軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1500.星屑運営

大量のモニターが並んだ、とある大型ビルの一室。

そこでは星屑のフロンティアに関わる者たちの一部が、一つのライブ映像に目を向けていた。

「思ったより、だいぶ早いですね」

「すでにA級S級のクエストが、多く達成されているからな」

「異世界からの侵攻を止め、拠点を作成」

「旧世界のポータル復活と、人を真似る危険種族の打倒、飛行艇の起動に、月文明への到達。そして利用……全てがそろっています」

「メイちゃんたちの力ですね」

「そうなるな」

「さらに五月晴れに追いつこうとしたトップたちが熱くなり、クエストを次々クリア。切磋琢磨が行われた」

「その楽しそうな姿に惹かれた者たちが集まり、予想を大きく超える多くのプレイヤーがやってきてくれて、レベルアップも急速に行われた」

「世界が、盛り上がった」

「そうなれば当然様々なスキルや武器、アイテムに従魔が見つかり、戦い方も拡大していく」

「その結果、たどり着いてしまったわけですね」

今までそこには、どこまでも広がる海だけが存在していた。

どの大陸からも離れた、その海域に広がる光柱。

天に向かって勢いよく伸びると、続けて海面が大きく盛り上がる。

流れ出す大量の水が海に還れば、そこには巨大な島が浮かび上がってくる。

今まで、地図になかった大地。

地面に描かれた紋様から『生える』石造りの建物たち。

地面に陽光が当たると、一気に木々が伸び出していく。

そしてあっという間に、巨木が並び立つ密林の巨島ができ上がった。

「良いのでしょうか。世界を大きく変えてしまうどころか、これまでとは目指すものが変わってしまうようなことすら、起こしうる存在だなんて」

「そもそも不利ですよね、今のレベルだとプレイヤーの方が。そういう意味でも危機だと言えそうです。もっと様々なものが成熟してからだったら……」

若い開発者の言葉に、上司らしき人物は緊張を見せながら応える。

「だからといって、このクエスト自体をやめて様子を見るというのも違うだろう?」

「ふふ。力を持った人間たちにより大きな力が牙をむくのは、自然の節理だからね……」

「特殊な文明を持ち、何より『武』を尊ぶ者たち。プレイヤーが、人類が『ラインを超えると』現れる」

「いよいよ目覚めるんですね……現世界の進度を知ったあの文明が」

「世界を変えかねない者たち……か」

「負ければ街でも国でも崩壊するクエストを作ってきた我々も含めた、本当の『星屑』の危機ですね」

「ああ……これは間違いなく窮地だよ」

「だからこそ信じましょう。星屑に生きる者たちの強さを」

完成したのは、これまでの世界では見たことのない植物が並ぶ島国。

運営すらも迷う、新たな勢力の登場。

それは確かに、自分たちが生み出した物語だ。

しかし彼らの目は自然と、五月晴れを映したモニターへ期待の目を向けた。

「メイちゃんたちがいたから、『星屑』はここまで来られた。だからこそ、こんなにも早く運命の時が訪れた」

「状況はプレイヤーが不利」

「それでも私は、五月晴れを信じます」

「これまでいくつもの危機を乗り越え、その楽しさで、多くの人をこの世界に夢中させたメイちゃんたち」

「彼女たちなら、きっと」

「私たちも動きましょう。久しぶりの、大きなプロモーションを仕掛ける時です」

「そうなるな」

緊張を見せる運営の面々には、同時に楽しそうな笑みも見られる。

「すでに素材や動画、広告用大型モニターの予約、各種イベントの用意はできています」

「そうか。ではすぐに投下を始めていこう。外部でのリアルライブ上映なんかも人気になりそうだ。そして……」

「……はい」

「踏み出そう――――『星屑』を賭けた戦いに」

「「「はいっ!」」」

こうしてプレイヤーたちの与り知らぬ状況下で、覚悟を決めた運営。

気合の一声と共に、新たなクエストが動き出すのだった。