軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1241.トップとトップ

新生セフィロト丸の到着と、トップ勢の共闘。

厳しかった戦いは、その流れを変え始めていた。

【裸足の女神】で加速したメイは、【ラビットジャンプ】で宙を舞う。

そして怪鳥の背に飛び乗ると、右手をついて再び跳躍。

「大きくなーれ!」

【密林の巫女】を発動させれば、怪鳥の背中に残してきた【アイヴィーシード】が一瞬で成長。

ツタでがんじがらめになった怪鳥は、飛行姿勢すら取れない状況に。

「あと、お願いしますっ」

「撃て! 撃てぇぇぇぇ!!」

メイのそんなお願いに応える、飛行艇のクルーたち。

一斉に放つ魔法と砲弾が、空中に盛大な爆発の花を咲かせた。

「【装備変更】!」

さらにメイはここで、武器を【白鯨の弓】に変更。

「【アクロバット】【曲芸連射】!」

【痺れ矢】を見事にガーゴイルたちに当て、甲板の上に落下させた。

こうなれば後は、各クルーが隙だらけの敵を叩くだけだ。

「【グレートジャンプ】!」

ナギは飛行艇の甲板を蹴り、天高く大ジャンプ。

月の見え始めた空に舞い上がり、次に向かうべき敵を目視で探索。

最後の募集で飛び乗ってきたクルーが多い飛行艇はやはり、戦力的に不安定なようだ。

「【急速降下】【サザンクロス】!」

そのまま紅の翼28号艇にいた有翼の大トカゲに、十字槍を突き刺し爆発を巻き起こす。

「まだまだぁぁぁぁ――っ! 【グレートジャンプ】【急速降下】!」

着地と同時に再跳躍。

次の狙いは、二足の骨竜だ。

「【ノーザンクロス】!」

所々骨が突き出したスカルドラゴンの頭部に、光刃を灯した十字槍を突き刺した瞬間。

「大きくなーれ!」

目の前に同じく、【蒼樹の白剣】を突き刺したメイの姿。

二人は笑い合い、そのまま前進。

すれ違う形で、スカルドラゴンから飛び降りていく。

直後、骨の竜は粒子となって消えた。

「正面、大型が一体来ます!」

陣は中央。

そこに向けて飛んでくるのは、一体の黒いキマイラ。

対応に動き出したのは、兵長とエアの機体だった。

「退けウィンディア。あいつは俺の獲物だ」

「それなら、どちらが落とすか競争といくか?」

「いいだろう」

一体のキマイラを迎え撃つ、エアと兵長。

二人は『8』の字を描く形で飛行。

通り過ぎる際に先行して兵長の撃った砲弾が直撃し、体勢を崩すキマイラ。

すかさずエアが追撃して、悲鳴交じりの咆哮が上がる。

キマイラの背後に回り込んだ二人は、すぐさま飛行艇の向きを変更。

照準を合わせるのと、同時に砲撃。

盛大な爆発と共に、落下していくキマイラ。

「やったのは俺だ」

「いや、こっちの攻撃の時点で勝負はついていた……っ!?」

言い合う二人の前に、超加速で飛んでくる巨体はブルードラゴンの亜種だ。

そんなエアと兵長の間を、さらに速く駆け抜けていったのは――。

「「ジャルル・アナザー」」

自ら飛行艇を作り駆る、富豪。

さらに速度を上げた飛行艇で、そのままブルードラゴン亜種に接近。

「【エーテル・ロングブレイド】」

なんと飛行艇の小さな両翼に付いた、魔法石から生み出された魔力の大剣で、ブルードラゴン亜種を一刀両断した。

「負けていられませんね!」

ツバメはセフィロト丸を駆り、紅の翼19号艇に向けて高速飛行。

強襲を仕掛けようとしていた中ボス、ウィングリザードをそのまま跳ね飛ばす。

「「「っ!?」」」

戦闘の最中にあり、敵の接近に気づかずにいた19号艇のクルー。

甲板に落ちてきたウィングリザードを見て、すぐさまツバメの意図に気づいた。

すぐさまトドメを刺しに行く。

「助かった……! ありがとう!」

「撃ちます!」

もちろんまもりは、この瞬間も敵の動きに目を光らせていた。

19号艇に高速で接近中だった飛竜を、先んじて魔力砲で砲撃して打倒。

あのまま気付かずにいたなら、突然の攻撃に19号艇は崩されていただろう。

こうしてセフィロト丸・リヴァイブの到着から変わり出した戦いの流れは、完全にブライト防衛隊のものとなった。

