軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1385.二体目の腹心を追え

「こ、これでまずは一体ですね」

「良い連携でした」

ドールと共に、腹心獅子の早い打倒にも成功。

五人は勝利を喜び合う。

「カナ、ずいぶん上手く合わせるわね」

「カッコ良かったよーっ!」

「ありがとうございますっ! 五月晴れの活躍は、いつも追いかけてたから!」

「なるほどねぇ」

メイが好きで戦闘を繰り返しで見ているし、姉の監視でまた動画を見る。

そのためカナは近接戦の感覚に優れ、パーティの連携も把握しているようだ。

「それじゃあ他のドール、腹心打倒の手伝いに行きましょうか」

「りょうかいですっ!」

腹心三体のうち二体の打倒もしくは召喚を防ぐことができれば、魔神の復活は防げる。

協力も可能な、このクエスト。

ならば次のドールを、いち早く倒すことがとにかく大事だ。

さっそく動き出す五月晴れ。

「カナちゃんも一緒に行こうよ!」

「いいんですかっ?」

「もちろんだよーっ!」

「メイさんたちと一緒なんて夢見たいですよーっ!」

うれしそうにするメイと、もっとうれしそうにするカナ。

もちろんメイたちを追うことにする。

「お姉ちゃんの監視も、もう少し続けさせてもらおっかな」

「はいはい、好きにしなさいよ」

これには、レンも苦笑いを見せるのだった。

「どうだ? 見つかったか?」

「いや、気配すら見つからない」

一方その頃、闇の使徒たちはパーティを分ける形でドールの行方を追っていた。

『闇』に属するギルドなどに出されていたクエストは、そもそもドールの発見が難しい。

三体の腹心を集結させるのに、暗躍少女側はとにかく不利。

そのため一体は、発見自体が困難なドールが用意されているようだ。

「制限時間が迫っている。とにかく急いで見つけるんだ!」

闇の使徒たちは、時間の経過に対し思うような成果が出ていない。

「「っ!!」」

そんな中、飛び込んできたのは視界に映るアナウンス。

それは腹心の一体が、打倒されたという報だった。

「これは使徒長殿たちか! さすがだ……!」

「あと一体、何としても我ら闇の使徒の手で続くぞ!」

気合を入れる闇の使徒たち。

続く森の中に見つけたのは、同じく辺りを見回すプレイヤーの一団だった。

「あそこにいるのは、光の者か?」

「……ドールの情報を共有し、発見を急ぐ方がいいのではないだろうか」

一人の闇の使徒がつぶやく。

「ダメだ。光の者に頼るような真似はできない」

「そうだな」

闇の使徒たちは光の使徒たちの後方を素通りし、そのまま探索を続ける。

そしてそんなパーティから離れる事、数キロほど先。

「【ウィンドストライク】!」

放つ風の魔法を、刀を持つ三体目のドールが斬り裂いた。

「「「うっ!」」」

刀から飛来した斬撃は速く、回避に回った光の使徒パーティは体勢を崩した。

「【セイントアロー】!」

即座に後列の弓術師が、聖なる輝きを刃にした矢を放って援護に入る。

しかしこれもドールは、刀の振り払い一つで斬り払う。

そして弓術師に向けて疾走を始めると、今度は魔導士たちが即座に魔法を射出。

「「「【ツインエッジ】!」」」

光の刃を同時に二本ずつ、三人同時に放つことでドールに防御を取らせて止める。

八人対一体でもやや押されている戦いは、前衛の人数不足が原因だ。

「っ!?」

厳しい戦い。

突然、その端に現れたのは――。

「闇の者たち……!」

六人組の闇の使徒パーティ。

どうやら先ほど狼煙代わりに打ち上げた『仲間にドールの発見を知らせるため』の魔法を見て、やってきたようだ。

一瞬頭をかすめたのは共闘。だが。

「ここは私たちのフィールドです! 戦いの邪魔になる前に立ち去りなさい!」

闇の使徒に助力を求めることなど、ありえない。

早いけん制の言葉を投げかけた。

「引くぞ、我らは我らの目標を探すのみ」

対して闇の使徒たちもすぐさま踵を返し、いまだ見つからない二体目のドール発見に急ぐ。

「きます!」

叫ぶ光の使徒。

直後。居合いを思わせる大きな払いの斬撃が、光の使徒たちをまとめて斬りつけた。

