軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1408.本格勝負です!

野菜を探しに来たメイたち。

出会ったのは最高峰の野菜を作って、売ることで生計を立てている者たち。

その野菜を、クマたちが食べに来て困っているとのことだ。

「新たにクマが増えました!」

入手した種類が多いほど、料理対決で良い結果が出そうなこのクエスト。

二つの野菜を手にしたところで、新たに素手のクマも追加された。

「なんだか、友達の家に遊びに来たみたいな感じだね」

「片手をあげながらあいさつして集合って、何よ」

そんなクマたちの動きに苦笑いしながらも、変化した布陣のやっかいさに悩む。

「HPゲージがあるってことは、これを一定以上減少させたり倒してしまうと全面戦争になるのよね」

「ちょ、直接攻撃以外は解禁でいきますか?」

「それでいいと思うわ。野菜はもう二種類手に入れてるし、この難易度だとぶつかる必然があるんだと思う」

「多少粗くても様々な手を用いて、残りの野菜を手に入れる形ですね」

「ちょっとクマの数が多い【玉ねぎ】を狙ってみようかな」

「お願いするわ。メイが動いて、あの辺のクマたちが目を離した隙に私たちも動きましょう」

うなずき合う四人。

残りの野菜は三種類。

もう一段回上がった難易度、最初に動き出したのはメイだ。

「【装備変更】【バンビステップ】!」

頭装備を、鹿角に換えて走り出す。

その動きは速く、何よりしなやかだ。

クマたちが、一気に距離を詰めてきたメイに驚き動き出すが――。

「大きくなーれ!」

一気に種をバラまき、【密林の巫女】を発動すれば伸びるツタ。

クマたちを、一瞬でがんじがらめにしてしまう。

「よいしょっ!」

正面から駆けつけて来たクマを、馬跳びの要領で飛び越えてから振り返る。

「【穴を掘る】っ!」

そして突然空いた穴に、クマが為す術なく落下する。

「よいしょっ! それっ!」

さらに迫り来るクマたちをかわして押せば、続け様に転落して無力化に成功。

「あははっ」

クマでぎゅうぎゅうになった穴を見て、楽しそうに笑いながら構え直す。

両手を上げ、正面からぶつかってきたクマに、メイはがっぷり四つ。

相撲の取り組みを思わせる体勢を取る。

なぜか足を絡めて倒そうとしてくる、足技好きなクマの攻勢をステップでかわす。

すると寄り切りを狙ったクマが、一気に前進。

その先には、メイが掘った穴。

「う、うわわわわっ!」

まさに土俵際の状態で、クマはさらに力をかけてくる。

そしてそのまま、押し出されそうになったところで――。

メイは突然腰を落とし、そのまま体をねじる。

「それええええ――っ!」

見事な『うっちゃり』で、クマを穴に放り込んだ。

これならダメージも無し。

見事な勝利にメイは、手刀を三度切ってから玉ねぎを引き抜き始める。

野菜を抱えてしまうと、反撃は不可能。

また攻撃をもらってしまうと、野菜の方が壊れてしまうため要注意だ。

「とても楽しい光景です」

「あれはあれで野生の友達と遊んで育った感出るけどいいのかしら……って、私たちも行きましょう!」

一方ツバメとレンは、ナスに狙いをつけた。

ツバメが先行し、五体のクマたちの前でスキルを発動。

「いきます! 【分身】!」

生まれた三体の分身を先行させると、狙い通り多くのクマたちが、実体のないツバメを狙ってガンブレードを構え始める。

「【加速】!」

「【低空高速飛行】!」

本物のツバメが先行し、クマの左側に抜ける形で意識を引き付け走る。

その隙にレンは右から通り抜け、その際しっかりクマの毛皮に軽くタッチ。

「【連続投擲】!」

ツバメが【風ブレード】の連続投擲で砂煙を巻き起こしたところで、レンはナスの収穫を開始。

