軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1312.ルアリアへ!

「「「っ!!」」」

「レンちゃんっ!」

突然切り替わった、重力の軽重。

無重力からの突然の超重量化に、そのままその場に立つことだけでも大変。

そんな円形の重力範囲を展開しながら接近してきた魔導鎧が、レンをタックルで弾き飛ばした。

そのまま通り過ぎて反転すると、ランスを構えてスラスターを全力展開。

狙いをツバメに定めて、高速の特攻を仕掛ける。

「この重さ、完全な回避は難しいです……っ!」

ランスの直撃はギリギリかわせても、ぶつかることは避けられない。

ツバメは諦めて、防御の姿勢を取るが――。

「【かばう】【不動】【地壁の盾】!」

この攻撃を、まもりが受け止めた。

重力のせいで動き出しが遅い上に、移動距離が短くなっているが、それでも【かばう】で対応が可能だ。

「【クイックガード】【地壁の盾】! 盾、盾、盾、盾っ!」

今度は足もしっかり付くため、続く魔導鎧の連続突きを見事に切り抜けた。

「【シールドバッシュ】!」

即座の反撃を叩き込む。

突き出す盾から放たれ衝撃波に大きく弾かれた魔導鎧は、地に足をつけることでどうにか転倒を防ぐ。

「【魔砲術】【超高速魔法】【フリーズボルト】!」

ここでレンは遠距離攻撃魔法化した氷弾を、超高速で発射。

しかし、ギリギリ届かない。

足元に弾けた氷弾に魔導鎧は、再びスラスターを全開にして一直線にレンのもとへ。

場は超重量化状態、先行しての魔法攻撃は難しいようだ。しかし。

「最初から【魔砲術】は、こっちに呼びつけるための合図よ……!」

魔導鎧が、その範囲に入ったところで指をパチンと鳴らす。

「開放!」

【設置スキル大型化】によって発動した【フレアストライク】が、トンネルの天井を焼くほどの炎を噴き上げ、魔導鎧が倒れ込んだ。

「まだまだっ! これならどう! 【氷塊落とし】!」

敵の頭上に現れた氷塊は、この重力下では容赦なし。

魔導鎧をその重量で弾き飛ばし、地面に深々と突き刺さった。さらに。

「【錬金の盾】!」

それを見て駆け込んで来たまもりが、盾を大きく分厚く変更。

「それーっ!」

メイがタックルで押すと、倒れ込んだ巨大盾がさらに魔導鎧を弾き飛ばす。

「超重量が……解けた!」

すると連続攻撃を受けた魔導鎧が、超重力を解除。

再び無重力となる。

「【低空高速飛行】!」

それを見たレンは、即座に全力飛行。

たどり着いたのは、ルアリアのホームに当たる部分に設置された、重力変更レバー。

これを無重力から、軽重力の方に倒す。

「今よっ!」

「【装備変更】【バンビステップ】!」

メイは【猫耳】を【鹿角】に換えて疾走。

「【突撃】だああああ――――っ!」

どうにか体勢を立て直した魔導鎧が付き出したランスをかわし、そのまま角で突撃。

二度目のピンボールにした。

残りHPはもう、残りわずか。

メイは止まらず、スラスターで体勢を直そうとしている敵のもとに急行。

「【装備変更】っ!」

その目前でその手を掲げると、剣が大きな一本の骨に変わった。

【ダイナボーン】をつかんだメイは、ツバメに一瞥。

「【ダイナブラスト】だああああ――――っ!!」

ゴルフのようなスイングの猛烈な一撃が叩き込まれたその瞬間、ツバメは『テネブラエ』側の区画の重力を、軽重力から無重力へ。

すると魔導鎧は冗談みたいな速度で飛んでいき、前に通り過ぎた電気水に突っ込み、ド派手な雷撃を響かせる。

さらにそこから隔壁を突き破る音を鳴らし、それでも止まらず見えなくなっていった。

「……あのまま、テネブラエまで飛んでいくんじゃない?」

隔壁後の重力区間を抜けたら、その後はしばらく無重力区画が続く。

下手をすれば、テネブラエの壁にめり込んでる可能性もあるなと、笑うレン。

「重力が切り替わる状況での戦いは、なかなか変わった趣がありますね」

「本当だねっ!」

それでもメイは楽しそうに、再び軽重力に戻した区画の中でピョンピョン跳ねる。

平泳ぎをしていた少女も、ケガ一つなく無事だ。

こうしてトンネルを抜けた五人は自然とハイタッチをすると、最奥のルアリア側出入り口にたどり着いた。

「ホームの造りには、差はないわね」

「そうですね」

辺りを見回しながら階段を上がるレンとツバメの前を、軽快な足取りで上がっていくメイ。

「おおーっ!」

地下から上がると、そこに見えるのは星々の輝く宙。

「地下から上がってくると星空が見えるというのは、不思議な感じですね」

「ま、街は白いのに、空は暗い。特別な風景ですね」

ルアリアの街は、並ぶ白い壁が柔らかく輝いている。

テネブラエよりも破壊は進んでおらず、丸みを帯びた造りの建物が目につく。

明るく淡い色の案内板などが多いのも特徴か。

そして、真っ白なウサギたちが道路を駆けて行く。

「この街……」

「この街?」

突然辺りを見回し始めた少女に、問いかけるレン。

「何か大切なものが、あった気がする」

「警報の発信源はまだ先みたいだけど……そういうことならルアリアを歩いてみましょうか」

「りょうかいですっ!」

持ってきた『石』を起動すると、わずかにその反応が大きくなっている程度。

しかし記憶のない少女の言動を見るに、この街には何かがありそうだ。

モナココの前身である文明、ルアリア。

そこは、月からやって来た者たちの故郷。

メイたちは駆け回るウサギたちを横目にしながら、人気のない街並みを進んでみることにした。