軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1384.腹心を討て!

レンの放った炎が消え、腹心獅子が構え直す。

「よろしくおねがいしますっ!」

「香菜ちゃん! ありがとーっ!」

「助かりました。こちらこそ、よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いしますっ」

突然現れたカナにわずかに驚きながらも、すぐに陣を取る。

こうしてメイたちは、五人で敵に立ち向かう形となった。

メイと腹心獅子は麻痺によって、右腕が使えない状態。

それでも、先に動き出したのは腹心獅子だった。

「「「っ!!」」」

【獣歩】による高速移動で、一気にメイたちの陣の中に飛び込んで来た。

そして大きく、胸元をふくらます。

「グオオオオオオオオ――――ッ!!」

「嘘でしょ!? 硬直を複数回取れるの!?」

レンが思わず、驚きの声をあげた。

【百獣大咆哮】は、防御や範囲外への移動などをしない限り、連続で硬直を奪えるようだ。

完全に虚を突かれる形になったメイたち。

すぐさま腹心獅子は、【獣歩】で距離を詰める。

そしてそのまま、動けずにいるメイとツバメを動く左手の【烈爪】で斬り飛ばす。

「わあーっ!」

「くっ!」

腹心獅子はそのまま駆け、左手で持ったハルバードを豪快に振り回す。

【キングス・ロール】の狙いはカナ。

「しゃがみで!」

その場にしゃがみ込み、見事な対応で振り回しを回避する。

しかしそのまま続く振り降ろしに、わずかに動き出しが遅れた。

「【かばう】【不動】【地壁の盾】!」

ここに飛び込んできたのはまもり。

掲げた盾がハルバードにぶつかり、盛大な衝突音を鳴らす。

弾かれ合う両者。

【烈爪】か【キングス・ロール】か。

まもりは注意深く敵の動きを観察するが、首を引いたのを見て咆哮の類と判断。

盾を構え直すが――。

【キングス・バイト】は、空間をまるごと嚙みちぎる範囲型の食らいつきだ。

範囲空間が、ねじり斬られるようなエフェクトは防御を許さない。

「「きゃあああ――っ!」」

後方のカナと共に、二人まとめて地を跳ね転がる。

「【フレアストライク】!」

ここで最後尾のレンが、炎砲弾で敵の動きを止めに行く。

しかし直撃寸前にスキル硬直を終えた腹心獅子は、これをギリギリかわして反撃。

その胸元を、再びふくらませる。

放たれたのは、【砲弾咆哮】

「っ!」

見えない衝撃波に弾かれて、レンは大きく足をフラつかせた。

「モーションが硬直スキルと酷似してるのはキツイわね……!」

これを必死にかわすが、完全に優位を取られた形だ。

敵は【獣歩】で迫り、【烈爪】を振り下ろす。

「あっぶな!」

かすめていく斬撃。

すぐさま【魔剣の御柄】を取り出し反撃する。

しかし腹心獅子は振り降ろしを斜め前方への前進でかわして、再び爪を振り下ろした。

「痛っ!」

肩口を斬られたことで、体勢が崩れたところに続くハルバードによる突き。

腕を斬り裂いていく。

それでもレンは魔力の剣を振り払い、これ以上の攻撃をけん制。

「【低空高速飛行】!」

一転前に出て、大きな振り降ろしを放つ。

そしてこれを下がってかわした腹心獅子に、剣を向けた。

「解放!」

放たれる氷砲弾。

しかし腹心獅子はこれも、斜め後方へのステップで回避。

すぐさま攻勢を奪い返す。

「【ファイアウォール】!」

ここでレンが炎の壁で敵をけん制すると、腹心獅子はそれを跳び越える形での攻撃を選択。

「跳んだっ! ここなら重力はいつも通りだからね! 頼むわよ【悪魔の腕】っ!」

魔法陣を突き破りそうな勢いで出てきた黒腕が、足をつかんでそのまま地面へ叩きつける。

地を跳ね、それでも早い立ち上がりで体勢を立て直した腹心獅子。

「レンちゃんっ!」

メイの声の意図を、レンはすぐさま察知。

「【超高速魔法】【ファイアボルト】!」

【百獣大咆哮】を、慌てて止めた。

ダメージを受けながらも、接近戦という圧倒的不利をどうにか乗り切ったレンが息をつく。

入れ替わるように駆け出すメイ。

剣は使えない状態だ。

直前での急ブレーキから、メイが選んだ攻撃は――。

「がおおおおおお――――っ!」

放つ豪快な【雄叫び】が、見事に決まった。