凄まじい攻撃範囲に、驚きながらの転倒。

刀のドールは、すぐさま追撃に動く。

光の使徒たちが、追い込まれた窮地。

「【シャイニングステップ】!」

足元から光を弾きながらの疾走で迫るのは、白のコートに白の軽鎧をまとった、白金の短髪。

白夜の片腕の一人、星野エトワールだ。

気付いたドールは連続の斬撃を飛ばして、早々に対応。

「【シャインセイヴァー】!」

しかしエトワールはこれを見事な回避で接近し、そのまま手に光の剣を生み出す。

振り下ろした一撃が決まり、大きく下がる刀のドール。

「魔法を!」

「「「【ツインエッジ】!」」」

すぐさまの指示で敵を守勢に回らせ、さらに接近。

「【フラッシュジャンプ】【チェンジアームズ】!」

光の剣を大きな光斧に変えて、空中からそのまま叩きつける。

防御するもその威力は高く、ドールはさらに大きく弾かれた。

エトワールは止まらず、さらに距離を詰めていく。

そして刀を構えたドールと、一対一の距離に持ち込んだところで――。

「【シャイニングステップ】! 【後光】!」

急加速で懐へ。

本人から半径1mほどの狭い範囲だが、強烈な閃光を放つことで確実に隙を作れる、そのスキルを叩き込んだ。

「【聖光烈拳】!」

「【十字炎槍】!」

その瞬間、即座に前衛組が連携を叩き込む。

「「「【ジャッジライト】!」」」

「【セイントアロー】!」

さらに魔法攻撃と矢が放たれ、次々に直撃。

パーティにエトワールという『核』になる存在が現れたことで、残る八人が急速に活き始めた。

転がり、大きく体勢を崩したドール。

勢いは完全に、光の使徒が奪い返した。

このままいけば、ドールによる腹心の召喚を止められる流れだ。しかし。

「なっ!?」

突然飛んできた大きな炎弾が、盛大に爆発。

「「「わああああああ――――っ!?」」」

炎と共に生まれた強烈な衝撃が、エトワールたちを吹き飛ばした。

「な、なにが起きたのですか?」

見た瞬間慄くその火力に、困惑する光の使徒たち。

すると燃え盛る炎を割るようにして、ゆっくりと姿を現したのは黒のローブ。

どうやらドールの打倒に手間取ったことで、対クエストの主である少女の到着が間に合ってしまったようだ。

「あいつは! 降臨祭を潰した……っ!」

気付いた光の使徒が叫び、すぐに全員が黒ローブの存在を確認。

「「「【フレイムスピア】!」」」

即座の魔法攻撃で、先手を打った。

「【セイントアロー】!」

さらに聖なる矢による攻撃も続く。

高速で飛来する六連の炎槍に対し、黒ローブは慌てることなく黒レースの『日傘』を取り出した。

正面に突き出し、開いてみせる。

するとその表面にぶつかった魔法が、矢が、次々に弾けて消えていく。

「【聖光烈拳】!」

だが魔法と同時に動き出していた足の速い武闘家が、すでに距離を詰めていた。

ここからでは回避など不可能。

防御するなら攻撃を継続するのみ。

優位を確信する武闘家が放つ拳が、巻き起こす輝き。

「っ!?」

しかしその場から、黒ローブの姿が突然かき消えた。

一瞬遅れて、少し距離を置いた位置に現れると――。

「【トライマギア】」

そうつぶやき、胸の高さに持ち上げた手の平を天に向ける。

「【ローズフレア】」

その手に灯る、大きな炎。

「【ローズフレア】」

「「「っ!?」」」

さらに炎が激しさを増し、光の使徒たちが驚愕に目を見開く。

「【ローズフレア】」

「…………」

言葉を失うエトワール。

魔法を放たず、手元に顕現させておくだけなら問題はない。

それは空中に『設置』しておいて放つ白夜の【エーテルジャベリン】と、そこまで変わらないからだ。

だが黒ローブは三度魔法を放ち、それを一つの煌々と輝く赤紫の炎に変えた。

「その目に焼き付けよ、煌爛たる炎華の庭園――――『スカーレットガーデン』」

手を伸ばして、放つ。

【トライマギア】は単純に、同種の上級魔法を三つ『合体させて』放つという凶悪スキル。

「「「わああああああああ――――っ!!」」」

炸裂し、広がる赤紫色の業火。

直撃を受けたわけでもないのに、光の使徒たちは五人が一撃で退場。

さらに星野エトワールも大きなダメージを負って、その場にヒザをついた。