作品タイトル不明
1431.さらに深く潜ります!
「あっ、【青水晶石】だぞ!」
「よっしゃ、持って行こうぜ!」
「こっちは【錬金鉄】だ!」
洞窟の途中で見つけた、岩壁から突き出た結晶脈と鉱石。
それは中級レベルのプレイヤーには、武器にして良し売って良しの好素材だ。
「おい! クモが来たぞ!」
しかし喜んでいるところに来た火山蜘蛛に驚いて、慌てて臨戦態勢に入る。
「【ファイアランチャー】!」
「おいバカっ!」
慌てて放った火炎弾はクモの脚の隙間を通り抜けて、そのまま壁に突撃。
嫌な予感通り、岩壁を崩して大量の土砂を生み出した。
「「うおおおお――っ!!」」
なだれ込んでくる土砂に、大慌てで逃げる二人。
「あっぶねええええ――っ!」
どうにか土をかぶって転ぶ程度で済んで息をつくが、当然そこを無傷の火山蜘蛛は狙ってくる。
「おい! クモが来てる! クモが来てるぅぅぅぅ――っ!!」
「【誘導弾】【フリーズボルト】」
「【投石】!」
しかし即座にレンの魔法が足を止め、続くメイの投げた石がクモを弾き飛ばした。
「ありがとー! 助かったぜー!」
この道は、アイテムこそあれど行き止まり。
メイたちもまた彼らによって、マップ確認の手間が省けた形だ。
「マップは埋めたい派だけど、こういう時はさすがに意識が切り替わるわね」
「分かります」
「あとで改めて確認しに来たくなるけど」
「分かります……!」
メイたちは、さらに地下深くを目指して突き進む。
出てくる別れ道も多く、さすがに別の道を軽く確認する余裕もなくなってきた。
そんな中で入り込んだのは、真っすぐに続く一本道。
仕掛け等はなく、ただ続く道を直進していく形だ。
途中まで進んだところで視線の先に現れたのは、アルマジロのような身体に岩石の皮膚を持つ大型の魔物。
「なんか防御力が高そうだな……! 一気に行くぞ!」
「おう!」
メイたちの動向に合わせて攻撃に入ろうと、皆武器を構えたところで異変が起きた。
「……うん?」
「お、おおっ?」
敵は先手を打つように球形になると、その場で猛烈なホイールスピンを披露。
「「「うおおおおおおおお――――っ!?」」」
すさまじい速度で転がり、突進を仕掛けてきた。
恐ろしい勢いで転がってくる石アルマジロは、道をしっかりと埋める大きさで逃げ場はなし。
「「「ひ、ひかれるぅぅぅぅ――っ!!」」」
悲鳴を上げる掲示板組前衛。
その前に出たメイが、両手を伸ばす。
「それっ!」
そして普通に受け止める。
問題なく石アルマジロを受け止めたメイは――。
「それそれそれそれーっ!」
なんとのまま大玉転がしの要領で怒涛の張り手をかまし、石アルマジロを転がしながら道を駆け抜けていく。
「あははははっ! さすがメイちゃんだな!」
「よーし、いけいけーっ!」
「突き進むぽよ―っ!」
常識外れのパワーを目前にして、盛り上がる掲示板組。
「せーのっ、それええええ――っ!!」
ホールに出たところでメイが石アルマジロを突き飛ばすと、そのまま壁にぶつかってめり込んだ。
「ありがとうメイ! 今のうちに進みましょう!」
続く道は、さらに狭くなる。
そしてまたも長い一本道だ。
「ここ、狭くない?」
学校の廊下の半分ほどの狭さの道は、それこそ戦士二人は並べない。
罠の類があれば、一気に危機に陥るレベルだ。
それでもやっかいな石アルマジロを突破した後に続く道である以上、戻る選択はなし。
縦一列に並ぶ形で、狭い道を突き進む。
そしてやはり、道の真ん中あたりまで来たところで見えたリザードマンの姿。
「敵ですね!」
狭い場所ならツバメの短剣が活きる。
狙い通りの展開に、構えを取ったところで――。
