軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1407.今度は野菜採りです!

「こ、これでお肉は手に入りましたね」

「ランクは最高ですし、次の野菜も良いものを手に入れたいです」

『A5』クレイジーブル捕獲のクエストを終えれば、次は野菜のクエストだ。

「オレ知ってるぜ! 聞いたことがあるんだ!」

そう言って手をあげたのは、パタパタしていた小竜。

「この先の山の低地に、一流の店に最高の野菜を送ってる農家があるらしい!」

「そこで野菜を手に入れれば、食材探しは完了ね」

「よし、行くぞ!」

飛び出していく小竜に、メイたちも続く。

もちろん、魔狼フレキと野生児メイに連れられて行くまもりという構図は継続。

そのまま山を進んでいくと、木々の少ないポイントに畑と大きなログハウスが見えてきた。

「おっと! ありゃなんだ?」

小竜が滞空して、指を差す。

視線を向けるとそこには、深緑色の魔犬。

大型犬特有のダイナミック走りで、一人の男を狙っている。

「レンちゃんっ!」

ここで全員、男の救助を目的にして動き出す。

フレキがそのまま駆けて、飛び掛かる。

すると気づいた魔犬は慌てて飛び退き、こちらに向けて唸り声をあげる。

レンとツバメはそのまま男の前に立ち、警護の体制へ。

魔犬は音も立てず、滑るような移動で接近。

喰らいつきで攻撃を仕掛けてきた。

これをバックステップでかわすフレキ。

「そうだっ!」

ここではメイは思いつく。

「フレキちゃん! 喰らいつきでお願いしますっ!」

そう言って、その背中に足を乗せると――。

「ツインストライクだーっ!」

先行してフレキが跳びかかり、再び魔犬が飛び下がったところでメイは【アクロバット】を発動。

白夜の得意技を思わせる二段階の攻撃で、着地直後の魔犬に剣を振り下ろす。

「ふふっ、いきなり成功させちゃうのがメイね」

お手製ツインストライクに笑うレン。

「やったー!」

見事に一撃で魔犬を打倒し、メイはフレキに飛びついた。

「ありがとうございました……私はそこの畑で野菜作りをしている者ですが、最近魔物が多くて……」

「これもクエストの一環でしたか」

その意図を理解したツバメはさっそく、たずねてみる。

「その野菜を少し、売っていただきたくて来ました」

「そうでしたか! 助けていただきましたし、お礼に差し上げたいのですが……」

「ですが?」

「最近私たちの畑にクマが住み着いてしまいまして……野菜の収穫に出られないのです」

「ま、またクマ狩りでしょうか」

「いえ! クマは数が多いので下手に戦ってしまったら全面戦争です! そうならないよう、倒さないで取って来られればいいのですが……」

「見つからないよう収穫するってことね」

「それが可能であれば。私どもには専用の交渉役もいるのですが、今は問題解決のために外に出ているんです」

「クマとの交渉役って、メイじゃダメなのかしら」

「契約もありますので」

「クマと契約するのね……そういう事ならおとなしく、こっそり収穫でいきましょうか」

こうしてメイたちは、男に続いて畑の方へ。

「今の時期だと、トマトにパプリカ、ズッキーニに玉ねぎ、ナスが取り頃なのですが……」

そっと皆で茂みから顔を出して、占拠状態の畑を見るメイたち。

広い畑の各所に、思い思いの姿でくつろいでいるクマたちは数十体に及ぶ。

「オトリになるよっ!」

メイが先行を買って出れば、その反対方向から野菜の確保に向かうのが、基本だろう。

レンとまもりはうなずき合い、さっそくメイを見れば死角になる方向に向けて歩き出す。

「オレも行くぜ」

今回は小竜も一緒だ。

「では私は、一番難しそうな野菜を取ってきます」

そしてツバメが程よい位置の茂みに、たどり着いたところで行動開始。

「いきますっ!」

野菜と聞いてあまりやる気のないフレキを一撫でして、鋭い爪を閃かせるクマたちの方へ。

狙いのトマトの畑に居座るクマたちが、メイの存在に気が付いた。

「こんにちはっ! メイですっ!」

元気に挨拶して、その視線をしっかり向けさせる。

ここからクマたちが一斉に駆けてくると踏んで、しっかり引き付けられるよう気合を入れたところで――。

「えっ?」

クマたちは一斉に、機工都市製のガンブレードを構えた。

「ええええええええ――――っ!?」

そのまま動くことなく、一斉に発射。

「うわわわっ! うわわわわわ――っ!?」

まず一斉掃射から。

これをしっかりと回避したことで、ようやくトマト区画のクマ7割ほどが動き出し、メイの追撃を開始した。

「今よ」

「はひっ」

ここでレンとまもり、小竜は足音に気を使いながらダッシュ。

メイに向けて銃弾を連射するクマたちに気をつけながら、トマトのもとへ。

急いで実をもぎ、案の定アイテム欄には入らないトマトを抱えて逃走を開始。

その途中、クマが振り返った。

「「っ!!」」

レンとまもりは、畑のウネの間に身体を隠すようにして倒れ込む。

「…………」

小竜もトマトを抱えたまま硬直。

クマは不思議そうにこちらをしばらく見た後、またメイの方に視線を向けた。

「やっぱり緊張するわね」

「はひぃ」

「小竜も良くやったわね」

こうしてトマトは無事入手。

全力のステップで銃弾を回避し続けたメイも、狙い通りクマたちを引き付けることに成功し、安堵の息をつきながら帰還した。

「ズッキーニを取ってきました」

そして一番大変そうな密度高めのクマの集まりから、難なく帰ってきたツバメ。

メイのオトリと【隠密】の使用で、まずは二種類の野菜を無事入手。

「これで後はナス、パプリカ、玉ねぎで全種類かしら。スタートは上々ね」

「はひっ!」

「やったね!」

恐らく最高品質の野菜がそろうほど作る料理が絞られ、高評価につながるのだろう。

見事な第一陣の帰還に、満足そうに息をつく。

「……なんだか、どちらが野菜泥棒なのか分かりませんね」

「完全にそれね」

ドキドキのクエストだが、そこはかとない泥棒感には四人くすくすと笑ってしまうのだった。