軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1501.報酬をいただけるようです!

「いや、異世界すごいなぁ……」

「魔物の癖が強いって、めちゃくちゃ怖いよな」

「でも、メイちゃんの冒険者酒場には行ってみたい……!」

異世界の新たなマップに作られた街は、すっかり話題となっていた。

「あれ見た? 低レベルで酒場にたどり着けるかやってみた動画」

「見た見た! サツキタウンを抜けたところで魔物に追いかけられたところ笑ったよな」

「あの逃げっぷりな!」

中には低レベルで異世界に赴き、冒険者酒場にたどり着けるかというチャレンジをする者までいて、盛り上がっている。

メイちゃん酒場チャレンジは、走行や逃走に合うスキルを組み合わせて、スリルと隣り合わせの挑戦をするのが楽しいようだ。

「この写真、とても良いですね」

海の青に陽光が反射する、ラフテリアの堤防の上。

そう言って広報誌を掲げてみせたのは、ツバメだ。

「は、はひっ」

そこにはメイたちのテーブルを中心に、街作り組の面々が映り込んでいる。

まさに冒険者たちが集まって、酒場で盛り上がっているといった感じで、目を引く一枚だ。

「また、宝物が増えてしまいました」

そこそこの人数が、同じ画角に入っているスワローの方をツバメだと誤認している一枚だが、それでもツバメは嬉しそう。

マーちゃんたちも良い場所に街ができたため、死に戻り前提で異世界を進んでいるとのことだ。

「死に戻り前提の攻略も、楽しいわよね」

「少しでも情報やアイテムを回収して、というやつですね」

戦って勝つことより、少しでも生きて多くの情報などを持ち帰って共有する。

少し『狙い』が違う冒険も、楽しいものだ。

「な、七不思議にもドキドキしてしまいました」

戦うだけでは解明できない謎も、今回は異世界の恐ろしさを物語っていた。

これまでにはなかった話す擬態の魔物は、危うくハウジング勢を崩壊させるところだった。

「異世界から危険を持ち込まないための確認も、すごかったね!」

なかなかない展開を思い出して、メイも感嘆する。

「そうそう、なんでも今回の橋作りと街づくり。特殊な報酬が出るらしいわ」

「特殊な報酬ですか?」

「そう。街も橋もクエストとは違う形だったでしょう? でも大きな建築物とかを危険な場所に作って完成させると、経験値に加えてハウジング系ギルドからその規模に合わせた報酬券がもらえるらしいの」

そうすることでハウジング勢も戦闘以外の方法でレベルを上げ、スキルや装備品などを手に入れているとこのことだ。

「みなさーん!」

「マーちゃんさん!」

すると折よく現れたのは、異世界の街作りにいそしんでいる商人のマーちゃん。

「今回はメイさんたちトップグループあっての街づくりでした。そこでハウジング勢から皆さんに、報酬券を使って欲しいという事になりまして。お礼ですね」

三度の橋崩壊と、ハウジングの精鋭と魔物が入れ替わる形での妨害。

そんなとんでもない状況を乗り越えられたのは、五月晴れとシオール達のトップチームの助力あってこそ。

そこでハウジング勢は、この両パーティに報酬を受け取ってもらおうと考えたようだ。

「いいの?」

「私たちもメイさんが見つけた新たな石材や、経験値はもらっていますので、十分プラスになっていますから。報酬券もまだ枚数ありますし」

「なるほどね。それなら遠慮なくいただいておくわ」

「ありがとうございますっ!」

「いえいえこちらこそ。これでまた異世界解明に向けて一歩踏み出しました」

こうしてメイは、マーちゃんから【報酬券】を受け取った。

「それならさっそく、報酬券を使いに行ってみましょうか」

「いきましょうーっ!」

四人は異世界素材の売買に向かうマーちゃんと分かれ、ハウジングギルドがある街へポータルで向かうことにした。

建築様式ごとに散らばっているため、今回は場所を知っているフィレンティーナを選択。

橙の屋根が目立つ古都の宮殿を通り、そのまま聖堂の脇にある建物へ。

そこには中世を思わせる石造りと木製のカウンターが並ぶ、ギルドらしい光景が広がっていた。

「報酬をもらいに来たんだけど」

レンがそう告げると、受付の女性はメイの持った【報酬券】を確認。

「これはギルド最高ランクの券ですね……大きな事業をなされた方に与えられるもの。すぐに用意しますので、こちらへどうぞ」

そう言って四人を、報酬受け渡し用の部屋へと案内する。

そこは古い時代の執務室を思わせる、石材と木の一室。

受付の女性は【報酬券】を確認しながら、ベルを鳴らす。

すると係の男たちが、使い込まれてアメ色になった木箱を持ってやって来た。

「こちらが今回の報酬となります。ギルド発展に大きく寄与する素晴らしい働き、お見事でした」

そんな丁寧な挨拶と共に、下がる係の者たち。

並んだ木箱を、さっそく皆で開けてみる。

まずはツバメ。

【暗殺者のフード】:闇色の紋様入りフード。隠密関連スキルの効果を上昇強化する。耐久15、敏捷20。

「本気の仕事では、スッとフードをかぶるのですね」

「隠密関連スキルの強化……いよいよって感じがするわ……!」

ツバメの消えて討つ攻撃の威力上昇、レンは思わずワクワクしてしまう。

続けてまもり。

【リフレクトシールド】物理攻撃を完璧なタイミングで受け止めると、そのままの威力で反射する。反動とクールタイムが長い。

「タイミングが難しい分、大物の敵が大きく体勢を崩すことになりそうですね」

「おおーっ! 魔法も剣も跳ね返しちゃうんだね!」

魔法に対しての反射能力に加えて、即効性のある物理反射。

面白くなりそうなスキルに、まもりは息を飲む。

続けてレン。

【アルティマ・ラティオ】:反する属性の魔法を一つずつ混合して放つ魔法の最終奥義。混合できる魔法のグレードと完成時間は『知力』に依存

「なるほどね」

「格好いいスキルですね……! これは最終奥義の感じがします!」

説明文を読んで楽しそうに笑うレン。

これもなかなかに強力な武器になりそうだ。

最後はメイ。

【原始の王兜】:古代の恐竜の骨や鮮やかな鳥の羽で作られたヘッドバンド。スキル【百獣の王】の使用が可能となる。耐久25。技量20。

「ひゃくじゅうのおう……」

「ついに来ましたね」

「ふふっ、また見た目が一気に大自然界の女王になるわね」

「か、カッコいいです」

「本当に王様感がすごいよーっ!」

インナー装備の状態で使ったら、いよいよ自然界の王者を自任するような見た目に、言葉を失うメイ。

だが装備品としては、十分に強力だ。

「これで、異世界の報酬も確認できたわね」

「この後はどうしましょうか」

「せっかくだし、街でも歩きながら考えようよ」

「それもいいわね」

「は、はひっ! ぜひこの街の名物を探してみたいですっ!」

こうして四人は、古都フィレンティーナの街を歩いてみることにした。

続く街並みは、丸屋根の聖堂を始めとして見どころが多い。

青い空に深い橙の屋根が続く光景は、何とも美しい。

……しかし。

そんな屋根の上に、潜む眼光。

毛皮をまとった一人の少女が、槍を手に立っていることには、まだ誰も気づいていない。