完全な硬直状態に、メイは追撃を仕掛けていく。

「【重ね着】【装備変更】!」

【鹿角】と【狐耳】を重ねて、青い炎の灯る角で疾走。

「とっつげきー!」

【狐火】による爆発と共に弾き飛ばされた腹心獅子の先に、待っていたのはまもり。

「【獅子霊の盾】!」

盾から出てきた獅子が、獅子に喰らいつく。

そのまま地面に強く叩きつけ、跳ね上がった先には、大きく足を引くカナの姿。

「【風王脚】」

豪快な回転蹴りが、腹心獅子を蹴り飛ばした。

「手が治った!」

ここでメイと腹心獅子の『麻痺』が治る。

だがHPが半分を大きく割り込んだことで、獅子はさらなる攻め手に出る。

「……ココマデダ人間。我ガ神ノ復活ノタメ、貴様タチハ贄トナル!」

起き上がるのと同時に、両手でハルバードを構えて走り出す。

【獣歩】からの【キングス・ロール】で、ツバメを下げる。

即座の【砲弾咆哮】で、レンを動かしたところで放つ【百獣大咆哮】

「グオオオオオオオオ――――ッ!!」

ビリビリと身体を走る猛烈な衝撃を、全体に防御させた後。

「【キングス・ストーム】」

豪快な三度の回転で生まれる、円弧の斬撃を放つ。

これがレンとカナのHPを削り、まもりが足止めを受ける。

腹心獅子は、止まらない。

この隙に【獣歩】で良い『位置』を取り、ハルバードを掲げる。

そしてその柄を、地面に力強く突き差した。

「【ライジング・ロックス】」

「「「っ!!」」」

直後、地面から高く岩剣が突き上がる。

その範囲は広く、ギリギリでメイたちの陣を丸ごと含む。

「わああああーっ!」

「ああああーっ!」

中心付近にいたメイとツバメは、防御するも派手に転倒。

この一撃で全体の体勢を崩したところに、続くのは【百獣大咆哮】

「グオオオオオオオオ――――ッ!!」

どうにか全員防御を間に合わせるが、守るだけで精いっぱいの状況。

「――――【キングス・クエイク】」

そんな中、全力で振り下ろされるハルバード。

それは地面を深く割り、その左右に生まれた岩刃が飛び散る奥義だ。

すでに倒れる寸前のメイとツバメ、片ヒザ状態で盾を構えているまもり。

戦況は一方的。

「……【龍槌】!」

そんな中でカナが放ったタックルは、的確なタイミングで発動することで、敵の攻撃を相殺する。

見事一発で成功させて、動きが自由になる。

カナは腹心獅子目がけて、走り出した。

「高速【誘導弾】【連続魔法】【ファイアボルト】!」

それに気づいたレンが、体勢を崩したまま炎弾で腹心獅子を弾いて、再動を遅らせる。

「【爆水拳】【フェイント】!」

「ッ!?」

ここ一番での崩しを成功させたカナは、拳を強く引いた。

「【雷走破】!」

駆ける雷撃が、直撃。

レン・カナ姉妹が見事に、腹心獅子から隙を作り出した。

二人は自然と、視線を仲間に向ける。

するとそれに応えるように、メイが右手を突き上げた。

「【装備変更】! ――――それではどうぞ、お越しくださーい!」

魔法陣から落ちてきた巨大な象が、着地するのと同時に全員が浮き上がる。

直後、その鼻から放たれた猛烈な水が腹心獅子に向けて飛来。さらに。

「いーちゃん!」

【狼耳】による【群れ狩り】で、メイも同時にスキルを使用。

いーちゃんの生み出した暴風が、水を含んで盛大な嵐になる。

「【フリーズブラスト】!」

レンが【ヘクセンナハト】によって嵐を吹雪に変えれば、生まれる獅子の氷像。

流れていく冷気を裂くようにして、飛び込んでいくのはカナだ。

「【飛天】【雷光回転蹴り】!」

雷光をまとったド派手な回転蹴りが、見事に氷片を飛ばして炸裂。

それでも、ギリギリで1ドットでHPを残った腹心獅子は幸運。

すぐさまハルバードを高く掲げるが……そのままヒザを突き、ゆっくり前方へ倒れ込んだ。

腹心獅子が倒れると、その背後には静かに短剣を払うツバメの姿があった。

あまりに静かなトドメに、思わず息を飲むカナ。

「やったー! カナちゃんないすーっ!」

メイは見事な当身を見せたカナに、飛びついて歓喜する。

「あっ、ありがとうございますっ! 私もメイさんの鹿角パリィみたいなのやってみたくて狙ってたんです!」

手を取り合い、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶ二人。

そんな二人の姿に、レンは息をつきながら笑ってみせた。