軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1417.泥棒猫を追いかけます!

「待ちなさい!」

見つけた末端泥棒猫は、こちらの追跡に気づいて逃走を開始。

するとさらに、仲間の猫たちが泥棒猫を隠すように大量に並走し始めた。

「ほ、放牧中の羊のようですっ!」

先頭のメイに追われて、群れで逃げる泥棒猫軍団。

路地裏の道を、右に左に曲がって逃げおおせようとしてくる。

「同じ柄の猫が多いのは、とてもやっかいですね……!」

「分かれたわ!」

突然二手に分かれた、盗賊猫の一団。

左右両方に、末端泥棒猫と同じ柄の個体を入れているのが、なんとも嫌らしい。しかし。

「右だよっ! 次は左っ!」

この程度で見失うメイではない。

しっかりと猫たちを追い、路地裏の奥地へ。

「今! 【バンビステップ】!」

ここでメイは加速して、猫たちの隙間に足を突く形で接近。

「それっ!」

手を伸ばすが、末端泥棒猫もこれを慌てて回避。

盗品の手帳を他の猫に渡すと、今度はその猫が狭い道に入り込む。

絶妙な狭さの道は、横向きで走ることが必要だ。

「サイドステップでの追跡は初めてですね……! 【跳躍】!」

道を抜けるや否や、壁を蹴って屋根に上がっていく猫を、メイとツバメも追いかける。

ここですぐにレンが【浮遊】で高い位置から二人を把握、同時に後ろのまもりの目印となる。

盗賊猫は屋根を降りると、再び仲間たちと合流。

「「っ!!」」

待ち受けていたのは、跳びかかりからのしがみつき攻撃。

メイとツバメに飛びついた猫たちは、ガッチリ服をつかんで離れない。

「ただ走りにくくなるだけの攻撃……! しかし可愛さもあって侮れません!」

「ま、前が見えないよーっ」

ここに関しては動物値が高い方が不利になるのか、猫たちは喜んでしがみついてくる。

右肩の美ネコも気になるが、左腕のお気楽顔も気になる状態。

メイとツバメは猫たちを引っぺがしながらも、しっかり対象を目で追い後に続く。

似た色の猫が左右に割れたりで迷わせに来るが、そこは意識を集中して見失わないよう注意。

大量猫の流れと共に、そのまま路地裏の吹き抜けのような場所へとたどり着いた。

「どうやらここが、終着点みたいね」

猫たちが足を止める。

すると屋根の上に現れたのは、他の子たちとは明らかに違うキジ猫。

その体躯はなんと、虎よりさらに一回り大きい。

「間違いなく、ボス猫ですね」

顔に十字の傷があり、その姿は一見百戦錬磨の風格を見せている。しかし。

「……思ったより可愛いんだけど」

「猫のバランスのまま、大きくなっているからでしょうか」

「かわいいーっ」

「は、はひっ。これだけ大きくて同時に可愛い子はなかなか見ません」

大型の猫科ではなく、猫のまま拡大しているので、顔つきや体のバランスが猛獣ではない。

そのため愛嬌は結構強めだ。

「でも、やる気は十分のようです」

「みんなの装備品、返してもらいますっ!」

猫たちが場を空ければ、自然とそこに華麗なジャンプで飛び降りてくるボス猫。

両者、わずかなにらみ合いの後――。

「来るよっ!」

盗賊猫たちの親玉が、勢いよく走り出した。

「速いです……っ!」

猛烈な特攻から放つ、シンプルなタックルをかわす。

すると一気に迫り、振り下ろす猫パンチ。

「うわわわわわっ!」

「大きな猫パンチ、本家もとても早いです!」

これには、慌てて下がるメイ。

「【ラビットジャンプ】!」

続く飛びかかりを、大きな前方への跳躍で回避。

「【ターザンロープ】!」

着地同時に振り返り、投じるロープ。

「ああっ!」

これも見事な猫パンチで、しっかり叩き落とされた。

「【投擲】! これもですかっ!」

【雷ブレード】も、華麗な猫パンチではたいて落とす。

ボス猫は電気でちょっとビリビリしているが、攻撃をするには足りない程度だ。

倒してしまうと盗品が帰ってこないこともあり、攻撃に関してはできるだけ控えたいところ。

そして、そんな迷いの隙を狙うのがボス猫だ。

【キャットダッシュ】で、一気に接近。

喰らいつきを警戒したツバメが、防御に入ると――。

「っ!?」

エフェクトと同時に、持っていた【致命の葬剣】が消えた。

ボス猫はさらに、メイのもとにも突進。

「……あれ?」

攻撃ではなく真横をすり抜けて行ったことに、首を傾げるメイ。

しかし腰の【世界樹の剣】が、なくなっている。

「あれーっ!?」

「マーオ!」

ここで咆哮を一つ。

すると近くの猫たちが一気に、殺到。

大きな跳躍から、猫たちが体当たりを仕掛けてくる。

しがみつきを避けたいメイは、これを必死に回避。

するとそこに、ボス猫が速い接近から爪を振り下ろす。

「うわっ!」

盗賊猫たちとの連携は、意外にも厄介だ。

続く攻勢に体勢を崩したところに、迫る突撃。

しかしエフェクトの輝きと共に、今度は【蒼樹の白剣】が盗まれた。

「メイさん! これを使ってください!」

ここでまもりが投じたのは、手持ちの盾の一つ【碧樹の盾】

これを受け取ったメイは、飛び掛かる無数の猫たちに向けて差し出した。

すると爪が立たないため、張り付くことができずに落ちる。

「はいっ! はいっ!」

回避の必要がなければ、体勢が崩れることもない。

「それっ!」

今度は迫り来るボス猫に、盾を押し付けにいく。

「にゃっ!?」

【腕力】だけで、弾かれ転がるボス猫。

自力の『シールドバッシュ』で、しっかりと攻撃をカット。

「【加速】!」

大型のボス猫を猫娘が迎え撃つという光景に、思わずワクワクしていたツバメ。

ここで【強奪のグローブ】を装備して、走り出す。

するとボス猫もこれに応えるように、ツバメに向けて突進。

「勝負です! 【スティール】!」

「ニャアアアア――――ッ!!」

すれ違う両者。

「ツバメ……武器が二本ともなくなってるけど」

「……しばらく、盗賊猫さんたちのところで盗みの修業させてもらえませんか?」

「ツバメちゃん、一応ご挨拶用にお魚持って行く?」

「弟子になりにいくんじゃないわよ」

「魚、要らないようでしたら焼き魚にでも……」

盗賊猫のボスに完全敗北したツバメ、本気で弟子入りができないかを考えるのだった。