軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1416.猫の街ターキィへ!

「あ、あわわわわ! これは、伝説のアテナノクトゥではないか……っ!! 一体どうやって!?」

予想通り、超レア使い魔を見せるとひっくり返って慌てる動物学教授。

その姿を見て、楽しそうに笑うメルーナ。

「メルーナちゃん、ありがとーっ!」

「こっちも、貴重な瞬間が見られて楽しかったー」

見事フクロウの使い魔、『パラス・アテネ』を仲間にしたメイたち。

この使い魔は、使役者を見て成長していく。

そんなわけでまずは、メルーナに教えてもらった『猫だくさんクエスト』に行くことにした。

ポータルを使って向かうのは、ターキィ。

そこはブリテンやジェノヴァのある西方と、先日の悪魔暗殺の舞台となったアレクサンドラがある中東地方の交わる街。

現実ならインドのような丸屋根がありながら、フランスの大通りのような作りをした建物が見られる感じだ。

それは二つの文化が見事に混じった、独特なものとなっている。

「確かに、猫をよく見ますね」

広場には何匹もゴロゴロしているし、壁の上を並んで歩く猫もいる。

「皆メイが来ると、寄って来るわね」

「あ、足を止めた瞬間、猫まみれですね」

四人は気ままに過ごす猫たちを見ながら、目当ての冒険者ギルドへ。

ここでは様々なクエストや、街の情報を得ることができる。

そしてなぜか、猫よりも惚けているプレイヤーたちが何人も転がっていた。

「――――何か、変わったクエストはある?」

レンの放った言葉が、メルーナに教えてもらった特殊クエスト発生の合言葉。

「実は、街に住む猫の盗賊が装備やアイテムを盗んで行くんです。それを取り戻すために、様々な冒険者にボス猫のお仕置きをお願いしているのですが……」

「猫の盗賊?」

「はい、これまで挑んだ冒険者さんも装備を盗まれてしまいました」

「返ってこないの?」

「盗賊猫たちの巣を、見つけないことには……」

どうやら猫はクエスト参加プレイヤーの装備などを、盗んで持って行ってしまうようだ。

そしてその返還は、誰かが盗賊猫をお仕置きし、巣を見つけたところで初めて行われるという形。

「他人しか解約できない、定期預金みたいな感じでしょうか」

「すでに総勢195人が、548の装備やアイテムを持っていかれてしまっています」

「ずいぶんため込まれたわね……」

「難しいのは、ボス猫を倒してしまったら巣が分からないという点。そして盗まれたらいつ返って来るか分からないために、フル装備で挑むのを避けがちになるという点なんです」

「そ、そういうことですか。秀逸ですね」

盗まれるのが怖くて装備を全力にできないことが、難易度を上げている一面あり。

やはり、少し変わったクエストだ。

「ボス猫を追い詰めることが勝負のカギです。軽い攻撃は良いですが、しっかり攻撃してしまうと倒してしまったり逃げてしまったりで失敗となります。クエスト中に盗まれた装備などは、誰かがクエストを達成するまで返ってきません……それでも、挑んでくれますか?」

四人は少し悩みながらも、うなずき合う。

「もちろんですっ!」

「それでは、よろしくお願いします。こちらは皆さんの分の【猫ハーネス】です。少し発動に時間がかかりますが、これで拘束された猫は、首の後ろをつままれたように静かになりますので。まずは末端猫を見つけて、そこからボスのもとへ向かってください」

こうして捕獲用アイテムを手に入れたメイたちは、ギルドを出る。

「……ん?」

「もしかして、メイちゃんたちか?」

「メイですっ!」

答えると、猫に負けないくらいダラリとしていたプレイヤーたちが一斉に起き上がる。

「お願いします! ヤツを捕まえて、奪われた私たちの装備を取り戻してくださいっ!」

「「「お願いしますっ!」」」

その場に並んで、頭を下げ出す盗賊猫被害者たち。

「ここで正座待機させていただきますので!」

「ご武運を!」

「こちら、使わずじまいだった【マタタビ】です! よろしければどうぞ!」

「ありがとうございますっ!」

こうしてメイたちは、盗賊猫たちに装備などを奪われたプレイヤーたちの熱い期待を背負って進むのだった。

「でも、どこを探せばいいのかしら」

「ま、まずは一匹の末端泥棒猫を見つけて、後を追いかけるとのことでしたが……」

「まるで万引きGメンね」

そんなことを話しながら、向かうのは人通りと商店の多い大通り。

「あの猫、絶対やるよ……」

スッと建物の陰に隠れて、万引きGメンのマネをするツバメにくすくすと笑う。

すると偶然目の前にいたのは、目つきの悪いケバケバのトラ猫。

露店NPCの商人が少しよそ見した瞬間に、トコトコと近づいて行って木材の角に顔を擦りつけて通り過ぎた。

「やりませんでした……申し訳ないです」

「あははっ」

Gメンの敗北に、また笑うメイ。

「ま、待ってください!」

しかしその後に来た愛らしい顔の小ぎれいな三毛猫が、しれっと商品の手帳をくわえて走り出した。

商人は気づいておらず、視線をトラ猫に持って行かれたままだったため、こちらもまもり以外気付かなかった。

「追いかけましょう!」

猫は広い町を駆け抜け、三階建てのカラフルな建物が並ぶ商店街を駆け抜けていく。

その足は速く、猫は当然のように人々の脚の隙間を抜けていくが、今さらこの程度の追いかけっこで後れを取ることはない。

見事なコーナーリングで街を駆ける泥棒猫を追い、そのまま裏通りへ。

そこには、くつろぐ大量の猫たち。

泥棒猫の到着を見て、すぐさま立ち上がった。

すると、一斉に集まってくる猫たち。

そのまま大量の猫たちが、同じ方向に混じり合うように疾走。

「え、ええっ!? ええええええええ――っ!?」

末端泥棒猫を、その数で隠してしまった。