軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1458.急流に橋を!

大きな石造りの橋を、深い谷に架けたい。

そんなマーちゃんたちの想いは、ことごとく巨鳥の攻撃によって打ち砕かれた。

目ざとい魔物の隙を突いて橋を架けるのは、天然のクエストのようになってしまっているようだ。

反省して対策を行ってもなお、難しい。

「完成してしまいさえすれば、風にも耐えられるはずなんだ……!」

「でもメイちゃんたちが来てくれたからな、今度こそ完成させられるさ!」

三度の崩壊はさすがに精神的に効いたが、メイたちの登場でもう一度生まれたやる気。

巨鳥の風によって急流に落ちた者たちの復帰を待って、新たにチームとして動き出すことになった。

「まずは、失ってしまった資材集めからですねぇ」

現状を確認したマーちゃんが、橋の建設に必要な資材の説明を開始する。

「再度必要になるのは、橋の中核を担う【不腐鉄】と【重鎮石】の二つです。どちらもこの世界特有のもので、ここからある程度近くで採ることができるので、搬送がしやすいというのが大きいです」

「確かに『向こう』の資材をたくさん持って狭い地下に潜ってゲートを通った上に、ここまで持ってくるっていうのは厳しいわね」

「【不腐鉄】の採掘地は二か所あって、片方は取れる量が少ないので時間がかかりますが、比較的倒しやすい魔物しか出ないので安全です。対してもう一か所は採掘量は多いのですが、やっかいな魔物が出がちで帰還すること自体が難しい。そのため安全を取って、採掘に時間をかけていたんです」

「それは落胆も大きくなりますね」

「一つは北に見えるあの山の地下。もう一つはそこを超えた先の山間部。距離で見ても危険な方が近いです」

「どうする?」

「まずは近い方に行ってみて、ダメそうなら遠い方に行ってみようよ」

レンの問いに、メイは散歩のコースを提案するように言った。

どうやらまだ見ぬ異世界を見て回るのも、楽しみに感じているようだ。

尻尾が楽しそうに揺れている。

「そ、それがいいですね。メイさんと一緒なら、早く集められる気がします……!」

まもりの提案に、マーちゃんたちもうなずく。

「おーい!」

すると死に戻り組を呼びに行っていたハウジングプレイヤーが、馬に荷車を引かせてきた。

「資材集めにはこいつを使ってくれ! 自分で物事を判断できるいい馬で、ちょっと動物値がないと言う事を聞きづらいんだけど……やっぱり問題なしだな」

見れば馬は早くも、メイに頭を撫でられてフサフサの尻尾を元気に揺らしている。

「それじゃ、行きましょうか」

「いきましょうっ!」

メイが馬の背に乗ると、レンは後ろの荷台に腰を降ろし、まもりもそれに続く。

ツバメは、荷台の上でもしっかりと正座だ。

行儀の良いアサシンに、ハウジング組からも笑みがこぼれる。

「それでは北の採掘場目指して、れっつごーっ!」

メイの合図一つで、馬が元気よく走り出す。

「いってらっしゃーい!」

「すげえ……あの馬、あんなに速く走れるのか……!」

大きく手を振るマーちゃんと、驚くハウジングプレイヤーたち。

こうしてメイたちは、【不腐鉄】を目指して北の採掘場を目指すことにした。

そして去って行く四人を、しっかりと見送った後。

「……おーい!」

一人のプレイヤーが駆け込んで来た。

「メイちゃんたちは?」

「今資材集めに向かいましたよ」

「遅かったか……あの坑道と敵の仕様について話しておきたかったのに」

そう言って息をつくハウジングプレイヤーの手には、一羽の鳥。

カナリリアと呼ばれるその鳥は、採掘場を進むのに是非とも持っておきたい動物だった。

「やはり、少し変わっていますね……」

一方、林の中を進むメイたち。

馬の脚は見事で、大きな荷車を引きながらも速く、木々にぶつかったりすることもない。

「四足の動物型が、大きな虫型の魔物に追われている光景は、意外と見かけなかったわね」

「妙に葉っぱが大きな木々や、綺麗な緑色の樹液にも、驚きました」

異世界の風景はやはり『向こう』とは少し違っていて、そこがまた『別世界』の雰囲気を醸し出している。

「あ、あの鳥、翼ではなくて妖精の羽のようなものを付けてます……!」

生体のルールの違いもまた、興味深い。

「本当に異世界なんだねぇ……」

感慨深そうにするメイは、それでもしっかり【遠視】と【聴覚向上】を効かせて道を進み、敵を垣間見ながらも戦わずに済むくらいの位置を突き進む。

そして戦闘らしい戦闘をすることなく、目的の坑道の入口へとたどり着いた。

小さな岩山に掘られた道は、地下へとつながっているようだ。

そこかしこに置き去りにされたピッケルは、まだ危険を承知で採掘をしていた頃の名残だろう。

四人で拾って、アイテム欄に所持する形にしておく。

これで準備は万端だ。

「異世界初の洞窟探検、ワクワクしちゃうね!」

「何が待ち受けているのかドキドキね。さあ、行ってみましょうか!」

「はい!」

「は、はひっ!」

松明を持つのは、レンとツバメ。

こうして四人は【不腐鉄】を求めて、闇深い坑道へと踏み込んだ。