軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1425.ブリテンの喫茶店

「わあ、本当に綺麗だねーっ」

ブリテンはロンディニウムの片隅にある喫茶店。

案内されたのは、綺麗に造られた庭園。

ここでは召喚獣や使い魔、従魔などと一緒に楽しめるになっているようだ。

「いーちゃん! りーちゃん!」

呼び出すと、さっそく元気に庭を走り出す。

「この子が、モンスターバトルの優勝者……!」

「今後は私たちも召喚獣や従魔なんかを見つけて、ここに放しておこうと思っているんです!」

「それは良いですね」

職業的にどれも持てないプレイヤーなんかには、楽しいこと間違いなしだろう。

見ればパラス・アテネも、綺麗な緑の芝生をちょこちょこと歩いている。

「癒されますねぇ……」

「召喚獣たちも出せますよ」

「本当っ!? それでは――っ!」

少女がそう言うと、メイは次々に召喚獣たちを召喚。

ここでは、呼び出しの数に制限もなしだ。

「「「きゃああああ――っ!」」」

メイの召喚を目の前で見たメイド少女たちが、歓声を上げる。

「これは、なかなか壮観ね」

普段あまりそろわない召喚獣たちが集まる姿は、やはり迫力がある。

「これが一つの売りなんです!」

「ね、猫カフェの召喚獣や使い魔版と捉えると、とても良いですね」

手入れの行き届いた庭は、丁寧なハウジングの功績。

また西洋系のハウジングは職人も多いため、調度品がしっかり世界観を演出している。

置かれたテーブル席に着くと、さっそくまもりがメニューを確認。

「フルーツジャムにスコーン。紅茶のセットはブリテンらしくていいですね」

四人はまず、王道のティーセットを注文。

この世界では、待ち時間のなさが大きな強み。

届いたスコーンに、イチゴのジャムを乗せてさっそく一口。

「お、おいしいです……! これは最高に癒されますね……っ」

お洒落な庭に、心地よい陽光。

その下で召喚獣たちを見ながらのティータイム。

これには、まもりもご満悦だ。

レンはさっそく紅茶を飲みつつ、パラス・アテネにもクッキーをひとかけら。

すると少し首を傾げた後、その小さな口に頬張った。

「可愛いわねぇ」

メイも欲しそうにしていた白狼に、同じクッキーをひとつ。

どうやら体格に合わせて大きさが変わることはないらしく、白狼は自身の爪よりも小さなクッキーをあっという間に飲み込んでしまった。

「ふふっ、さすがに足りなさそうね」

クスクスと笑いながら言うレン。

「……あ、忘れてた。ちょっとドロップの受け渡しの約束があったんだけど……連絡してくるわね」

「りょうかいですっ」

そう言い残して、レンが店を出る。

するとメイの前に、りーちゃんがやって来た。

メイがクッキーを渡すと、もったいなさそうに少しずつ食べる。

続いて、その頭の上に乗ったいーちゃん。

今度は両手でクッキーを持って、齧っていく。

「リ、リスの様に手で持ってもぐもぐする姿は、何とも可愛いですね。ずっと見ていられますっ」

思わずじっと見てしまう、いーちゃんの食べ方。

その後ろでは虹蛇も陽光を浴びていて、ツバメがそっと触れる。

「やはり、大きな黒目が可愛いですね……ん?」

肩を叩かれる感覚。

振り返るとそこには、長い鼻。

象がツバメの手にあるクッキーを見つめていた。

「どうぞ」

象が鼻を手のように使う感覚は、やはり面白い。

こうして三人が店のコンセプトを、思う存分を楽しんでいると――。

「おーい!」

見知った騎士鎧の少女が、駆けてきた。

「アルトリッテちゃん!」

やって来たのは、聖騎士アルトリッテ。

ドロップ品の受け渡しついでに、ここまでやってきたようだ。

「このお店の事を話したら、クエスト中なのに来たいって言うから」

「おおっ! クマがあぐらをかいてクッキーをパクついている……これは癒されるな!」

相変わらずのクマのマイペースぶりに、笑うアルトリッテ。

どうやら彼女もなかなか動物値は高いらしく、召喚獣たちも大人しく撫でられている。

「動物値高いのね」

「当然だ」

胸を張るアルトリッテ。

すると白狼が駆け寄って来た。

そしてのまま、アルトリッテに向かってジャンプ。

「よーしよし……ぬわああああ――っ!?」

容赦なくじゃれついてきたことで、そのまま見事に下敷きに。

白狼が退くとそこには、大の字で地面にめり込むアルトリッテの姿。

「……まあ、いつものことね」

「いつもではない! マリーカのようなことを言うなっ!」

「あははははっ」

集めているドロップアイテムをもらう約束を、マーちゃんを通して受けていたレン。

メイと楽しそうに笑う。

「……最高の光景なんだけど」

「この光景、広報誌に載らないかなぁ」

「至高の一瞬よ、載るに決まってるわ!」

一方メイとアルトリッテのコンビがこの空間に似合い過ぎて、震え出す店員少女たち。

「それにしても、召喚獣や従魔などが気軽に見られるというのは良いな」

「ブリテンの雰囲気に衣装や調度品がしっかりハマってるわね」

「メイドさん可愛いね!」

「うむ、良く似合っているな」

「「「っ!?」」」

二人に言われて、いよいよ泣き出しそうになる店員。

この後さらに、実際にこのシーンが広報誌に乗って感動で倒れるわ、客が殺到して忙しくなるわで大わらわになることを、少女たちはまだ知らない。

「メイたちは、何かクエストを受けているのか?」

「次は何にしようかって、話してたところなんだ」

「なるほど。そういうことならば、アイアスラントはどうだ? 火山クエストがなかなか面白いと聞いているぞ!」

「火山クエスト……これはちょっと派手な展開が見られそうですね」

「ドキドキのクエストで、失敗しても盛り上がるようだ!」

「なるほど、面白そうじゃない。アイアスラントは近いし、行ってみましょうか」

「いいと思いますっ!」

「はひっ」

こうして次の行き先を決めたメイたちはまた、アルトリッテがクエストに戻るまで、召喚獣たちと戯れながら紅茶を楽しんだのだった。