軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1406.追い込めクレイジーブル!

「追い込み漁みたいな形を仕掛けるのはどう?」

「追い込んだところで、捕えに行く形ですね」

レンの提案に「なるほど」とうなずくツバメ。

「なんだか、ドキドキしちゃうねっ」

とにかく戦闘でどうにかするというのではなく、罠を張って狙うというのは狩りの一つの基本。

各自が持ち場に着き、始まりを待つことにする。

「……ヤツだ」

フレキと共に、あらためて発見した『A5』個体。

まずはツバメが駆け出し、追い込むところからスタートだ。

うなずき合う四人。

「行きます!」

合図をしてツバメが、スキルを発動する。

「【疾風迅雷】【加速】【加速】【加速】!」

駆け出せば、すぐさま動き出す『A5』クレイジーブル。

その速度は、やはりツバメに劣らない。

「そっちには行かせません! 【投擲】!」

ここでツバメは【炎ブレード】を投じて、その行き先をコントロール。さらに。

「そらっ!」

小竜が吐き出す炎弾が地面にぶつかり、さらにルートを限定する。

牧羊犬の様に、目的の方向以外への移動は認めない。

「【リブースト】【電光石火】!」

そんな中で狙う、斬り抜けの一撃。

しかしクレイジーブルはこれを回避して、位置取りを調整。

「思った以上の回避能力です」

これが『A4』になるだけで、ずいぶん楽になるのだが、やはり最高峰は難しい。

だが少なくとも、ここまでは狙い通りだ。

ツバメはクレイジーブルを、レンの担当区画に追い込むことに成功。

「レンさんっ!」

「待ってたわ! 【ファイアウォール】! 【ブリザード】!」

すぐさま炎の壁を張り、氷嵐を巻き起こす。

だがこれをクレイジーブルは、大きな跳躍と凄まじい健脚で、ダメージを受けつつすり抜けた。

「まだまだっ! ルーン発動!」

【設置魔法大型化】で仕掛けた【氷結のルーン】が、氷塊を足元から突き上げる。

するとクレイジーブルは氷塊に飛び乗り、そのまま向こう側へ。

「やるわね! でもまだまだ! 解放っ!」

続けざまの【設置魔法】解放。

二面の魔法陣が、豪快な炎を噴き上げる。

さすがにこれを突っ切ることはできず、進路を変更。

クレイジーブルは狙い通り、レン本人のもとへ駆け込んで来た。

「ここで出番よ! 捕まえて【悪魔の腕】っ!」

レンを狙って特攻を仕掛けてきたクレイジーブルの前に、生まれる魔法陣。

そこから出てきた悪魔の巨腕が、叩きつけに入る。しかし。

ドン! と、衝撃音を鳴らして急加速。

「遅ーい!」

クレイジーブルが通り過ぎた後、二拍ほど遅れての叩きつけ。

言われた【悪魔の腕】は、そそくさと帰っていく。

当のレンは、横っ飛びでクレイジーブルの特攻を回避。

「でも、この流れもまだ想定通り! メイ、お願いっ!」

クレイジーブルが通り過ぎて行った方に振り返る。

進む先にあるのは、脅威のメイゾーンだ。

ここでフレキが【喰らいつき】で迫り、方向を再調整。

メイは右手を突き、【グリーンハンド】の準備は万端だ。

「おまかせくださいっ! いきます! 【バンブーシード】!」

一気に伸び上がる大量の竹。

生まれる竹林は、足元から突き上がってくる。

しかし、わずかに届かない。

さらにクレイジーブルは速度をあげて、刺さる前に通り過ぎる。

「続けて【痺れ花】っ!」

先に竹を生やすことで体勢を崩し、速度を下げたところに広がる花粉。

ここでクレイジーブルは再びの超加速で烈風を起こし、一気に全てを吹き飛ばす。

「まだまだっ! 【豊樹の種】だーっ!」

さすがに小規模の密林を生み出されてしまえば、直進のみでは進めない。

またも速度を下げたところで、メイはさらに攻勢を強める。

「今だよ! 【危険植物ちゃん】!」

そこに伸び上がるのはビルの様に高く、大きな花弁を持つ一輪の花。

クレイジーブル目がけて、喰らいつきにいく。

「うまいですっ!」

思わずツバメが上げる声。

なんとクレイジーブルは身体を左に寄せて危険植物を誘導したところで、突然右斜め前へと跳躍。

喰らいつきを見事に回避してみせた。

獲物を取り逃してしょんぼりの危険植物は、そのまましぼんで地中に消えていった。

見事な逃走ぶり。

これでクレイジーブルの前に残ったのは、まもりのみ。

残念なことに、盾持ちの前衛に不用意な特攻は行ってくれない。

賢い選択で、その横を通り抜けに行く。

ここを通してしまえばまた、『A5』を群れから探すところに逆戻りだ。

「まもり、今っ!」

「はひっ! 【錬金の盾】!」

だが最後の砦は、巨大化する盾。

いかにその足が速くとも、広く高い『物理の壁』をすり抜けることは不可能だ。

これにはさすがのクレイジーブルも、直進は行えない。

後はこの盾を倒せば、左右のどちらかに逃げるしかない形になる。

左にはツバメが駆け込みスタンバイ。

右にはメイが先回りしていく。

迫り来る盾の壁から、クレイジーブルが逃げ出したのはメイの方。

ここで【猛烈特攻】を発動し、暴走トラックのような勢いで突撃を仕掛ける。

その凄まじい勢いは、見ただけで圧倒的な威力が伝わってくる。

これには思わずメイも、呼応してしまった。

「【ドラミング】だああああ――っ!」

ドンドンと胸元を叩いて威嚇すれば、生まれる脅威の膂力。

なんとクレイジーブルの角をつかむと、そのまま受け止めた。

もちろん、これでは終わらない。

こんな格好の好機を、逃す手はなし。

「からの……【ワイルドバスター】だああああああ――――っ!!」

「「「っ!?」」」

大柄な牛型モンスターの角をつかみ、軽々と持ち上げるメイ。

メイと持ち上げられた『A5』クレイジーブルが、綺麗な垂直の線を描き出す。

そしてそこから豪快に、後方に倒れ込む。

すると爆発音と共に地響きを鳴らし、盛大な砂煙が巻き上がった。

大きく地を跳ねたクレイジーブルは、そのまま倒れ伏した。

「これが野生の王と、獣の戦いなのね……」

「一度で百回は倒せそうな速度で、HPゲージが消し飛びました……」

「す、すごいです。もっと大型の敵が相手なら、確かに巻き込みも可能ですね……」

剣を使った戦いとは違うド派手なぶつかり合いに、レンは思わず興奮の息を吐く。

魔法を使う大きな演出とも、剣を使った激しい斬撃とも違うそれは、天災のような迫力があった。

「さすがだな!」

「ふむ、見事だ」

これには小竜とフレキも、大きくうなずく。

こうして四人は見事、『A5』の肉の入手に成功した。