軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1459.不腐鉄を求めて

橋の建材の一つである【不腐鉄】を求めて、鉱山に来た五月晴れ。

マーちゃんは、その回収の難しさから遠く産量の少ない採掘場を選んでいた。

しかしメイたちは、思い切って難易度の高い坑道を選択。

「わあーっ! こんなの初めて見たよーっ!」

さっそくメイが喜びの声を上げる。

地層は普通だと、水平もしくは斜めに一直線に走るのが基本だ。

だがこの坑道ではそれがマーブル状に広がっていて、松明の炎によって貝殻の内側のような色味を見せている。

「『向こう』の世界とはやっぱり、色んなところで常識が違ってるのね」

「とても面白いです」

「て、敵はどんなものがいるのでしょうか……っ」

マーちゃんたちが作ったのであろう坑道は、緩い下りになっている。

かなり掘り進んでいるようで、採掘が可能な場所までは意外と距離がありそうだ。

「なんだか不思議な世界だねーっ」

炎に照らされるマーブル模様を見ながら広い道に出て、また狭い道へと進む。

どうやらこの場所の【不腐鉄】は取り終えて、先へ進んだのだろう。

異世界でも、軽やかな足取りで進むメイ。

続く一本道の途中まで来たところで、その足が止まった。

「なんだろう、この香り……」

メイが鼻をスンスンさせながら、辺りを見回す。

すると続く道の最奥。

天井のマーブルの中心からゆっくりと垂れていく、小さな一滴の青緑をした液体。

「行きましょう……っ!」

レンは嫌な予感を感じて走り出し、途中に掘られた脇道へと飛び込む。

メイとツバメも続き、最後尾のまもりが来たところで――。

「まもり、念のためお願いできる!?」

「はひっ! 【コンティニューガード】【天雲の盾】!」

「「「っ!?」」」

まもりが振り返り、盾を構えてスキルを発動した瞬間。

地面に落ちた雫が猛烈な爆発を巻き起こして、先ほどまでいた道を青緑の炎が焼き尽くした。

「染み出てきた液体が、地面にぶつかっただけであの爆発って……結構シビアね」

「よく気づきましたね」

「メイが香りに気づいたでしょう? だから何かあると思って」

メイとレンは笑みをかわし合い、片手のハイタッチ。

実はこの青緑の雫には独特の香りがあり、それに気づける『鳥』を連れてくるのが基本。

だが今回は受け渡しに失敗したことで、メイの鼻が活きることになったようだ。

レンはあらためて、松明を掲げる形で先を進む。

「「「「…………」」」」

松明を持ち上げたのはもちろん、光が少しでも先の天井に届くように。

寄り目になるくらい天井を見上げながら進む四人は、少し面白い。

「あった! まだ少し落ちるまで時間があるよ!」

「走りましょう!」

すぐさま走り出した四人は、大きくなっていく雫を見上げながら疾走。

そのまま角を曲がって、息をついたところで背後に猛烈な炎が上がった。

続くのは、やや広い道。

今度はまもりも前に出て、四人横並びで進む。

レンとまもりが松明を一緒に掲げれば、もう少し先まで視認が可能だ。

「二本の分かれ道、少し様子を見ましょう」

たどり着いた分かれ道は、『Y』字の状態。

天井は波打ち、その奥までは見通せない状況だ。

最悪なのは、雫の真下を通ろうとした際に爆発が起こること。

四人は別れ道の前で、しばらく様子を見る。

すると右側の道で起きた炎が、近くまで伸びてきた。

それからまた少しすると、再度右側の道で炎が巻き起こる。

まずは、安全そうな方から。

右側の道で三度目の炎を確認した直後に、左の道を進む。

雫は定期的な感覚で落ちるため、ここまで何も起きていないということは、おそらくこちらに雫の仕掛けはない。

そう考えて歩き出し、十数秒ほど経過したその時。

「っ!!」

集中していたメイの鼻が、濃密なその香りを嗅ぎ付けた。

「【装備変更】ッ!」

メイはここで慌てて【王者のマント】を装備。

次の瞬間、遠くで落ちた大雫の起こした炎がすさまじい勢いで迫って来た。

「零れ落ちるタイミングが、こんなに長いパターンもあるの!?」

こういう仕掛けは、一定の間隔で繰り返されるのが常識。

だが異世界では、そういったお約束も外してくるようだ。

「それええええ――――っ!」

しかし仁王立ちのメイがマントを払えば、吹きすさぶ風が炎を霧散する。

「ありがとうメイ」

「違う……! まだだよっ!」

「【かばう】!」

その言葉に、まもりが即座に反応。

メイの前に飛び出して、慌てて一番大きな盾を構える。

「【コンティニューガード】【錬金の盾】【天雲の盾】っ!!」

聞こえた瞬間、全員がまもりの後ろへ。

すると『手前の大きな雫』に隠されていた『二つ目の雫』がすぐさま落下。

青緑の豪炎が道を焼いていった。

「ありがとうございます。メイさんの早く注意深い観察と、まもりさんの見事な反応に助けられました」

「えへへっ」

メイはうれしそうに笑うと、まもりにそのまま抱き着いて喜ぶ。

「まもりちゃん、やったね!」

「は、はははひっ!」

よろこぶメイと顔を赤くするまもりに、もれる安堵の息。

松明による明かりが届かない先で落ちた雫が炎を起こすというのは、かなり厳しい仕掛けだ。

それでも四人は無事、採掘地点へとたどり着くことに成功。

「わあーっ! すごいねぇ!」

やや広めのホールには、一面のマーブル模様。

そこからはよく反射する銀色の鉱石が、いくつも飛び出している。

【不腐鉄】で間違いない。

「これを持って帰ればいいのね」

さっそく洞窟前に置かれていたピッケルを取り出し、メイたち前衛組が採掘を開始。

「おおっ! 光るよ!」

「綺麗ですね」

叩くと衝撃で光が波打つのが面白く、メイとツバメは楽しそうにピッケルを振るう。

一方レンとまもりは、念のため背後を確認。

そしてメイの【腕力】で、多くの【不腐鉄】鉱石が辺りに広がったところで――。

「来たわね……」

「は、はひっ」

この場所へと続く道の一つから、骨だけでできた二足歩行の魔物がゆらゆらとやって来た。