軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1480.紛失事件の原因は?

「それでは街作りを再開しましょう!」

「「「おおおお――っ!!」」」

楽しいアウトドア料理を楽しんだ後、マーちゃんの掛け声で再び始まる街づくり。

「まさかもう一つ【十字架】が必要になるとは」

マーちゃんはさっそく、樹氷の魔女たちに頼まれた【十字架】を取って来た。

これの色を黒にすることで、闇教会のモチーフとするようだ。

「礼を言うぞマーちゃん殿。これで我らの拠点が完成する」

樹氷の魔女は隠しきれないスキップで、ハウジングの続きに走る。

こうして黒の集団を見送ったマーちゃんは、本物の教会用の十字架を取り出すが――。

「あれ?」

見当たらない。

「どこかで【十字架】を使いましたかー?」

教会用の十字架は、さすがに三つ要らないはず。

それにも関わらず資材置き場からなくなっていることに、困惑しながら問いかける。

しかし、どこからも声は上がらない。

「おかしいですねぇ」

辺りを駆け回って確認してみるが、やはり樹氷の魔女たちががしれっと街の隅に作っている闇教会以外に【十字架】を使っているところはない。

再び資材置き場兼本部に戻ってきたマーちゃん。

今度は【鐘】がなくなっていた。

「【鐘】も使ったのですか……?」

教会用の【十字架】に続いて【鐘】の紛失。

不可解な事実に、マーちゃんが首を傾げていると――。

「なあ、【本棚(小)】を知らないか?」

「マーちゃん、【ベンチ(一人用)】知らないかな?」

ハウジングプレイヤーと、手伝いに来たのであろう掲示板組女子が問いかけてきた。

「どうかしたんですか?」

「それが急になくなっちまって」

「こっちもです。作業中、目を離したら急に」

続くハウジングアイテムの紛失。

あらためて辺りを歩いて、探してみるマーちゃんたち。

「あ、あれ?」

まもりが首を傾げる。

冒険者酒場に置こうと思って持ってきた【炭酸水】のビン。

自身の左側に置いてあったはずなのに、なくなっている。

しかたなく右を見ると――。

「あれーっ!?」

さっき確かに置いたはずの【冗談みたいに大きなグラス】も、なくなっている。

「どうしたのー?」

そこにやって来たのはメイ。

「カ、カウンターの後ろの棚に並べようと思っていた炭酸水と大きなグラスが、突然なくなってしまって……」

急にアイテムがなくなることなど、もちろん基本は起きえない。

「近くを探してみようよ!」

メイはそう言って、まもりと辺りをウロウロしながら探してみる。

「鍛冶用の【金槌】が消えた……!」

「宿屋用の【帳簿】がなくなってる!?」

すると付近のプレイヤーたちからも、ちょくちょくそんな声が聞こえてきた。

「何がどうなってるのかしら」

「不思議ですね」

騒がしくなってきたこともあり、レンとツバメもやって来た。

こうなってくると、いよいよ訳が分からない。

メイたちは並んで不思議がる。

「っ!?」

小さな異変に気付いたのは、やはりメイだった。

「何か、歪んでる?」

十メートルほど先の建物の壁に目を凝らしてみると、まるで大きな水滴でもあるかのように、わずかに空間が歪んでいる。

「あっ、何かいるよ!」

メイがじっと見つめると、ツバメたちも続く。

するとその先には、掲示板組のものよりはるかに透明度が高く、真水のようなスライムの姿がある。

圧倒的に見つけにくいそのスライムは、その建物に立てかけられていたハンマーに飛び掛かり体内に取り込むと、そのまま溶かして吸収してしまった。

「ああっ! なくなっちゃった!」

こうして異変の正体に気づいたメイが視野を広げると、想像以上のスライムが存在することに気づく。

「あそこにもスライムがいる! ああっ! あっちにもいるよ!」

「うおおっ!? なんだこいつ!?」

するとメイの声で異変が紛れていると気づいたハウジング勢たちも、無色透明なスライムの存在に気づき出した。そして。

発見されたことに気づいたスライムたちが、一気に動き出した。

「待って! これ組織的に盗んでない!?」

なんとその身体にハウジングアイテムなどの一部だけを取り込み、逃げ去っていく。

「アイテムたちを、持ち逃げしようって言うのですか!?」

めずらしい生態の魔物に驚きながらも、レンは杖を構える。

「【誘導弾】【連続魔法】【フレアアロー】!」

ビームのようになった炎の矢が続けざまにぶつかり、跳ね転がるスライム。

「一撃打倒には、ある程度の火力が必要みたいね……! 【誘導弾】【ファイアボルト】!」

最後の一撃は調整して、見事にスライムを打倒。

「「「うおおおおお――――っ!?」」」

すると街中の各所に隠れていたスライムたちも、一斉に動き出した。

「速っ!?」

鍛冶屋が店頭に飾ろうとしていた短剣は軽く、スライムも速い移動であっという間に離れていく。

「【加速】【リブースト】【稲妻】!」

ツバメは武器を【村雨】に持ち替えることで、ギリギリで一撃打倒に成功。

「【スティール】で取り戻せという形でなくて、本当に良かったです……!」

心の底からの安堵を見せた。

だがスライムは予想以上に多く、すでにいくつものアイテムが逃げる敵の『手中』にある状態。

「とにかく全員でスライムを追いかけて叩きましょう! 街作りの資材を盗むなんて見逃しておけないわ!」

「りょうかいですっ!」

「はいっ!」

こうしてスライムたちとの、熾烈な資材の奪い合いが始まった。

「よし! 返してもらうぞ!」

見事な斧の振り降ろしが決まって、【ランプ】を手放させた戦士女子。

「ああっ!?」

拾おうとしたところを、さらに別のスライムが奪って逃走。

「そうはさせないよーっ! 【ファイアウィップ・エクスプロード】!」

そこを見事にローチェのムチが捉えて、ようやく返還。

「ありがとうございます……!」

「ローチェちゃんにお任せあれっ」

見事なポーズで返すローチェだが、作り掛けの街はまだまだ広い。

「それは持って行っちゃダメぇぇぇぇ――――ッ!!」

今度は【銀のティーポット】を奪われたローチェが、ムチを乱打しながら追いかける。

どうやらまだまだスライムからの『奪い返し』が、必要になりそうだ。