軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1461.次は重鎮石です!

「ゴール!」

危険な坑道を飛び出したメイたちは、見事に【不腐鉄】鉱石を回収してみせた。

前衛二人の持ってきた量はなかなかのもので、特にメイは一人で信じられない量を抱えていた。

「さて残る問題は、こいつらだけね」

いーちゃんの起こした風によって、坑道の外に転がり出てきた三体の魔物。

何度倒しても元に戻る骨の化物は、『持ち場』に戻っていこうとするが――。

「メイ。まとめて三体を一撃でお願いしても良い?」

「りょうかいですっ! 【バンビステップ】!」

抱えていた鉱石を降ろすと、メイは一瞬で骨の魔物たちの間に踏み込んだ。

「【装備変更】大きくなーれ! 【フルスイング】!」

【蒼樹の白剣】で豪快に一回転して、敵三体を依頼通り一撃で打倒。

すると骨が砕け散ったところにすぐさま、レンが【ヘクセンナハト】を構えた。

「【フレアバースト】!」

そして効果範囲を広げた爆炎で、すでに倒れ伏している骨の魔物に、ダメージの加算されない追撃を叩き込んだ。

一見無意味な行動に、首を傾げるメイ。しかし。

「そういうことですか……!」

ツバメがつぶやく。

メイに崩された後、レンに燃やされた骨の魔物は復活をしなかった。

「もしかしてと思ったけど……砕いた後にオブジェクトになった本体を、さらに粉々にするような追い打ちをすることで、ようやく本当に倒せるみたいね」

「復活を始めるまでに追い打ちをしないと、何度でも生き返るわけですね」

「や、やっぱり異世界のルールは少し、特別なんですね」

癖のある洞窟に、独特の戦い方が必要な敵。

荷車に鉱石を流し込んだメイは、そのまま馬にまたがると、笑顔で振り返った。

「でもすっごく楽しかったよーっ! 見知らぬ新しい世界って感じで、ワクワクしちゃうね!」

尻尾をブルブルさせている姿に、ツバメたちも思わずうなずき合う。

「一人でこの世界を進むのなら、見知らぬ世界のスリルを味わう感じだと思うけど、皆一緒だと楽しいわね」

「はい。新しい敵や謎に挑むことも、皆さんと一緒にいることで面白さに変わります」

「や、やはり初めての要素、強く興味を引きますね……!」

行きは空っぽだった荷車の一角に積んだ【不腐鉄】鉱石。

少し狭くなった荷台に、ツバメたちは寄り添うようにして座る。

こうして四人は、来た道を真っ直ぐに戻っていく。

続く緑の森はやはり、少し変わった風景をしている。そして――。

「……なに、あれ」

レンが馬車の後を追って来る、怪しい影に気付いた。

足の速い馬車をピッタリと追ってくる影は、太陽光によって生まれる影と見た目は全く変わらない。

「馬車を追ってくる影の敵……こんなの初めて見ました」

そしてツバメが、そうつぶやいた瞬間。

「か、影が……伸び上がってきました!」

どうやら本当に、これまでとは違うタイプの魔物が多いようだ。

黒い液体のように大きく伸びた影が、雑に作った悪魔の手のような形状になり、迫ってくる。

「【誘導弾】【連続魔法】【ファイアボルト】! 【フレアストライク】!」

影は迫る炎弾をかわして、敵はさらに接近。

「そういうことならっ! 【ファイアウォール】!」

「強引に突破してきました!」

炎を喰らってでも距離を詰めてきた影は、右側に回り込みながら攻撃体勢に入る。

「メイ! 右に曲がって!」

「りょうかいですっ!」

メイの早い反応で、悪魔の手攻撃をギリギリかわす。

「【連続投擲】!」

「【連続魔法】【フリーズボルト】!」

今度はツバメとの連携で合計八連発の攻撃を行うも、やはり影はこれをかわして近づいてくる。

「ダメね……! 馬車を壊されないよう降りて戦いましょう!」

「メイさんは一度、距離を取ってください!」

「りょうかいですっ!」

こうしてレンたち三人は荷車から飛び降りて、影の前に立ち塞がる。

