作品タイトル不明
1452.帰還しました!
「間に合ったーっ!」
溶岩からの脱出クエストを、無事乗り越えることに成功。
メイは【裸足の女神】の勢いのまま、穴から飛び出した。
直後、間欠泉のように噴き出す大量の溶岩。
「「「おおおおおおおお――――っ!!」」」
その豪快な飛び出し方と、溶岩をギリギリで回避したメイの姿に上がる歓声。
「とても溶岩から逃げてきたとは思えない荷物が、何ともメイさんらしいです」
お宝を抱えて逃げ出すのではなく、クモの糸にかかったプレイヤーたちをまとめて巣ごと。
「これだよ! メイちゃんのこの常識を超えてくる感じが良いんだよ!」
そして最後に出てきた大アリも一緒に抱えて出てくるという、前代未聞のクエスト達成に思わず皆笑う。
地下ダンジョンという持ち場を出てしまったアリは、少し困惑するようにキョロキョロ辺りを見回すと、フラフラとどこかへ去って行った。
「な、何をしてるのですか?」
そんなアリを見ながら、自分の身体をジロジロと確認するツバメにまもりが問いかける。
「いえ、こういうのはこっそり卵が付けられていて、人知れず成長。忘れた頃にパワーアップした新たな女王アリが襲い掛かってくるパターンもありそうなので」
「ええっ!? そうなのっ?」
「フフッ、なくはない話ね」
映画のようなことを言うツバメに笑いながらも、一応確認するメイたち。
パッと見た感じでは、その心配はなさそうだ。
とにもかくにも、これで無事溶岩脱出クエストは達成。
見れば後方では、バザールブンガ火山が黒煙を上げている。
あふれ出た溶岩はルートに沿って流れ出し、街の方に被害はなさそうだ。
「ドキドキする、良いクエストだったぽよ!」
「そんなクエストを、メイちゃんたちと一緒に攻略できたのは最高でしたね!」
「使徒長殿があれば、不可能などない」
歓喜の声を上げる迷子を、しっかり捕まえているスライムと樹氷の魔女。
「またメイちゃんと共に伝説を生み出してしまったか……羨め、世界よ」
「全員生還はさすがに計算外でした。やはり五月晴れは最高ですね」
マウント氏と計算君も、楽しそうだ。
「す、す、すごい緊張感だったぁ……」
一方レアアイテムである【アダマンタイト】の持ち帰りに成功したお姉さんは、最高のスリルからの生還に、満足そうに倒れ込んでいる。
「皆さん、一緒に冒険できて楽しかったです! ありがとうございましたーっ!」
「「「おおおおおおおお――――っ!!」」」
メイの元気な声に、参加した掲示板組が拍手で応えた。
「おや皆さん、どうやらお宝回収に成功したようですね。無事でよかった」
そこにやって来たのは、バザールブンガ火山クエストの受付を担当しているトレジャーハンター協会員。
ヴァイキングの雰囲気を思わせる若手の青年は、笑顔をのぞかせる。
「いかがでしたか? 怪しい影の話、何か見たりしませんでしたか?」
「どうもこうもねえよ。ダグラン族っていう地底人が噴火を操って、アイアスラントを潰そうとしたぞ」
「メイちゃんたちと一緒だったから、大噴火の野望はしっかり打ち砕いてきたけどな」
「なっ!? そんなことが……!?」
まさかの返事に、驚く協会員。
「ではその件について、こちらの方でさっそく捜査と確認を行わせてもらいますよ! まさかそんな恐ろしい問題が隠れていたなんてびっくりだ……!」
一緒に来ていた女子協会員とすぐに話し合い、今後の確認を決めた。
「貴重な情報と野望の阻止、ありがとうございます。今回手に入れたアイテムなどはもちろん、捜査後にはこちらからお礼もさせていただきたいので、後ほどお越しください。それでは……!」
協会員はバザールブンガ火山の調査のため、すぐさま動き出した。
どうやらこの件の今後は、トレジャーハンター協会が受け持つようだ。
こうして今回のクエストは、隠されていたアイアスラントの危機を救い、完全に終了を迎えた。
「ああーっ! 楽しかったぽよ!」
「また面白そうなクエストがあったら、すぐに駆け付けます!」
「俺たちはいつでも『ここは任せて先に行け』『あいつは俺が引き受ける』の用意ができてるからな! 何かあったら呼んでくれよな!」
「ふふっ、どんな覚悟をしているのよ」
「あははっ」
全員が百点満点の「先に行け」を繰り出していたのを思い出して、笑う五月晴れの面々。
バザールブンガ火山から三々五々に道を戻り、街へと戻る。
「無事に帰ってこられましたし、この後はオーロラを見ながらのお風呂ですね」
「楽しみだねっ」
この火山へ連れてきてくれた少女がハウジングで作ったという、露天風呂。
大きなクエストの後に、のんびりするのは楽しそうだ。
「あっ!」
街に付いたところで、四人はさっそく少女の姿を見つけた。
ツバメにはすぐに、彼女が待ちきれなくてソワソワしていたのだと気が付いた。
「お待たせしました」
「オーロラ、見られるかなっ」
「ワ、ワクワクしますね」
「さあ、行きましょう」
「はいっ! こちらになりますっ!」
少女は嬉しそうに、五月晴れを案内する。
そしてもちろん、そんなメイたちの会話を聞きつけていた掲示板組も、そーっと後をつけるのだった。