軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

233.ウェーデンから山嶺へ

ポータルでやって来たウェーデンの街は、温かみのある色使いの石造り。

どの家でも暖炉がたかれ、雰囲気も優しい。

ドアを赤や黄色にしている家が目につき、降り積もった雪の白さによく映えている。

「きれいだねー」

古い西洋と、北欧の雰囲気を混ぜたような街並み。

これまでとはまるで違った光景に、さっそくあっちこっち駆け回ってはしゃぐメイ。

「ちゃんと雪がつかめるのですね」

「雪合戦もできるのよ。ほらっ」

そう言ってレンが雪玉を握って投げると、メイは華麗に身をかわしてみせた。

「それーっ!」

対してメイが投げ返した雪玉は――。

レンが負けじとかわすと、ものすごい勢いで遠くまで飛んでいく。

「本当だ。すごいねぇ」

周りのプレイヤーたちはフード少女の投げた雪玉が100メートルほど飛んでいったことに驚いているが、ツバメとレンは慣れっこだ。

街行くNPCやプレイヤーたちも、雪渓用の外見になっているものがほとんど。

メイは夢中になって街を駆け回る。

「うわっと!」

そしてうっかり、街路樹にぶつかった。

木に積もっていた雪が落ち、メイは大量の雪をかぶることに。

「てへへ」

「ふふ、こんな仕掛けもあるのね」

「楽しいですね」

もちろんダメージ等はなし。

雪まみれになったメイは、濡れた犬が水気を飛ばすのと同じ方式で、身体をブルブル振って雪を飛ばす。

「……手を使って払う方がいいかもね」

「そうですね」

身体を振るうやり方は「野生動物味が強いから」と思いつつ、毛皮のマントに残った雪を払うレンとツバメ。

そんな二人の何とも言えない表情に、メイは首をかしげるのだった。

「さて、どこに向かいましょうか」

雪の積もっているところに向かって行っては手形をつけてみたり、足跡をつけてみたりと楽しそうにしているメイ。

ウェーデンの街を歩きながら、三人は次の行き先を考える。

「結局、銀賞が限界だったな」

「それ以上はやり込んでないと無理だな。ウェーデン民は結構ハマってるやつ多いからいけるんだろ」

「まあ賞品はアイテムとかだし、名前が載ることくらいしか報酬もないからな」

「でも……」

「ああ、でも……やり始めたらついついやっちゃうんだよなあ。まさか8時間も続けちゃうとは思わなかった」

「……何の話だろう」

メイは通りがかりのプレイヤーたちの会話に、耳を傾ける。

「いやー、こんなに遊んじゃうとは思わなかったな。スノーボード」

「ッ!」

聞こえた言葉に、メイの耳と尻尾がピンと立った。

「なるほど、やっぱり雪山ときたらこのミニゲームよね」

「話に聞いたことはありましたが、ウェーデンにあったのですね」

「どんなミニゲームなのっ?」

メイ、ワクワクしながら問いかける。

「ゲームの基本はスピード勝負よ。1秒以下を争う戦いになるわ。滑走に補正も効いてるから、コース取りとスキルの使い方次第って感じでしょうね」

「中には速さではなく、スキルを使った格好良いジャンプなんかを披露して遊んでいる人たちもいます。ただ滑って降りるだけでも楽しいみたいですよ」

「わあ……やってみたいですっ!」

基本的に誰にでも遊べるスノーボードと聞いて、メイはさっそく手を上げる。

「いいわね。聞くところによると景色もいいみたいだし、行ってみましょうか」

「はいっ!」

「楽しみです」

こうして三人は、スノーボード目当てでやってきた人たちが使うウェーデン街のポータルへ。

使用するとすぐに、山の中腹まで飛ばされた。

「すごーい……」

「いいわね」

「どこまでも雪景色が広がっています」

目の前に広がるのは、陽光に照らされる雪景。

たどり着いた山の中腹からは、さっきまでいたウェーデンの街を見下ろすことができる。

何時間でも見ていられそうな壮観な景色に、三人並んだまま目を奪われる。

「あと1秒がどうしても詰められねえ……っ」

「ここからはもう、こだわりの領域だな」

聞こえてきたのは、スノーボードに熱中しているプレイヤーたちの声。

見れば結構な人数が、雪山の中腹に集まってこのミニゲームを遊んでいるようだ。

『――――スノーボードに挑戦しますか?』

「はいっ!」

現れたメッセージに、元気よく応えるメイ。

すると足元に一枚の『板』が現れた。

足を乗せるだけで、板に足裏が吸いつく。

レンはレース模様の刻まれた真っ黒な板。

ツバメはネイビーの本体に、クロスしたダガーの紋章の入った板。

「「「…………」」」

そしてメイは、原木の味をしっかり活かした一枚板の削り出しになってる。

「ここまで徹底してるのー!?」

「メイさんの世界観を壊さない配慮ですか……」

「京都の景観みたいな気の使われ方ね」

「どうぞお気になさらずにーっ!」

メイの『野生児』感を守るため、しっかり合わせてきた『星屑』に、メイは悲鳴をあげたのだった。