すると相手もその場に止まり、始まるにらみ合い。

「な、何ですかこれ……っ」

驚きの声を上げるまもり。

見れば付近の木などの影が一斉に揺れ動き始め、伸び出してきた。

「来るわ!」

そして不出来な悪魔の手のような形状になった無数の影が、次々に攻撃を開始。

「【投擲】!」

挨拶代わりの【ブレード】はしかし、影をすり抜ける。

「【フレアバースト】!」

一方爆炎は影を焼き尽くし、まとめて四体程の敵を消滅させた。

「ふ、増える数の方が早いです……っ!」

しかしこちらが倒す敵の数より、付近に無数にある影が『敵になる』速度の方が早い。

三つの影が同時に迫り、鋭利な刃と化した『指』で攻撃を仕掛けてくる。

「【クイックガード】……【天雲の盾】盾盾!」

「【低空高速飛行】【フレアバースト】!」

まもりは悩みながらも、魔法系攻撃対応のスキルで防御に成功。

直後に前に出たレンの魔法で、三体の影を吹き飛ばした。

「本当に癖のある敵が多いわね!」

しかし、それと当時に四体の影が追加。

状況は不利に傾く一方だ。

「パターンとしては……本体を倒す必要がある形かしら!」

終わらない戦いを鑑みて、レンは一つの答えにたどり着く。

しかし最初の場所に、すでに『親』であろう影はなし。

「それなら動かないのが本体というのが鉄則でしょうか! そこですっ!」

どこの影も動いているのに、岩の影だけがとどまっていることに気づいたツバメが攻撃。

投げた【雷ブレイド】は、岩陰に刺さって雷光を閃かせた。

「「「っ!!」」」

すると一転、本体の影が攻撃体勢に入る。

付近の影を一斉に取り込むと、さらに伸び出し大型化。

家一軒分はあろうかという巨体に驚きながらも、ツバメは再度【雷ブレイド】を投擲する。

「本体には、物理が通ります!」

確かに刃が刺さり、ダメージになったのを確認。

ツバメは反撃に出ようとするが――。

先手は巨大な影の【突進】

「【地壁の盾】っ!」

まもりが先頭に飛び出して、慌てて直撃を受け止める。

「「「きゃああああ――っ」」」

しかしその威力は高く、ダメージこそ僅少だが三人同時に転がった。

「【バンビステップ】!」

「メイさんっ!」

ここで荷車を一度避難させたメイが、砂煙を上げて駆け込んで来た。

「いきますっ! 【裸足の女神】っ!」

一瞬の超加速で距離を詰めると、大型化した影の懐に飛び込む。

「【蛮族流】【装備変更】!」

これに対し敵は【硬化】を発動。

身体の硬度を変え物理防御を上げていくが、すでにメイの手には二本の武器が握られていた。

地面が揺れるほど強力な踏み込みから放つのは、左手の【地帝の斧】

「【大切断】!」

見た目には、人間が使うのには大きめな斧による一撃。

しかし激しいエフェクトと轟音と共に敵の下部に打ち据えられた一撃は、そのまま巨大な影を豪快にひっくり返した。

「「「っ!!」」」

見上げるほどの巨体が、難なく転倒を奪われる。

本来であれば、これだけで十分素晴らしい一撃だ。しかし。

メイにはまだ、右手に持った【世界樹の剣】がある。

続けざま。

流れるように振るわれる剣は、横の軌道だった斧に続けて縦の軌道で迫り来る。

「【ソードバッシュ】だああああああ――――っ!!」

「「「っ!!」」」

無防備な状態の魔物に叩き込まれる一撃は、まるで容赦なし。

吹き荒れる猛烈な衝撃波が、辺り一帯の木々を大きく揺らす。

直撃を受けた影の魔物は、その巨体を粒子に変えて消えていった。

「消し飛んだ……」

「メイさんの攻撃を、二発続けて食らう形ですからね……」

「こ、転がしてから、叩き込む。そう考えると恐ろしいです……っ」

唖然とするレンたちだが、メイは二本の武器を『蛮族』のように掲げて笑う。

「二連続攻撃、ちょっと楽しいかもっ!」

続けざまとなった変わり種モンスターとの戦闘も、見事に勝利。

こうして四人は今度こそ、【不腐鉄】鉱石を持ってサツキタウンへと帰還するのだった。