軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1424.クエスト達成です!

「あいたたたーっ」

「へえ、なかなかやるじゃない……!」

中身入れ替わりバトルを、どうにか制したメイたち。

花畑に倒れ込んだ妖精たちは、フラフラと起き上がってふわりと滞空。

「負けちまったからな、約束通り元に戻してやるよ」

そう言って妖精少年が、指を鳴らすと――。

「「っ!」」

姉妹が互いの顔を見合わせた。

「直った!」

「元に戻ってるよー!」

一緒によろこんだ後、安堵に抱き合う姉妹。

妖精コンビは「やれやれ」と頭を振って、苦笑い。

「でも結構楽しめたな! 良い勝負もできたし」

「あたしたちも帰りましょう、それじゃーね!」

「待ちなさい! 私たちの方が直ってないでしょう!」

「バレたか」

しっかり妖精を、つかんで止めるレン。

笑いながらもう一度指を鳴らすと、メイたちの中身も元通り。

もう十分遊んだとばかりに、妖精は花の中に姿を消した。

「楽しかったね! もっと魔法使いたかったよー!」

「はい、防御でしっかり攻撃を止める快感も良かったです」

「でもメイの速さは、慣れるの大変だわ」

「ツバメさんはとても軽快で、気持ち良かったです」

めずらしい経験を語りながら、四人はティングリーの村に戻る。

「ただいまーっ!」

「エルシーラ、フランシスカ、遅かったじゃない」

姉妹は互いを見合って、軽く苦笑い。

「こんなに時間かかるくらい遠くに行ってたの? 本当にありがとねぇ」

事情を知らない二人の母はそう言って、ポケットからごそごそと何かを取り出した。

【ピストルユリの種】:背の高い大きなユリの花の中から、種の弾丸を発射する。

「これ、持って行って」

「ありがとーっ!」

「あの妖精コンビが使ってきた、危ない植物の種ね」

「アメをくれるくらいの感覚でいただきましたね」

植えれば銃火器のようになる植物の種を、アメ玉感覚でくれた母親に笑うメイたち。

「「ありがとうございましたっ!」」

姉妹が仲良く頭を下げて、クエストは無事終了。

四人は姉妹の家を出た。

「よ、妖精コンビ、とんでもないイタズラ好きでした」

「可愛いのに、すごい力持ちだったね!」

「メイにぶん投げられてきた魔物たちも、同じ驚きをしていたんでしょうねぇ」

「こういう続きものでない短めのクエストも、やはり楽しくていいですね」

緑多き村に隠れた不思議な妖精クエストを終えたメイたちは、あらためて自然のマップの良さを確認。

「この子とも初連携だったけど、どうにか戦いながらでも動かせるものね」

レンは肩に乗せたパラス・アテネを撫でる。

普段は肩にいるか、少し頭上を飛んでいる形だが、それにも程よく慣れてきた。

「やっぱり前衛ほど攻撃されないし、複数の近接スキルを切り替えて戦わない分だけ余裕があるせいか、後衛と相性がいいのかも」

そう言ってから、苦笑いを浮かべる。

「まあ、ここぞとばかりに変な戦いばかり見せてしまったけど」

続いた戦いは癖のあるものばかりで、果たしてちゃんと育っているのか疑問になるレン。

四人は再びケツァールに乗り、ブリテンを飛行する。

「次はどこに行こっか」

辺りを見回しながら、進むブリテンの空。

見えてきたのは、ブリテンの中でもひと際大きな街であるロンディニウム。

「……ん?」

そんな中でメイは、気になる通りを発見した。

人通りの少ない通りにある、一軒の綺麗な店はちょっと浮き気味だ。

「あのお店、なんだろう」

「気になるところがあったの?」

「裏通りに綺麗なお店があるみたい。ほら、お庭も可愛いんだよ!」

「それならお店を見ながら一休みして、次の行き先を決めてもいいかもしれませんね」

「行ってみましょうか」

「りょうかいですっ!」

こうしてメイたちはロンディニウムの片隅に降りると、先ほど見かけた店へ向かう。

プレイヤーの、あまり通らない区画。

そこにはやはり、西洋の商店のような雰囲気の店が、地味な建物の中にぽつんと建っていた。

四人はさっそく、店のドアを開く。

「「「いらっしゃいませーっ!」」」

すると三人の店員が一斉にこちらを向いた。

水色と白を基調にした店内には、可愛い木製のテーブルが並んでいる。

どうやら店の奥は広い中庭になっているらしく、手入れのされた芝と小さな木々が目に優しい。

もちろん駆けつけてきた店員は、全員がメイド服だった。そして。

「「「メ、メイさんっ!?」」」

店員の少女たちは、まさかの来客に飛び上がった。

「メイですっ!」

「「「きゃああああ――っ!!」」」

元気に応えると、少女たちは抱き合って歓声を上げる。

「あ、あの、このお店、メイさんたちのメイド喫茶に憧れてロンディニウムに作ったんですっ!」

「ええっ、そうなのーっ!?」

クエストやイベントなどで行ったメイたちのカフェ営業は、その都度大人気。

だがそのスタート地点は、このブリテンというマップにある。

少女たちはその時の動画や広報誌を見て、真似を開始。

飲食システムの拡充を契機に、実際にメイド喫茶を始めたようだ。

「ぜひこちらのお席へどうぞ! お庭なら召喚獣や使い魔と一緒にのんびりできるんです!」

浮足立ちまくっている少女たちの可愛さに、メイたちはうなずく。

「ここで次の行き先を決めようよ!」

「それがいいわね。せっかくだし使い魔と召喚獣も出して楽しみましょう」

「それがいいですね」

「は、はひっ! メ、メニューをお願いしますっ!」

こうして人気のないメイド喫茶を見つけたメイたちは、ここでくつろいでいくことにしたのだった。