軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1430.進めバザールブンガ火山!

火山の地下に潜り、宝を持って帰還する。

そんな名物クエストを抱えるバザールブンガ火山に、メイたちは潜り込んだ。

「楽しくなってきたぜー!」

「このドキドキのクエストを五月晴れと一緒になんて、最高だな!」

駆け降りていく洞窟。

随行する掲示板組も、すっかりご機嫌だ。

「さあ、最初の別れ道ね」

噴火へのカウントダウンはすでに始まっているのか、それとも所定のポイントを通過してから始まるのか。

宝を手にした瞬間という可能性もある。

分からない以上、急ぐに越したことはなし。

「メイはどっちがいいと思う?」

「右かな?」

「それじゃあ右に進みましょう。ここはメイの勘を信じるわ」

「野生の勘ってやつだな!」

「野生ではございませんっ」

こうして五月晴れは、最初の選択を決定。

「まずはとにかく、降りることだね!」

「この時点ですでに行き先が決まっているかもしれないと考えると、ワクワクしちゃうっ」

今なら間違えても駆け戻れる距離。

とにかく今は、全員でとにかく下に向かって突き進む時だ。

「いよいよ道が、分かれ始めました」

「ドキドキしちゃうね!」

進んで行くと、さらにいくつかの道が登場。

ここでは念のため、別れ道の少し先をのぞいてから行く先を決めることにする。

「……レンさん、ここは右のような気がします」

その瞬間ツバメが、不意に覚えた予感。

「ということは?」

「正解は左です!」

ツバメ、自分の勘とは逆方向を真顔で指示。

「と、とてもたくましいです……っ」

「あははっ」

こうして五月晴れは、掲示板組を引き連れつつ進行。

発見した急斜面状の縦穴を降りたところで、一つのフロアに到着した。

ここは数本の分かれ道がつながった、広めの空間。

その中心まで、至ったところで――。

「魔物だよっ!」

メイが気づいて声を上げる。

現れたのはプレイヤーたちと変わらぬ高さを持つ、4匹の火山蜘蛛。

「きます!」

火山蜘蛛は一斉に、高圧洗浄機のような勢いで『糸』を発射。

喰らったら間違いなく、絡んで動きを止められてしまう攻撃だ。

「そうはいかないぜっ!」

しかしメイたちの早い注意喚起で、見事にこれを回避して攻撃に入る。

「うわ、クモ怖っ! 【ファイアボム】!」

「おい、爆発系と大技の使用は控えろよ!」

「来るな来るな! 【ファイアボム】!」

「控えろって言っただろ!」

「おわあーっ! 天井から土砂がーっ!」

「だから控えろって!」

「ふふっ、【魔力剣】!」

クモが怖いのか、慌てるプレイヤーの戦いに笑いながら、魔力の剣で敵の脚を斬り飛ばすレン。

「……【ゴリラアーム】」

メイもそっと発動した【腕力】スキルで火山蜘蛛をつかみ、そのまま振り回してて投擲。

三体まとめて、地面を転がす。

「飛び掛かりですか……! 【加速】!」

ツバメは圧し掛かりを狙う火山蜘蛛の動きを見て、あえて前進。

「【反転】!」

蜘蛛の攻撃を潜り抜けたところで、身体をくるっと回転。

「【加速】【アサシンピアス】」

見事に背後を取って、華麗に打倒してみせた。

「まだ集まって来るよ!」

しかしここは、数本の道が集まっているフロア。

その全ての通り道から、戦いを聞きつけたクモたちが集まって来た。

「囲まれたわ!」

「ここは私が受け持とう……【氷のイバラ】!」

ここで先手を撃ったのは、クールなフリがし切れずスキップ気味でここまで来た、樹氷の魔女。

口元は少しニヤついていたが、地を這う氷結のトゲは火山蜘蛛に効果てきめんだ。

見事な足止めで、一気に優位を取った。

今度はクモが、慌てて凍結を解こうと動き出す。

「狙われてるぽよっ! まもりさん! どうぞぽよっ!」

「ええっ! し、失礼しますっ!」

そんな中、氷のイバラに足の一部を斬られるに留まった一匹のクモが接近。

まもりを狙って、糸攻撃を発射した。

しかし指示の声に応えて、まもりはスライムを踏んで大ジャンプ。

「やああああ――っ!」

思ったより高く速い軌道で、そのままクモの糸を跳び越えて【魔神の大剣】を叩き込んだ。

「ないすぽよーっ!」

「おおーっ!」

まもりの大ジャンプには、メイも歓声を上げる。

スライム本体もペタッと薄くなることで、糸を見事に回避をしていた。

「スライムとの連携というのは、やはり面白いですね」

まもりの意外なアクティブ攻撃に、思わずうなずくツバメ。

「クモ型の魔物は、構造的に100%の確率で本体下部が弱点です」

そんな中、計算君は迫る3匹の火山蜘蛛を前につぶやく。

その言葉に、指示を受けた掲示板組の戦士が大きく踏み出した。

「【烈槍大祓い】!」

長槍の豪快な振り回しは、火力よりも複数敵の転倒を奪うことがメインとなるスキル。

狙い通り、火山蜘蛛の八本脚を一発ですくい取り、ひっくり返してみせた。

「そこ、狙わせてもらうわ! 【フリーズストライク】! パラス・アテネ【炎弾】を続けて!」

そこをレンの魔法で狙い撃ち、使い魔の一撃でトドメを差す。

「これこれ! これが楽しいんだよ!」

槍使いの戦士が、レンとの連携が決まって歓声を上げる。

さっそく見事なコンビネーションを見せる火山探検隊。しかし。

「ああっ! マウント氏が糸の餌食に!」

「「「…………」」」

「いや悩みながらじゃなくて、すぐに助けに来いよ!」

「日頃の行いだねぇ」

休憩明けの「そろそろ仕事に戻るかぁ」くらいの緩慢さでやって来る掲示板組に、文句を言いながら糸を剥がすマウント氏。

するとそこに、天井を駆けてきた一匹の火山蜘蛛。

「「「っ!!」」」

その着地に、驚いた瞬間。

「【フルスイング】!」

一瞬で駆け込んで来たメイが、華麗な一撃でクモを打倒。

するとその瞬間を狙って寄ってきていたクモに向かい、糸を断ち切ったマウント氏が先行する。

「【オクタブレード】!」

二刀流の八連撃で、こちらも見事にクモを斬り飛ばした。

「ないすーっ!」

笑顔を残して駆けていくメイ。

結果としてまさかの共闘なったマウント氏は、早くも意気揚々。

「俺、メイちゃんと一緒にクモ倒したけど何か質問あるー!?」

次のピンチは、掲示板組に見捨てられるかもしれない。

「いっくよー!」

「メイさん、お願いしますぽよっ! 【可変・棘鞭】!」

「おおーっ!!」

身体を極太のムチのように変えたスライムを、メイがつかむ。

「そーれえっ!」

そのまま豪快に打ち込まれたムチが、クモたちをまとめて壁に激突させる。

「【アイスエッジ】!」

「【サンダーバード】!」

「【ウィンドバレット】!」

こうなれば後は、皆の魔法で一気に片付けるだけ。

「やったーっ! このままドンドン行きましょうっ!」

「いくぽよーっ!」

「「「おおーっ!」」」

一気に片付いた火山蜘蛛たち。

スリルが人気の溶岩クエストらしからぬ、楽しそうな声が洞窟に響き渡った。