軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

232.姿を隠します!

「メイの耳は装飾品だから、フードは頭装備で探すのがいいわね」

「そうなれば獣耳装備によるスキルは、そのまま使うことができます」

「その場合、猫の耳はどう見えるの?」

「どの装備品を『上』に表示するかで変わります。フードから耳が突き出てる感じにもできますし、フードに隠れている感じを出すために非表示化もできます」

この辺りの重複をしっかりしているのが『星屑』の外見システム。

とはいえ多少知識が求められる点なので、メイはまだ知らなかった部分だ。

「そうなんだぁ、どんなのがいいのかな」

「それはメイが見た目で好きなものでいいと思うわ。単純にお買い物気分でいきましょう」

「りょうかいですっ!」

やって来たのはラフテリアの防具店。

この港街で売られている商品は、幅が広い。

頭装備のフードも、あれこれと選べるくらいの種類がある。

「黒のフード……カッコいい」

そんな中でメイが最初に目を付けたのは、黒のフード。

フチ部分にも同じく黒のレースが付いた一品は、闇の魔術師が被っていそうな一品だ。

「やめておきましょう」

メイにできるだけそっち世界に行かせたくないレン、即座に促す。

「メイさん、こちらもお願いします」

そう言いながらツバメが持ってきたのは、茶色の毛並みに耳が付いた、犬っぽいフード。

「か、かわいい……っ」

メイだとばれないようにするという目的を忘れて、『好み』だけでこれを持ってきたツバメ。

素直にかぶってみせたメイに、思わず震え出す。

「あはは。これだと普段と変わらないよ、ツバメちゃんはうっかり屋さんだなぁ」

そう言いながらほほ笑んでみせるメイに、ツバメはうっとり。

「ああ……もうこのままアサシンされてもいいです」

「落ち着きなさいよ」

いよいよ暗殺されてもいいと言い出すアサシンに、レンがツッコミを入れる。

試着で遊ぶ感じも、VRMMOの楽しみの一つと言える部分だ。

「……これ、いいかもしれません」

「ツバメは時々妙なことを始めるわね」

「あはははは」

目出し帽をかぶって強盗スタイルになったツバメに、笑うレンとメイ。

「しっかりと顔を隠しつつ、装備の感じに似合うのはこの辺かなぁ」

普段は白地の上着に、白銀の部分鎧を装備しているメイ。

そこにミルクティー色の毛皮をまとうとなると、フードも似た色が良い。

そう考えてシンプルな白いフードを選択。

「これなら、メイって分からないわね」

「そうですね。いい感じです」

毛皮のマントにフードという装備は、これまでとは大きく見た目が異なる。

これでメイだと気づくのは難しいだろう。

「それじゃポータルで移動しましょうか。ノルディカ雪原付近なら、まずは入り口のウェーデンね」

すっかり慣れてきたポータル移動。

ウェーデン側のポータル広場は、大きな城の中だった。

「わあ……」

白を基調にした柱の一本一本から球形の天井まで、上品な装飾が刻まれた大ホールの中心に、ポータルが設置されている。

「おうおう、そんな格好じゃ寒いだろ?」

深紅の絨毯の上をやって来たのは、城の紋章が入ったコートを着込んだドワーフのような体型のおじさんだ。

「装備を雪渓用に仕立て直してやろうか?」

「ああ、そういえばそんなシステムもあったわね」

「どういうことですか?」

「装備品がそのまま耐寒風の見た目に変更されるっていうサービスね。装備自体は変わらず、その効果も変わらないけど、外見が『雪山』でも寒そうに見えないものに変化するのよ」

「面白そうですね」

「せっかくだし頼んでみましょうか」

「ああ、任せとけ」

仕立て屋に装備変化を頼むと、すぐに見た目が変わる。

ツバメは口元の隠れるふわふわのマフラーに耳当て。

ブーツの内側に見えるのは、もこもこしたボア。

一気に冬用装備っぽくなった。

レンも襟にファーが付いた黒のコート姿になり、しっかりと魔術師らしい雰囲気を残している。

「このファーの感じ……中二病の強キャラって感じね」

その点も見事に残ってしまっている点に、レンは苦笑い。

「わあ! 二人とも結構雰囲気変わったねぇ! レンちゃんはカッコいいし、ツバメちゃんは可愛い!」

レンやツバメも、普段の感じからは明らかに変化している。

対してメイは毛皮のコートを装備していたせいか、ブーツにボアが付き、新たに装備したフードが厚手になったくらいでとどまっている。

だがこうなると一転、見知らぬパーティといった雰囲気だ。

三人一緒にいるのを見ても『噂のメイたちだ』とはならないだろう。

「いい感じじゃない」

「外に出てみようよ!」

メイはもう、早く雪が見たくてたまらないといった感じで尻尾をブンブンと振り回している。

そのままうれしそうにホールから廊下へ。

「わあー! すごーいっ!」

そのままお城から表に駆け出すと、そこは一面の雪景色だった。