軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1503.謎の少女

突然の攻撃から、レン、ツバメ、まもりを続け様に転倒させた謎の褐色少女。

最後のぶつかり合いは、メイとの一騎打ちとなった。

「【ジャガー・クルレール】」

謎の少女は疾風のような速さで接近して、手にした飾り付きの槍を大きく振り払う。

「【アクロバット】!」

これを後方への宙返りでかわすメイ。

着地すると、少女はさらに前へ迫り出る。

槍による突きの連打を、メイはしっかり見てかわす。

続く振り払いを伏せて避け、そこを狙った振り降ろしを足を振り上げる大きな後転で回避。

怒涛の攻撃に対して、かすめることすらなし。

「【ドラクロア・インパラーレ】」

わずかに離れた距離。

放たれる超高速の刺突は、『必殺』と呼べるほどの圧倒的な速さを誇る。

しかし『突き』は『点』の攻撃という認識のメイ。

一直線に飛んでくる蜂を手の払い一つで退かすように、槍の穂先をなんと手で払って軌道をそらす。

「「「っ!!」」」

ツバメたちも、これを普通にやってみせたメイにあらためて驚愕する。

再び振り返り、向き合う両者。

「【ジャガー・クルレール】」

「っ!」

放つ槍の払いに対してメイが跳んだところで、空いた手に光の槍を生み出す。

「【ルクスド・ランシア】」

軽い投擲で、対応。

槍使いが片手を自由に使ってくる可能性は考えていなかった、メイの虚を突いた。

「わあっ!」

メイはこれを受けて、そのまま着地。

「【ドラクロア・インパラーレ】」

即座に放つ超高速突きを防御で受けて大きく後退し、両者の間に生まれる距離。

「【イアケレ・エッジ】」

ここでの槍投擲は、メイがまだ後退の余波の中にいる状態のため良い選択。

防御されても跳ねた槍は、手前に落ちるはずだ。

仮に避けられてもさらなる余波が、体勢を崩すだろう。

しかし。

「【投石】!」

「「「っ!!」」」

メイが投げた石は、見事に投擲寸前の少女の手に当たってスキルの発動を強制停止。

とんでもない主導権の奪い方に、再び驚かされるまもりたち。

メイは一気に距離を詰め、突き出した剣を少女が慌てて槍で受ける。

続く強い振り降ろしで、弾かれ合う両者。

踏み込みから放ったメイの大きな振り上げを、少女が速いサイドステップでかわす。

回避しながら持ち直した槍、少女は力強く突き出す。

これをメイがかわしたことで、続ける攻撃。

しかしそれが槍にしてはややめずらしい、振り降ろしだったことで勝負が動く。

「【装備変更】! とっつげき――――っ!!」

メイは逃さない。

頭装備を【鹿角】に換えてのパリィが、ここでも見事に炸裂。

互いに隙が生まれるが、もちろん復帰はメイの方が早い。

「【裸足の女神】【装備変更】!」

最速で踏み込んで、放つは【肉球グローブ】による【狐火】拳打。

「【キャットパンチ】パンチパンチパンチパンチパンチパンチ!」

突き刺さる猛烈な拳。

激しく飛び散る青い炎の中、敵少女が大きく下がったところで攻撃方法を変更。

「【装備変更】!」

【世界樹の剣】で二連撃の通常攻撃を決めたところで、さらにスキルを発動する。

「【蛮族流】【装備変更】っ!」

メイの装備が【地帝の斧】と【世界樹の剣】のコンビに変わった。

「【裸足の女神】!」

そして超高速の接近から放つのは、斧による払いの一撃。

「【大切断】!」

だが少女はこの一撃を、寸前のところでしゃがんで回避してみせた。

これには驚くレンたちだが、メイの次撃は最速で迫り来る。

「からの【フルスイング】だああああ――――っ!!」

しゃがんだ状態からでは、即座の回避は不可能。

それでも謎の女は回避を狙うが、振り下ろされる剣は異常な速度だ。

「くっ、ああああああ――――っ!?」

豪快なエフェクトの振り降ろしに肩を弾かれると、そのまま砂煙を上げて地を転がり、建物の壁に深くめり込んだ。

ゴロゴロと落ちてくる石材の中、倒れた少女は足を振り上げた勢いで身軽に立ち上がる。

敵少女のHPは、残り五割。

すると槍を降ろし、メイに向けて言い放つ。

「やっぱりな。オマエが強いのは、匂いで分かっタ」

「匂い……?」

メイはクンクンと袖の辺りに鼻を近づけて、首を傾げる。

「思った以上に強いヤツがいる……オマエの名ハ?」

「メイですっ!」

「覚えておク」

そう言い残して、踵を返そうとする。

「情報の一つも残さず逃がすと思う!? 【誘導弾】【フレアストライク】!」

レンは即座に火炎弾を放って攻撃。

しかし謎の女が腕のバングルを輝かせると、一気に腕から無数の枝が伸び出し葉を生やす。

そして生まれた枝葉の片翼が、少女を炎から守る。

そのまま枝葉は燃え尽きて、灰となって消えた。

「覚えてろ。次は全員――――エサにしてやル」

そう宣言して四階建ての建物にジャンプ一つで飛び乗ると、そのまま屋根の上を猛獣のように駆けて行ってしまった。

「なんだったのでしょうか……」

「す、すごいパワーでした」

思わぬ強敵との戦いが終わり、息をつくツバメとまもり。

付近にいた観戦者たちも、メイがレベルの高い人型の敵と戦うところを目の当たりにして、呆然としている。

「……何かが、始まったのかもしれないわね」

レンは思わぬ襲撃に、困惑しながらかすかな興奮を覚える。

そしてその予想は、現実となる。

謎の少女による、突然の急襲。

驚異的な強さを見せつけての撤退。

恐ろしい少女の存在はすぐに話題となるが、この事件が起きたのはフィレンティーナだけではなかった。