってきたメイたちは、クエスト依頼者のもとにホワイトパンサーを連れて帰った。

従魔士NPCは歓喜に飛び跳ねる。

「よかったですね」

意外と可愛い目をしたホワイトパンサーの毛並みにここぞとばかりに触れて、満足げなツバメ。

するとそこに、白髪白髭の老人がやって来た。

「お、マスターだ」

「めずらしいな。マスターが出てくるなんて」

従魔士パーティ面々が、驚きの声を上げる。

どうやらこの老人NPCが、従魔士ギルドの長のようだ。

「……これまでも従魔が消える事件は度々あったのだが、発見されたことはなかった。一体どこで見つけたのかね?」

「王都の地下ですっ。他にもまだ捕まっている子がいるから、助けに行かないと!」

「地下だと……? このロマリアにそんなところがあったのか……」

ギルド長はそう言って、何やら深刻そうな顔をする。

「やはり偶然ではなかったのだな。実はこのところ、従魔士の魔獣や希少な動物たちが各所から消えているという情報が入っていてな」

「そのクエスト、ちょくちょく出てるよな」

「いなくなった希少動物を探せってヤツですよね。王都以外でもあるんだ……」

従魔士パーティの面々には、思い当たるクエストがあるようだ。

「マスター」

するとそこに、一人の従魔士NPCが真面目な顔つきでやってきた。

「護送馬車が、王都城の方に帰っていきます」

「護送馬車……? 一体何のために……」

「恐ろしいほどに厳重な警備体制。動かしているのは元老院の兵士たちです」

「……元老院か」

その言葉を聞いて、マスターは渋い顔をする。

「そしてどうやら護送馬車は、北東の方角から戻ってきたようです」

「北東には『王獣の森』がある。嫌な予感がするな……」

「もしかして、それで兵士たちが出払っていたから王都兵舎に人がいなかったの?」

牢屋を出た後、街に戻るまでの流れが妙に簡単だったことをレンは思い出す。

あの流れであれば、牢屋から出た後にもう一波乱あっても良さそうだ。

しかし王城付近に兵士は少なく、なぜかあっさり街に戻ることができた。

「だとしたら、その兵士たちは何をしに動いていたのかしら」

当然の疑問が口を突いて出る。

「……君はずいぶんと、動物たちに好かれているようだね」

従魔士ギルドのマスターは不意に、メイを見てそう声をかけた。

「君たちに頼みがあるんだ。残った従魔たちの解放のため、私をその地下室へ連れて行って欲しい」

「おまかせくださいっ!」

続くクエストは、王都イベントらしくない意外な方向性へと向かっていく。

もちろん、受けない理由はない。

メイたちは即座にこのクエストを受注した。

ついてきた従魔士パーティも、困惑しつつ同行を決める。

「助かるよ。今王都で何が起きているのか確かめたいんだ。さっそく向かおう」

ホワイトパンサーの件からつながっていく、新たな展開。

クエストを受注したメイたちは、ギルドマスターと共に館を出た。そして。

「……一体どうなってんだ、これ」

その光景に、サラマンダーの従魔士が思わず口を開く。

さっきまで広い庭を駆け回っていた動物や魔獣たちが姿を消し、ギルド前は静まり返っていた。

「みんな、どこに行っちゃったんだろう」

「……なんだか、思わぬ展開になってきたわね」

謎の地下通路、捕らえられていた従魔たち。

怪盗に『悪い者』と呼ばれた王都元老院。

「この街……何かおかしいぞ」

「ああ。明るく朗らかな王都イベントの影に、何かが潜んでる感じだ」

「ちょっと怖いですねぇ……」

従魔士パーティは、予想外の流れに軽く興奮し始める。

「これまでの『王都大改修』とは、雰囲気がまるで違います」

「本当ね。念のため、付近に注意しながら地下に向かいましょう」

「りょうかいですっ!」

「ああ、分かった」

こうしてメイたちは、従魔士パーティと共にギルドマスターを連れて地下室へと戻ることになった。

「……街中の動物たちも、いなくなってるね」

「本当です……」

街中でも、メイは異変に気付く。

王都のそこら中にいた猫や犬、鳥も、気づけばその姿を隠していた。

「おいおい! また運搬クエストかよ!」

「重装のままタンスを運んでるの、絵面が面白いな!」

「あはははは!」

聞こえてくる楽しげな声。

楽しそうに街を駆け回るイベント参加者たちはまだ、そんな王都の異変に気付く様子はない。