しっかりと両手に抱えたところで、すぐさま引き返す。

「っ!」

しかしここに、レンを狙いに来た一頭のクマ。

この個体は、豪快な飛び掛かりを繰り出してきた。

「ルーン発動!」

ここで【入替のルーン】を使用し、クマと位置を変更。

すると驚いたクマは慌てて攻撃を止めるが、空中にいる以上落下は免れない。

そのまま入れ替えクマに圧し掛かって、「ごめんごめん」みたいな感じで両手を合わせ出すのだった。

「き、緊張します……っ」

メイやツバメたちの動きに気を取られているクマの隙間を、静かに進んでいたのはまもり。

これで残る野菜は、一つだけ。

こそっとパプリカを摘んで、そーっと戻ろうとするが……。

だらしなく黄パプリカを齧っていたクマが、こちらを向いた。

「…………」

「何だ人間か」と、また前を向くクマだが、思い出したかのように振り返る。

それから慌てて立ち上がると、大きく手を振って仲間を呼び出した。

「か、囲まれてしまいました……っ!」

最悪の事態に思わず震える。

メイたちに助けてもらうまで待つか、パプリカを置いて下がるか。

選択肢はいくつかあるが、悩んだ末に選んだのは――。

「勝負ですっ!」

食への愛着。

四頭のクマが一斉に迫り来る。

防御での対応ならメイたちを待つことができるが、まもりは攻めることを選択。

パプリカを一度落として、クマたちを自分に引き付ける。

「【シンバル】!」

片方の盾を【大きなフライパン】にすることで生まれる、金属のぶつかる音。

付近のクマたちから硬直を奪うとパプリカをひろい、遅い足で走り出す。

「っ!?」

実は一番大変なのが、パプリカの入手。

茂みから一気に集まってくるクマが、怒涛の波状攻撃を仕掛けてくる。

攻撃ができないという状態では、難しすぎる状況。

しかしまもりは諦めない。

「【チャリオット】!」

それはもはや、ラグビーの様相。

次々に迫り来るクマたちのタックルを、弾き返しながらメイたちのもとに駆け戻ってくる。

「まもりさんが……燃えています!」

「こんなに熱いまもりちゃん、なかなか見られないねっ!」

しがみつくクマたちを引きずり、振り落とし、そのまま一直線。

「っ! いきます!」

茂みから出てきたクマを、まもりは跳ね飛ばして突撃。

「やあああーっ!」

最後は正面から迫るタックルクマを飛び越え、そのままメイたちの前に転がってトライ。

無事、帰還に成功した。

こうして見事、全ての野菜を回収することに成功。

四人は野菜の生産者である、男の元に戻ることにした。

「皆さん! 無事でしたか!」

「あれ、その人はどうしたの?」

レンが聞くと、ちょうどそこに荷馬車に乗った別の男がやって来ていた。

「一足違いでしたね。彼が今回の交渉役です」

そういうと男は畑に向かい、クマのもとへ。

「……交渉がしたい」

交渉役がそう告げると、振り返ったクマは――。

「話を聞こう」

「話せるの!?」

普通に会話を始めたクマに、思わず声をあげるレン。

メイは「あはは」と、楽しそうに笑う。

やがて交渉が終わったのか、クマたちは男が持ってきたドングリ一杯の荷車を押しながら森へと帰っていく。

「なんかもう最近、クマは二足歩行が当たり前みたいになってるわね」

「クマたちには魔物を抑えてもらう代わりに、毎年ドングリを支給する契約を結びました。これで畑への侵入もやめてくれるそうです」

どうやらクマ問題も、これで解決したようだ。

「……とにかくこれで、最高の野菜も手に入ったわ! タヌキレストランに帰りましょうっ!」

「りょうかいですっ!」

最高の肉と野菜を手に入れたメイたちは、こうして来た道を戻ることにしたのだった。

「私たちも乗せてよ」

「遅くなるぞ」

「構わないわ」

速度を落として走るフレキの上で身を寄せ合う四人の姿は、クマたちに負けじと微笑ましかった。