作品タイトル不明
1410.勝負の行く末は!
「いよいよ、実食ですにゃ!」
両チームが料理を作り終えたところで、審査員猫が声をあげた。
「よーし、いい出来だ! 店の看板はもらっていくぜ!」
「「「っ!」」」
ニスロクの勝利宣言に、カタカタと震えるタヌキたち。
「いよいよですね!」
メイたちも、料理の出来は上々。
これは良い勝負になりそうだ。
レストランの一角に作られた、特別席。
白のテーブルクロスをかけられた席に、審査員が並ぶ。
「それではまず、肉料理からいきますにゃ!」
タヌキたちが並べていくのは、レン・ツバメ組が作成した牛カツ。
「いただきますにゃ!」
審査員たちは一斉に、揚げたてのカツを口にする。
「熱っいにゃ! でもおいしい! これは最高に良い肉を使っているにゃ!」
「わんははは! これは見事! サクッとした衣に、濃厚な牛肉の味が何とも素晴らしいワン!」
「こーんなにおいしいものは、なかなかお目にかかれません!」
レッサーパンダも大きなバンザイで、歓喜を表現する。
「それでは、点数の発表を行いますにゃ!」
猫の合図に各審査員たちが10点ずつを持ち、合計40点での採点。
どこから出て来たのか、一斉に持ち出されるフリップ。その合計は――。
「35点ですにゃ!」
「高得点ですね」
「でも結構厳しいわね。最高の肉を使っているはずなんだけど」
続いてニスロクの料理。
「オレ様は、金剛牛とイベリア豚のハンバーグだ!」
まだ焼き音を鳴らしているほどの、出来立て。
審査員たちが、同時に口に運ぶ。
「熱っいにゃ! でもこれもおいしい!」
「こちらの合いびき肉もお見事! 肉汁が口にあふれ出て洪水ですワン!」
「こーんな豊潤なハンバーグは、早々出会えません!」
レッサーパンダは今回も大きなバンザイで、喜びを表現する。
「では、こちらの点数は……」
得意気な顔のニスロクと、緊張を見せるレン。
その合計点は――。
「35点ですにゃ!」
「……同点みたいね」
「最高の肉を使って同点とは、よほど調理が上手だったのですね」
レンとツバメが負けなかったことに息をついていると、猫が短く講評を開始する。
「ハンバーグは二つの素材が最高峰一歩手前といったものですが、調理が完璧にゃ! 一方の牛カツは素材は完璧ですが、若干揚げが時間が長くて牛カツならではの赤味が少なかった形ですにゃ!」
「これはシビアね……揚げ音での判断方法を知らないと、どこまでも減点してしまいそう」
「まもりさんに助けられましたね。クエストとしてのレベルは、かなり高いです……!」
「へっ、なかなかやるようだな」
その結果に、楽しそうに笑うニスロク。
「だが、次で勝って勝負をつけてやる!」
同点のまま続く料理対決は、二品目の実食へ入る。
「次の勝負は、野菜料理対決ですにゃ!」
「今度はオレ様の料理からいかせてもらうぜ」
ニスロクは自信を見せる表情で、ポトフを並べていく。
透き通ったスープにはジャガイモとキャベツ、柔らかなタマネギがひしめき合い、そこに鮮やかな人参が彩を添えている。
「では野菜料理、いただきますにゃ!」
一戦目でリードを得られなかった以上、ここで勝負が決まる。
まもりは緊張と空腹に、思わずノドを鳴らす。
「熱っいにゃ! でもすごくおいしい! 文句なしですにゃ!」
「わんははは! これはワンダフル! 野菜の甘みがスープの塩味と混ざり、見事に引き立て合っているワン!」
「こーんなに素晴らしいポトフは、めったに見つかりません!」
レッサーパンダも思わず後ろに倒れてしまいそうなバンザイで、うまさを表現。
続けざまに始まった採点は――。
「地獄の料理人ニスロクの、野菜料理の点数は……38点!」
「好評だね……」
「は、はひっ……!」
その大きなリアクションと高い点数に、さすがに緊張するメイとまもり。
「次はタヌキレストランの、ラタトゥイユですにゃ!」
そしてチームメイの野菜料理。
トマトベースで野菜を煮込んで作ったラタトゥイユを、審査員たちが口に運ぶ。
「熱っ……くはないにゃ! これは野菜の旨味が、完璧に出ているにゃ!」
「わんわん! これはワンダフルだわん! トマトの酸味が食欲をそそり、パプリカやナス、ズッキーニの程よい歯ごたえがたまらないワン!」
「何より、ハーブの風味が見事っ! こーんなに食欲をそそられる野菜料理は、見たことがありません!」
レッサーパンダはそのまま後方に倒れ込んで、ブリッジするほどのバンザイで、うまさを表現する。
「それでは、点数を発表します!」
審査猫が点数を聞いて回り、計算を終了。
メイたちの点数が発表される。
「こちらのラタトゥイユの点数は……驚異の40点満点! 勝者、タヌキレストラン! 食材の選定から調理法はもちろん、ハーブの使い方がとにかく見事だったにゃ!」
「やったー!」
「やりました!」
思わず抱き合って喜ぶ、メイとまもり。
ツバメとレンも、安堵の息をつきながらハイタッチ。
「メイさんが背中を押してくれたおかげで、思い切ってハーブを使うことができました!」
「まもりちゃんすごーい!」
イチかバチかのハーブの選択は、見事に正解。
「へっ、負けちまったか」
するとニスロクは、新たなライバルの発見に喜ぶような笑みを浮かべた。
「やるじゃねーか。これだけのものが作れるやつがいるとは……こっちの世界は侮れねえな」
そう言って、アイテムを手渡してきた。
「こいつは勝者へのプレゼントだ。受け取れ」
そう言ってアイテムを渡すと、ニスロクはタヌキレストランを後にする。
「だがオレ様はさらに修行して、腕を上げる! 世界を必ず我が料理の前に、ひれ伏せさせてやる! その時は驚きにひっくり返るだろうよ! あばよタヌキレストラン!」
こうして地獄の料理人は、意気揚々と去って行った。
「やっぱり魔族なのね。こういう形で世界を狙うパターンもあるみたい」
「せ、世界を征服した際には、ぜひその料理を食べさせていただきたいです……!」
悪魔の野望を知り、なおもその料理を所望する。
食には変わらず貪欲なまもり。そして。
「あっ! 好き放題触らせてもらってないんだけど!」
「それは大きな問題です!」
「追いかけようっ!」
小悪魔の触り放題を求めるレンたちは、ニスロクの後を追いかけていくのだった。