軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1439.最下層へ向かいます!

「やったー!」

見事な勝利に、クイーンを投げ飛ばしたメイが飛び跳ねて喜ぶ。

「メイちゃんの投げ技、豪快だったなぁ!」

「自然界の腕力自慢、アリをぶん投げちまうなんて、やっぱり大自然の王様は違うな!」

「強い、可愛い、野生的!」

「ピピーッ! 野生的は条例違反となります!」

「何の条例なのよ」

見事な勝利に盛り上がる前衛組。

レンやまもりたちも、笑いながら集まってきた。

「ツ、ツバメさんの攻撃、息が止まりました」

「すみませんでした。ギリギリで洗脳にかかってしまったみたいです。でもあの瞬間に、横から出てきたメイさんには驚きました」

「私はもう、苦笑いしかできなかったけどね」

獲物を狙う動物を、さらに鷹が捕まえにきたかのような構図を思い出してレンは息をつく。

「おい見ろ! あのアリ、いくつか宝を隠してたぞ!」

「まずは使徒長ちゃんたちが見てくれよ」

残った繭の背後に置かれていた、いくつものアイテムたち。

掲示板組は、まずはクエスト受注者であるメイたちに確認を依頼。

「んー……でも、私たち向きのものではないかも」

面白そうなスキルや武器こそあるが、現状の下位互換の物もあり、ここは首を振る。

結果掲示板組は、とりあえずこの道すがらにでも使うことができるプレイヤーに所持を任せた。

「そう言えば、あれはなんだったんだろう」

そんな中メイが、一つの違和感に気づく。

「どうしたのですか?」

「クイーンを持ち上げた時に気づいたんだけど、この首の辺りに……ほら、魔宝石が刺さってるんだよ」

「ほ、本当ですね」

「この魔宝石って、まさか……」

「このアリを操るための宝珠である可能性が、90%といったところでしょうか」

地中世界の一部を我がものにしていた、恐ろしいアリたちの女王。

それすらも操っていた何者かがいるのか。

見え隠れする背景に、ドキドキとゾクゾクが駆ける中。

「「「っ!?」」」

ここで再び起こる地震。

ホールが崩れ出したことで、溶岩までもがあふれ出した。

「ついに噴火が始まったのか?」

「これは逃げた方が良さそうだな」

始まったホールの崩落と、噴き出す溶岩。

ここで一段落しているのだから、いち早く帰還を目指すのが正解だろう。しかし。

「……あれって」

さらにメイの目は、焼け落ちた繭の背後に穴を発見。

人間が進むに程よい大きさの穴を見つけてしまえば、また状況は変わってくる。

「進むなら、間違いなくあの道ね」

「さらに宝があるのか、それとも欲深い者を導く罠か」

「れ、例の地底人のもとへ続く道の可能性も」

「少なくとも、宝を持ち帰りたいプレイヤーはここで帰還した方が良さそうね」

「進むか戻るかを、各自で決める必要があるな」

崩れる中で始まる、進退の話。

「メイはどうする?」

「進んでみたいですっ!」

「私も気になります」

「ど、どうせなら先を見たいです……っ」

「それなら私たちは、進みましょう」

やはり地底人の話を聞いてしまい、さらに道があるとなれば進まないわけにはいかない。

メイたちはここまで宝らしい宝を手にしていないのだから、戻る必要はなさそうだ。

「このアリたちすら、利用されていた可能性があるのなら……恐ろしい敵になりそうだが」

「私は、ついていきたいぽよ」

「俺もだ」

「当然ですね。ここは100%追従です」

「メイさんたちと最後まで遊べたのなら、それ以上の宝なんてないぽよっ!」

「レアボス打倒なんかよりよっぽど、気持ちのいいマウントが取れるからな」

「あたしも行くよ!」

掲示板組はまさかの、特攻を決定。

すでに『死に際のカッコいいセリフ』を、語り出している者まで出てきた。

「それでは先に進みましょうっ! 皆さん、よろしくお願い申し上げますっ!」

「「「「おうっ!」」」」

メイの元気の声に、全員が気合の入った声を上げた。

「よーし! 進め進め!」

動き出すと、まるでそれに合わせたかのように落ちてくる岩盤。

帰る道をドンドン埋め、溶岩が蓋をしていく。

「こりゃ大変だ! 早く穴に逃げ込め!」

「【三段跳び】! あっぶねえーっ!」

燃え盛る繭を避けたところに、降り注ぐ岩石。

さらに天井のヒビから漏れ落ちてくる溶岩が、炎を上げる。

メイたち一同は崩れていく危険なホールを必死に駆けて、穴へと駆け込んでいく。

「【投擲】!」

ツバメの【風ブレード】が、溶岩の落下角度を変えて掲示板組の魔導士を守る。

「【弾力変化】!」

スライムがとにかく弾む硬さに自身を変えて、岩石を弾く。

後衛組を守りつつの進攻で、どうにか無事にクイーンの巣を抜け出していく。

「これで全員か!?」

「いや、まだだ! 後衛組の前に落ちた岩を退けてくれた迷子ちゃんが遅れて――!」

振り返るとそこには、まだホール内に残されていた迷子の姿。

いよいよ道がなくなってくる中、岩や溶岩を避けながらこちらに駆けてくる。

「【スリップ・フット】!」

見事な足の運びで、岩石をかわして進む迷子。

だが、間に合わない。

「迷子ちゃん!」

「迷子ちゃーん!」

「迷子さんっ!!」

目前に大きな岩が落ち、姿が見えなくなると、こぼれ落ちてきた溶岩によって完全に道が塞がれてしまった。

叫び声も、もう届かない。

まさかの離脱。

だが立ち止まる猶予すら、与えてはもらえない。

「おい! ここも飲まれるぞ!」

続く道にも、走るヒビ。

こぼれ出してくる溶岩の輝きが照らす道を、メイたちはひたすらに走り続けるのだった。