作品タイトル不明
1423.入れ替わったままバトルです!
「い、入れ替わってます――――っ!!」
妖精コンビの魔法によって、プレイヤーの中身がシャッフル。
四人は慌てて、以前の自分を確認。
「こう見ると思った以上にその……闇の使徒って感じなんだけど、私……」
「わ、私も思ったより……その、重そうです」
「我ながら地味です」
「おもしろーい!」
その口調で即座に、レンは誰がどこに入っているのか確認。
「前衛と後衛が入れ替わってる感じね」
メイがレンと、ツバメがまもりと。
どうやら今回は、分かりやすい入れ替わりになったようだ。
「驚いてる驚いてる」
「どーだ、ビックリしただろ!」
「直して欲しかったら、あたしたちに勝つことね!」
妖精たちがそう言って笑うと、戦闘が再開される。
困惑する四人だが、メイ(レン)は楽しそうに笑いながら先行。
「それなら一気に行くわよ! 【裸足の女神】! うわっ!?」
その凄まじい速度に驚く。
「【フルスイング】!」
そのまま剣を振り上げる形で攻撃に入るが、完全に通り過ぎてからの攻撃となった。
「はっや!?」
その速度は知っていたが、いくらなんでも速すぎる。
近接もできるレンだが、この速度を制御するのはなかなか大変だ。
そこにフォローを入れにいくレン(メイ)が、杖を構えた。
「いきますっ! 【誘導弾】【連続魔法】【フリーズストライク】!」
ちょっとシステムを勘違い
上級魔法に【連続魔法】は効果を持たず、誘導だけ効いた氷砲弾が少女妖精に向けて放たれる。
「きゃっと!」
これを回避した少女妖精に向けて、駆け出すのはツバメ(まもり)だ。
「【電光石火】!」
短剣を振って攻撃するよりも、無難な突進技で様子を見るのはまもりらしい選択だ。
これがかすめて、見事にダメージを与えることに成功。
「……動かずしっかり見て判断するというのは、結構ソワソワしますね……!」
一方まもり(ツバメ)は足の遅さゆえに、フットワークだけしながら様子をうかがっていたが、妖精少年の動きを見て行動を開始。
「【咲花弾】!」
「【かばう】【天雲の盾】!」
切り抜け直後のツバメ(まもり)を狙って放たれた【咲花弾】を、しっかりと防御。
「あ、ありがとうございます!」
「緊張しますね……! ですがせっかくなので、ドーンと大技も受けてみたいです!」
自分自身にお礼を言われてちょっと驚きながらも、目を輝かせるまもり(ツバメ)
長い連携の歴史が、しっかりと各自を動かしている。
「これなら、うまくいきそうです」
「そっち、気をつけて!」
メイ(レン)の言葉で、すぐさま妖精少女の動きに意識を集中するまもり(ツバメ)
速い移動で迫るところに、迅速に対応。
「問題ありません【跳躍】! ……あっ」
しかし妖精少女の腕力を覚えていたまもり(ツバメ)は、うっかりミス。
【跳躍】のないまもり(ツバメ)は、低いジャンプで即着地。
そこを妖精少女につかまれて、今度は頭を下にした状態で持ち上げられると、【ブレーンバスター】を喰らって転がった。
「まも……ツバメ――っ!!」
「へへっ! まだまだいくぜーっ! 【草結び】!」
「うわっと!」
足元から伸びる草の拘束をレン(メイ)は、バックステップで回避。
「そらあーっ! 【木腕】!」
さらに特攻から放つのは、地面から伸びた木の根が作り出した大型の腕。
高速で迫る一撃にレン(メイ)は腰を落として相対。
「フルスイング!」
とっさの対応も、もちろん杖を強めに振り下ろしただけ。
「わああああ――っ!」
「メ……私ィィィィ――ッ!!」
ついついメイの時の技で反応してしまい、これも直撃。
ここで妖精コンビは集合。
一緒にその手を掲げる。
するとメイたちの背丈をはるかに超える、大型の花を持つチューリップのようなユリのような植物が、トウモロコシ畑の様に列を成して左右を取り囲んだ。
「挟まれました!」
一斉にこちらに向く花は、間違いなく種の弾丸を発射するだろう。
「ここは任せてください!」
声をあげたのはまもり(ツバメ)
「【かばう】【錬金の盾】!」
大型化した盾で防御態勢を取る。
「こっちは私が! 【グリーンハンド】【豊樹の種】!」
