軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1460.不屈の魔物です!

その難易度の高さから、マーちゃんたちが採掘を辞めた地下坑道の奥。

マーブル地層がのぞく採掘場で【不腐鉄】鉱石を取り出したところに、現れたのは異世界の魔物だった。

「二足歩行だけど……人のものではないわね」

濃い灰色をした骨の魔物は、やや前傾の身体に長い腕。

大きな足で身体を支え、頭部にあるのは二本の角か。

三体が順番に、この場にやって来た。

「くるよっ!」

そしてそのまま走り出し、攻撃体勢に入る。

「……新しいの、試してみてもいいかな?」

「もちろん。まずは軽くお願いね」

「りょうかいですっ!」

メイは笑顔で駆け出すと、骨の魔物による爪の振り降ろしをかわしてスキルを発動。

「【蛮族流】【装備変更】っ!」

右手に【地帝の斧】を、左手に【世界樹の剣】を握って攻撃体勢に入る。

まずは斧を力いっぱい振り払うと、骨の魔物が容赦なく砕けて散った。

「やはり斧は、一発が大きいですね」

「このままいきますっ!」

メイは異種の二刀流のまま攻撃を継続。

「それーっ!」

残り二体の骨の魔物の前に踏み込むと、斧で手前の魔物の腰を叩いて砕き、続け様に剣で奥の魔物の頭を斬り飛ばした。

そこからくるっと一回転。

「【フルスイング】だーっ!」

このスキルは、剣はもちろん斧でも使用が可能。

頭を飛ばされて体勢を崩していた二体目の魔物に、そのままもう一発。

豪快な振り降ろしは、敵を粉々に砕いてみせた。

「やったー!」

「なんていうか、すごく豪快ね……」

「はい。これでまだ斧から剣の連続スキル攻撃も残していると考えると、恐ろしいです……」

形の違う二つの武器を、強大な【腕力】と感覚に頼って振り回す。

その戦い方はまさに蛮族の狂戦士といった風情で、思わず息を飲むレンたち。

実は二本の大きな武器を使って戦うのは意外と難しいのだが、メイは両手の武器を掲げて楽しそうだ。

「それじゃあさっそく、持って帰りましょうか」

あまりにあっさりとした結末。

皆で【不腐鉄】鉱石を拾って歩き出す。

大量の鉱石を抱えるメイに笑いながら、並んでこのフロアを出ようとしたところで――。

「ん?」

聞こえた音に振り返る。

「レンちゃん!」

「きゃあっ!?」

なんと確かに打ち砕いたはずの骨の魔物たちが、完全に元通りの姿になっていた。

跳びかかりから放つ爪の一撃を受け、倒れ込んだレンの手から【不腐鉄】鉱石が転がり出る。

残る二体が狙うのはツバメ。

先行した骨の魔物は低く長い跳躍で爪攻撃を仕掛けてくるが、ツバメはこれを問題なく回避。

すると続いた最後の個体は突然、足先に魔力を込めて地面を踏みつけた。

すると天井のマーブルから、青緑の雫が二滴落下。

「【加速】【リブースト】! くっ!」

気付いたツバメは全力で逃げるが、爆発に弾かれて転がった。

巻き込まれて砕ける骨の魔物と、散らばる鉱石。

ここの爆発は円形の炎を生む形で、規模はやや控えめのようだ。

「なるほど、そういうことね!」

ここでレンが異変の内容に気づく。

爆発で砕けたはずの魔物がなんと、逆再生するように組み上がっていく。

打倒後、すぐに元通りになる敵。

しかもすでに二度目の復活を果たしていることに驚きながら、一体目への攻撃を狙う。

「【誘導弾】【連続魔法】【フリーズボルト】!」

骨の魔物は、これを早いステップでかわして跳躍。

そのまま爪の振り下ろして反撃してきたところを、レンは大きく下がって回避する。

「【バンビステップ】!」

そこに踏み込んできたのは、鉱石を一度地面に落としたメイ。

「【フルスイング】!」

左手の剣を大きく振り回すと、レンへの攻撃を外した個体が斬り飛ばされて転がる。

「やあっ!」

