軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1405.お料理対決です!

「勝負の内容は肉料理と、野菜料理ですにゃ」

「こーん回は二つの合計得点で、上回った方が勝利となります!」

「食材はメインとなるものを、自力で入手。それ以外はタヌキレストランの物を使うという形でよいですワン?」

「上等だ! この地獄の料理人ニスロクさまに不可能はねえっ!」

悪魔の料理人は、得意げに胸を叩く。

しかしその高さはヒザほど。

ワル可愛い雰囲気に、思わずメイもニコニコだ。

「オレさまが負けたらプレゼントをくれてやる。その代わり勝ったら……この店の看板はもらっていくぞ!」

「道場破り方式なのですね」

「ふふっ、あの小ささだと持ち帰るのに苦労しそうね」

まさかの事態にまた、慌てて転がるタヌキたちを見ながら興味深そうにするツバメ。

「それでは両者、まずは食材探しから……スタートですにゃ!」

レッサーパンダが両手をあげて、対決が始まる。

「逃げんじゃねえぞ人間ども!」

ニスロクは、勝利を確信したような笑みを残してタヌキレストランを駆け出して行った。

「どうか、よろしくお願いいたします」

「「「おねがいしますー」」」

そう言って集まってきたタヌキたちを、思わず抱きかかえるレン。

「当然、良い肉を持ってこいってことなんだろうけど……肉の良し悪しなんてあるの?」

この問いに応えるのは、もちろんまもりだ。

「は、はひっ。実は少し前に一部の素材用食肉にランク制度が導入されて、最高峰のお肉は見つけるのが相当難しいようです」

「なるほどね」

「と、特に問題なのは、その見分けです。ひたすらに数を倒して『A5』と呼ばれる個体を見つけるという形では、とても大変だと思います」

専用スキルなしで肉質を調べるには、倒して出たドロップを入手してから、アイテム欄を見て等級を確かめるという形になる。

これでは時間がかかり過ぎる。

「ならば、我の出番だな」

そう言って前に出て来たのは、食材調達係の魔狼フレキ。

「我の目ならば、見ればその肉の等級が分かる」

どうやら専用スキルを得るか、魔狼の好感度を高めるかという攻略法も用意されているようだ。

「それなら、頼みましょうか」

メイたちは、魔狼に頼る形を選んだ。

「いいだろう。付いてくるがいい。この付近で最高の肉質を持つ魔物は、クレイジーブル以外にない」

「そういうことなら、オレもついてくぜ!」

すると小竜も、フレキの頭に乗った。

「メイとまもりが背に乗せてもらう形でいいかしら? 私とツバメは自力で追いかけるわ」

「りょうかいですっ! それでは、しゅっぱーつ!」

フレキの背にメイが乗り、その背中にまもりが抱き着く。

食べているものが良いのか、銀色の毛はフワフワだ。

こうして四人は、タヌキシェフたちに見送られてトリアスの町を出た。

フレキの横を自在に飛んでいく小竜まで含めれば、草原を駆けるメイたちの姿は当然すごくファンタジー。

続くツバメとレンも、思わず目を取られる。

「メイさんも猫耳尻尾なので、まもりさんが動物たちの国に迷い込んでいるみたいですね」

「このフィギュアとか、作ってくれないかしら」

そんなことを語りながら、向かった先は山へと続く一角。

「こ、これは……群れですか?」

そこには大量の、ベージュと黒の毛皮を持つ牛型の魔物が集まっていた。

「ヤツらは警戒心が強く、しかも足がかなり速い。我でも苦戦するほどだ」

「な、なるほど、不用意に攻撃しようとすると逃げてしまうし、捕まえるにも足が速くて大変なのですね」

やはり『A5』とされる魔物の肉を得るのは、かなり難しいようだ。

「五メートルほどの位置までなら、近づいても問題ない。なぜならヤツらは速度にも強さにも自信があるからだ。腕の立つ冒険者にしか止めることができぬゆえ、牧草地を丸裸になるまで草を食べ、去って行くことで恐れられている強者。こちらが急な動きを見せない限りは大丈夫だ」