もう一面はメイ(レン)が、木々の壁を生み出すことで防御態勢を構築。
直後に放たれる、嵐のような種の弾丸。
その全てが大きな盾と厚い植物の壁に阻まれて、四人には届かない。
そしてまもり(ツバメ)が盾を降ろすと、メイは杖を構えながらノリノリでポーズを決めていた。
「――――【魔眼解放】」
「しなくていいのよ!」
「白い冷気の寒さに震えよ! 【フリーズブラスト】!」
「……魔眼って本当に、演出強いわね」
そのうえ詠唱にしては単語が普通過ぎるメイのチョイスに、何か一気に恥ずかしくなるレン。
「それに、やっぱり前衛がしっかり先行しないと……」
放った氷嵐は妖精少女を巻き込んだが、直撃とまではいかずにとどまった。
「私はメイ、私はメイ……! 【バンビステップ】!」
メイ(レン)は移動速度の上昇スキルで、一気に距離を詰める。
「はっ!」
振り上げる剣は、やはり体感よりも速く妖精少女には当たらない。
「まだまだっ!」
払う剣はしっかり感覚を合わせて振るが、それでも微妙に先行して妖精少女にかわされた。
「やっぱり少し、速すぎるわね……!」
この速度に、数分で慣れるというのは難しい。
メイ(レン)は悩んだ末、一つの妙案にたどり着く。
「それならこれでどう! ――――【自然回帰】!」
「レンちゃん!?」
装備品を吹き飛ばし、インナー装備だけになったメイ(レン)は、移動スキルを使わず単純なステータス上げで対応。
さらに剣を仕舞い、妖精少女の『つかみ』を小さなステップで回避。
「【キャットパンチ】!」
反撃を、直接的な打撃に変更。
繰り出す拳撃はしっかり、妖精少女を捉えた。
「パンチパンチパンチパンチ!」
そして妖精少女が下がり、体勢を立て直そうと下がったところで――。
「出て、いーちゃん! 風はかすめる位置で!」
メイ(レン)ならではのオーダー。
飛び出してきたいーちゃんが、突風を少し外すようにして放つ。
すると妖精少女は風のあおりを受けて、『こらえる』ような体勢を取った。
メイ(レン)は、この隙を逃さない。
「剣が当てにくいなら、攻撃範囲を広げさせてもらうわ! 【装備変更】!」
その手に【ダイナボーン】を持って走り出す。
「【裸足の女神】【ダイナブラスト】――っ!」
振り抜いた一撃は妖精少女を吹き飛ばし、湖の表面を八度ほど跳ねさせて沈めた。
「がおおおおおお――――っ!!」
見事な勝利にメイ(レン)は、大きな骨を掲げて叫ぶ。
「……レンちゃん、わたしは勝って【雄叫び】をあげたりしないよ?」
「……あれ、そうだっけ?」
頬をふくらませるメイだが、その姿はレン。
いつもと違う自分に、メイ(レン)は複雑な顔をするのだった。
「【電光石火】!」
一方ツバメ(まもり)は妖精少年に攻勢をかける。
「あっぶなー!」
「【反転】!」
これをかわされたところで即座に振り返る。
妖精少年が慌てて振り向くと、そこにはツバメが四人いた。
「【投擲】!」
投じられる四本のブレード。
これを慌てて避ける妖精少年だが、【分身】のため本物は一つだけ。
当然回避が続いて、体勢が崩れた瞬間を狙うのが目的。
四本目の【風ブレード】が起こした風は、見事に体勢を崩す。
「【加速】【紫電】!」
接近から、駆ける電撃による硬直を狙ったスキルの発動。
妖精少年はこれを、なりふり構わず逃げてかわす。
すると運良く、隙を突く回避に成功したが――。
「【チャリオット】!」
そこに駆け込んできたのはまもり(ツバメ)
妖精は当然、続く攻撃を回避するために動きを見る。
攻撃の振りも遅いまもり(ツバメ)なら、回避は難しくはない。
「いただきます! 【水球の守り】!」
「っ!?」
まもり(ツバメ)が食事前のように両手を合わせて選んだのは、まさかのスキル。
生まれた球形の水がぶつかって、妖精少年は空中で再びフラついた。
水球の発生を範囲攻撃に変える、めずらしい使い方。
ダメージはないが、確かな隙を作り出した。
「そ、その使い方は、思い付きませんでした……っ! 【加速】【瞬剣殺】!」
そこにツバメ(まもり)がさらに範囲攻撃で続けば、勝負あり。
斬撃を喰らった妖精少年も、弾かれて転がった。