そして残った二体の飛び掛かりを、右手の斧で砕いて飛ばす。

こうして再び、その原型を失った骨の魔物たち。

しかしその破片はまたも、寄り集まって形を取り戻していく。

「戦い続けてもキリがない可能性があるわ! 鉱石を拾って、ここを出ましょう!」

「りょうかいですっ!」

レンの言葉に、メイたちはこぼした【不腐鉄】鉱石を拾い直す。

そしてその姿を最後まで見守っていたレンが、原型を取り戻したばかりの敵にもう一撃。

「【氷塊落とし】!」

三体をまとめて潰したところで、最後に自分も鉱石を拾い上げて走り出す。

慌てて採掘場を出た四人は、続く洞窟へ飛び出していく。

「待って!」

落ちてきた雫が起こす爆発で足止め。

落ち着いたところで再び駆け出すと、その先の天井にはまだ雫がたまっていない。

好都合とばかりに走り出すが――。

「っ!」

道の先に現れたのは骨の魔物。

その足で地面を強く踏みつければ、マーブル模様に光が走り雫が落ちることになる。

「【超高速魔法】【フリーズボルト】!」

一番手持ち鉱石が少ないレンは率先して鉱石を放り出し、慌てて魔法を放つ。

するとギリギリでのスキル発動キャンセルに成功。

「【低空高速飛行】【魔力剣】!」

そのまま進み、一撃のもとに骨の魔物を斬り飛ばした。

「私の分は仕方ないわね……!」

そう言葉にして振り返った瞬間。

見えたのは背後の奥でこぼれた雫が上げた光。

「まもりっ!」

「【天雲の盾】!」

レンの目が自分よりも後ろに向いていることに気づいたまもりは、振り返りと同時に鉱石を捨てて盾防御を発動。

なんと後方で落ちた雫のケアを、見事にこなしてみせた。

「本当にまもりさんは、いざという時に強いです……!」

「メイとツバメが抱えてる量があれば、二度は入らなくていいはずよ……このまま抜けましょう!」

見ればすでに、骨の魔物の修復は始まっている。

四人は慌てて、来た道をひた走る。

「ここはどちらでしょうか……!?」

しかし帰り道は行きに通らなかった別れ道もあり、意外と判断が難しい。

「左よ!」

レンは言いながら松明を掲げてみせる。

すると左の壁には、杖で擦った跡が残っていた。

行きがけに刻んだちょっとした心がけが、見事に四人を救う。

「【低空高速飛行】! そこっ!」

レンは現れた二体の骨の魔物に急接近して、【魔力剣】を振り払う。

「この先の雫は、間に合わないよ……っ!」

曲がった先に続く道。

その奥に雫が膨らんでいることに、警察犬のように鋭いメイの鼻が気づいた。

だが角に戻っての待ち時間は、骨の魔物の修復と重なる可能性が高い。

これはやっかいなことになりそうだ。

「いきます! 【天雲の盾】【チャリオット】!」

しかしまもりが前に出て、炎を押し返して進む。

これによって、魔物の修復を待って対応する手間を省くことに成功。

「行けるわ! このまま出ましょう!」

見えたのは外から入る光。

出入り口まで、あとわずかだ。

「っ!」

最後の道を塞いだのは、二体の魔物。

「【フリーズストライク】!」

ここならもう崩落もないと踏んだレンが、氷砲弾で二対まとめて吹き飛ばす。

「時間差っ!?」

しかし横穴から新たに、骨の魔物が三体続けて登場。

魔法を使わせたところに、本命部隊が出てくるという戦略だったようだ。

敵は横並びになった状態。

魔力輝く足が地を突けば、いくつの雫が落ちるか想像もできない。

「でもっ! パラス・アテネ!」

だが今のレンには『もう一手』がある。

吐き出した【火炎弾】がぶつかり、広がる炎に骨の魔物たちが体勢を崩した。

「いーちゃん!」

そんなレンを見たメイも即座にイタチを呼び出し、突風で続く。

体勢を崩していた骨の魔物は強風によって吹き飛ばされ、そのまま坑道の外へ。

それに続く形でメイたちも、鉱石を持ったままでの脱出に成功した。