そう言ってフレキは、クレイジーブルの群れへと近づいていく。

メイたちも地面に降り、四人一緒に続く。

「『A5』の個体は、どれくらいいるの?」

「この数なら、多くて2頭だろうな」

程よい距離感を保ちながら、クレイジーブルの群れの中を見て回る。

メイたちにはやはり、見た目で肉質の違いは分からない。

走る緊張感の中、フレキがピタリと足を止めた。

「ヤツだ。ヤツの肉質は他の個体に比べて特別秀でている」

外見上の個体差はない。

見失わないようしっかり狙いを定め、足を止めた瞬間に、付近のクレイジーブルたちもこちらに意識を集中。

レンが杖を持ち、メイとツバメがうなずき合う。

「【装備変更】【バンビステップ】!」

「【疾風迅雷】【加速】!」

そして二人が駆け出した瞬間、『A5』個体が逃げ出した。

一瞬で騒がしくなる草原。

逃げる個体もあるが、中には攻撃を仕掛けてくるものもいる。

【ブラストタックル】は、衝撃波を伴う特攻だ。

「うわっと! 【アクロバット】」

「【リブースト】!」

駆け抜ける衝撃波が、肩をかすめていく。

二人しっかり特攻をかわして息をつくが、今度は四体が一斉に特攻。

「【ラビットジャンプ】【アクロバット】!」

「【跳躍】【投擲】!」

今度は足に衝撃を感じながらのジャンプ。

ツバメは着地際の攻撃をけん制する形で【風ブレード】を投じて、無事着地。

「速いです……!」

「本当だーっ!」

『A5』の逃げ足は、予想以上に速い。

直線移動に入ってしまうと、メイやツバメがどうにか追えるくらいの速度だ。

「【投擲】!」

「ありがとーっ! 【裸足の女神】!」

ここでツバメは先行して【雷ブレード】を投じ、特攻してきていた新手を止める。

メイは急加速で一気に距離を詰め、【ターザンロープ】を振り回しながら牛を追う。

「それええええ――っ!」

そして見事、その短い角にロープを駆けることに成功した。

「ふふっ、完全にカウガールね」

「ほ、本当ですねっ」

後方のレンとまもりが、思わずこぼす笑み。しかし。

「わあっ!?」

走りながらの投げ縄でわずかに崩していたバランスと、思った以上のパワー。

クレイジーブルに引かれて、メイが倒れ込む。

もちろん、その足は止まらない。

メイはド派手な砂煙をあげながら、地面を引きずられていく。

「うわわわわっ! うわわわああああああああ――――っ!」

「か、完全に西部劇です……」

「メイさんっ!」

見事な市中引き回し状態に、さすがに援護に入ろうとするツバメ。

「【加速】【リブースト】!」

そのままロープをつかんで制止をかけるが、クレイジーブルの走力に敗北。

「ああああああああ――――っ!」

メイと一緒になって引きずられていく。

「あははははっ、楽しいかもっ!」

しかしメイも西部劇を思い出したのか、楽しそうな笑い声をあげ始める。

「ツバメちゃん、せーのっ」

「「うわああああああ――――っ!!」」

今度は二人して、市中引き回されを楽しみ始めたメイとツバメ。

『A5』のクレイジーブルは、頭を振り回してロープを外し、群れの中に戻っていってしまった。

こうなってしまうと、どの個体が『A5』かは分からない。

完全に振り出しだ。

その場に残されていたメイは立ち上がると、「えへへ」と笑いながら戻ってきた。

もちろんツバメも、一緒になって笑みを浮かべている。

「ふふ、楽しかった?」

「バレてしまいましたか」

むしろ引きずり回される展開にワクワクしていたことに気づいたレンに、少し恥ずかしそうにするツバメ。

「でもこれ、なかなか面白いクエストになりそうね」

「や、やはりメイさんとツバメさんの足に魔法を混ぜて、捕まえる形でしょうか」

速度勝負をレンが援護して刺す。

そんな提案をするまもりに、レンは意外な提案をする。

「追い込み漁みたいな形を仕掛けるのはどう?」