「ちょっと待ってください! 数が、数がラッシュの電車の乗降客並みです!」
「確かにこの勢いはマズいわね!」
「あははははっ。最後は入り切れないお客さんを、駅員さんが押し込んでそうだねっ」
一斉に雪崩れ込んでくるリザードマンに、思わず悲鳴を上げるツバメ。
その勢いはすさまじく、これにはさすがに驚愕する。
「そ、それなら私が……!」
ここで名乗り出たのは、まもり。
一番前に出てきたところで盾を構えると、スキルを発動する。
「【錬金の盾】……【チャリオット】!」
扉一枚分ほどの大きさにした盾を持ち、そのまま特攻。
狭い通路で、敵の群れを押し出す形で進行する。
「おおーっ!」
さらに後ろにいたメイが、まもりの両肩を押すような形になると一転楽しそうになる。
ブルドーザーと化したまもりは、しっかりとリザードマンを集めたところで――。
「【シールドバッシュ】!」
そのまま出口目前で、まとめて吹き飛ばした。
「あははははっ! やっかいな仕掛けも、メイちゃんたちと一緒なら問題なしだな!」
「さすがぽよーっ!」
こうして狭い道から抜け出したメイたちは、鍾乳洞だらけのホールへ出た。
「このままあっちの道に進む形か」
すぐ見えてきたルートに、全員が向かいかけるが――。
「あれ、そこに穴があるよ」
メイが見つけたのは、鍾乳洞のホールの影に隠された小さな横穴。
「さらに道が狭くなるのね……」
そこは人がギリギリで通れるくらいの大きさだ。
戦士系は、装備を外して入ることになるほど狭い。
「ここは……私になるのかしら」
武器を振り回せないとなると、手で直接撃つこともできる魔法が活きる。
「時々洞窟探検なんかの動画で見るけど、こういう先の分からない穴に潜るのはドキドキするわね」
「無防備かつ閉所、しかも戻れなくなる怖さがあります」
そう言いながら、レンを先頭に細長い穴を匍匐前進で進んでいく。
「でもこの狭さなら魔物の類は来れないと思うし、安心して良さそう……なっ!?」
レンがビクッと、身体を震わせた。
「戻って! すぐに戻って! 前から子グモがいっぱい来てる!」
見れば体長20センチほどの小さな火山蜘蛛が、一斉に前方から迫って来た。
「早く下がってええええーっ!」
「すぐには無理です!」
何せ反転できないほどの小さい穴だ。
戻るとなれば、そのまま全員で順番に後退する他ない。
「【連続魔法】【フリーズボルト】!」
レンは慌てて氷弾魔法で攻撃するも、穴の上下左右を自在に動き回りながら迫る子グモに、効果は薄い。
「クモがもう、目の前まで来てるんだけどー!!」
光と闇を超えし者も、さすがにこの光景には慌ててしまう。
「レンさん、すみません! 【紫電】!」
「ッ!?」
仕方なくツバメ、レンごといく。
そして通電効果で、子グモたちが動きを止めたところで――。
「メイさん、お願いします!」
「はいっ! いーちゃん!」
先頭に駆け出してきたいーちゃんが仁王立ち。
風を起こして、子グモたちを吹き飛ばした。
これにてどうにか、子グモの進攻には耐えきることができた。
メイたちは穴を抜けて、その先へ。
「ここは大きな空洞になっていますね」
「ちちちち地底湖ね」
「水がエメラルドで綺麗だねーっ!」
まだちょっとだけ痺れてるレンを先頭に、早くも結構な距離を突き進んできたメイたち。
そこには美しい湖が広がっていた。
「あははははははっ!」
「なんだよそれ!」
「狭いところを通ると、こうなるぽよ」
出て来たスライムが、切る前の金太郎アメみたいに細長くなっていて笑う。
怒涛の勢いで突き進む地下探索組。
まだまだ火山クエストは、余裕の様相だ。