軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1429.火山へ向かいます!

アイアスラントのバザールブンガ火山。

黒く大きな山に草木は見られず、白い湯気がもうもうと上がっている。

「すごい迫力ですね」

大自然の力を感じさせる広大な山地に、ツバメが感嘆する。

たどり着いたメイたちが目指すのは、その麓からわずかのところにある木製の小屋。

トレジャーハンター教会と書かれた看板の建物に入ると、そこには数人の組合員がいた。

ファーを肩に乗せ、斧を腰に提げた姿はどこか、ヴァイキングの雰囲気を思わせる。

「ようこそ、バザールブンガ火山へ。目的は地下の探検ですか?」

どうやらこの若手トレジャーハンター組合員が、クエスト主のようだ。

「はいっ!」

メイが元気に答えると、青年は大きくうなずいた。

「ここは命がけで宝を回収する、ハンターたちの天国にして……地獄」

するとその横にいた、ヴァイキング風少女が続く。

「どこまでも広がり、どこまでも続く地下の世界へと進み、宝を回収して戻ればそれは貴方の物。ただしモタモタしていると溶岩がせり上がってきて、あっという間に飲み込まれてしまう。そんな恐ろしいクエストになっているんだよね!」

「行きも帰りも、スピード勝負の一面があります。どんなに多くの宝を得ても、帰ってこられなかったらすべて失ってしまうので、気をつけてください」

「聞けば聞くほど、痺れるクエストねぇ」

「ほ、本当ですね……っ」

入口も複数あるし、道はそれこそ無数にある。

どこが何につながるか分からない上に、深部まで行って何も得られず帰還もありうるとなれば、緊張感も際立ってくる。

「これって、クエストを受けずに入ったらどうなるのかしら」

「入れはしますが、トレジャーハンターが指定するスタート地点ではなくなるため、ルートも変わるという形のようです」

「そうなると、急にクエスト受注者用に上がってきた溶岩にいきなり飲まれることも多そうね」

「そんな命をかけたトレジャーハント、挑戦しますか?」

「はいっ!」

メイが手と尻尾を伸ばして、受注完了。

「それでは、協会特製の出入り口まで案内しましょう」

そう言って、詰め所を出る組員。

それに続いて外に出ると――。

「あーっ、何か今日は火山に潜りたい気分だなぁ」

「そうだね! 無性に火山に潜って緊張感を味わいたいかもね!」

そこには、多くのプレイヤーがやって来ていた。

このクエストは大人数で一気に駆け降りていって、誰が何をもって戻ってきたかを語るのも面白さになっている。

またとにかく範囲が広いため、複数人での攻略も面白いと評判だ。

「明らかに参加するつもりで来てるでしょ」

下手な芝居に、レンはクスクス笑いながら進む。

「スライムさんも来ていたのですね」

「このクエストを受けると聞いて、駆けつけてしまったぽよ!」

「メイさんたちと一緒に参加できる可能性がある。もう居ても立っても居られなかったのですよ」

スライムがぽよんぽよん跳ねながら進み、計算君はメガネをクイッと持ち上げる。

「あれがアテナノクトゥか……」

「本物初めて見た。ていうか使徒長ちゃんと一緒だと、小さくても有能そうに見えるな……」

魔導士連中はさっそく、レンの肩にいる使い魔に夢中だ。

「なんだか、盛り上がってきたわね」

「相当広いようですし、大勢で攻め込んであわあわするのも楽しそうですね」

「ド、ドキドキしますっ」

「皆さん、一緒に楽しみましょう! よろしくお願いしますっ!」

「よっしゃあ!」

「「「よろしくお願いしますっ!」」」

クエスト参加の枠を広げてもらい、歓喜の声を上げる掲示板組の面々。

すると地下への出入り口にたどり着いた協会員が、足を止めて振り返る。

「高難度ルートはここから、中難度はあっちから、低難度は向こうからですよ。どうしますか? 貴方たちなら高難度ルートがお勧めですよ」

「どうせなら高難度で、派手に散ってもそれはそれって感じでどう?」

「それがいいですね。一番ドキドキできそうです」

こうなると、レベルの高くないプレイヤーは少し気後れしてしまうが、そこにも楽しいポイントがある。

「当然棲む魔物に違いがあるけど……とにかく逃げることで高難度で稼ぐトレジャーハンターもいるよ!」

それも楽しみ方の一つ。

高レベル帯でレベルに見合わない武器などを手にして、逃げ帰ることができれば大きい。

このワクワク感のギャンブル感も、たまらない。

「そうそう。ないとは思いますけど……最近地下で魔物のものとは違う影を見るって話が極稀にあるから、一応気をつけてくださいね」

「出た……! この協会員の言葉が、クエストに隠されたルートがあるのではないかという噂の要因なんだとさ」

「この大慌てのドキドキクエストに、怪しい影を探すなんて暇はないもんなぁ」

そんな話をしながらメイたちに続く掲示板組は、なんと百人に迫るほど。

早くも、イベントクエストのような盛り上がりを見せている。

続く黒壁の出入り口に着くと、張り付いた光る苔が照明になってくれるのだと分かる。

「ワクワクしてきたぽよっ!」

「ドキドキが止まらねえ……!」

「【高密度魔法石】をロストしたヤツは、話題になったよなぁ」

「ここでスキル付き武器を手に入れて、一気に強化されたやつもいるぞ」

待ちきれないとばかりに、準備運動を始める掲示板組。

「地震が起き始めたら、噴火が近づいている合図だからね。くれぐれも欲張り過ぎないようにして! 逃げる時は、どこの出口からでもいいから!」

協会員少女が最後の注意をアナウンス。

「それでは、ご武運を!」

「行ってきますっ!」

「「「おおおおおおおお――――っ!!」」」

ハンター組合職員の言葉で、メイたちは一斉に駆け出した。