「レンちゃんっ!」

メイの声に、レンはすぐさま反応する。

見れば巨竜の頭部結晶に、輝き出す光。

「また、ですの?」

自然と紅の翼クルーたちが、緊張に息を飲む。

「そうはいかないわ! 【超高速魔法】【ファイアボルト】!」

しかし暗い空を弾丸のように突き進む炎弾は、そのまま巨竜の頭部に直撃。

放たれるはずのレーザーが、ここでついに食い止められた。

「お、おお……」

「「「うおおおおおおおおおお――――っ!!」」」

「これは大きいぞ!」

「歓喜ですわね……っ!」

幾度となく、優位を取りかけたところで形勢を変えてきたレーザーの強制停止に、皆拳を突き上げずにはいられない。

早い発見のメイと、高速遠距離魔法のレンに、向けられる歓声。

「【大鷲降霊】!」

「【黒翼】!」

ここでさらに優位を押し進めるのが、ディアナとレン。

同じタイミングで、空を舞うスキルを使用。

ウィンディア5号艇を大きく揺らして現れたのは、バフォメットを思わせる翼持ちの黒ヤギ。

二人はその前に、そろって着地した。

「【霊光砲】!」

舞い散る黒い羽の中。

いきなり霊力の爆発を叩きつける。

「【低空高速飛行】!」

そこに飛び込んで行くレンが、その手に持った【魔剣の御柄】に【フレアバースト】を仕込んで決める斬り払い。

「【解放】!」

そのまま振り上げを決めたところで、再びの爆発。

直後、HPを大幅減させた黒ヤギ型の魔物があげた咆哮に、集まり来る大量の『刃カラス』

「数で攻めようっていう狙いね。そういうことなら!」

その数は、集れば飛行艇でも落とせるほど。

やっかいな状況になりそうだったが――。

「【魔力蝶】」

レンの周りに集まる、黒に淡い青の輝きを湛えた蝶々たち。

揺れる長い白銀の髪、寒気を感じるほどに美しい所作で、レンが杖を向ける。

一斉に飛び立った輝きの蝶は、青紫の空をまばゆく染め、黒ヤギごと大量の刃カラスたちを一掃した。

「敵影、まだ続くっスよ!」

見ればすぐに大物と分かる風貌は、二足の獅子に翼を持たせた悪魔『パズズ』

噴き出す熱風は強力で、飛行艇にダメージを与えつつ、レンとディアナの体勢を大きく崩した。

「それーっ!」

するとそんな光景を見たメイは、大きな跳躍で駆けつけようとするが――。

「あっ、ちょっと足りないかも……っ!」

甲板の手前で、跳躍距離がギリギリ足りないことに気づく。

ワタワタと空中を泳ぐように手を振り回すが、それで飛距離は変わらない。

「【装備変更】っ!」

飛行艇の側壁に、とっさの【肉球グローブ】でしがみつく。

「【モンキークライム】!」

そして一気に飛行艇を駆け上がると。

「狼、いきますっ!」

ディアナにそう言って、右手を突き上げた。

「――――それでは。おいでくださいませ、狼さんっ!」

現れた魔法陣から、飛行艇でも狭そうにしながら登場する白狼。

飛び下がろうとしたパズズを逃さず喰らいつき、そのまま顔を空に向ける。

すると冷気が噴きあがり、白狼は凍結したパズズを放り出した。

「【スピリット・キングウォーウルフ】!」

続くディアナのスキルは、召喚狼に並ぶほど大きな霊の狼を呼び出した。

凍結状態のパズズは逃げることもできず、狼霊の喰らいつきが直撃。

そのまま、噛み砕かれて消えた。

先ほどとは違う形の獣連携に、メイとディアナは当然のように「「がおー」」とポーズを決めて笑い合う。

そしてクルーたちも、二人の可愛さにノックアウトとなった。

「くっ、強い!」

同じ現象は、隣のウィンディア6号艇でも起きていた。

着地したパズズの熱風攻撃にクルーが転倒を取られ、見舞われる危機。

「【エーテルジャベリン】!」

そこに飛び込んできたのは白夜。

パズズが放つ連続の炎弾を、華麗な左右へのステップでかわしながら前進。

手にしたレイピアを、大きく引いた。

「【ライトニングスラスト・クルシフィクス】!」

急加速。

パズズは防御もできず、その腹部にレイピアが突き刺さった。

すると足元に生まれた魔法陣から突き出た聖なる光の杭が、立て続けに三本クロスするように刺さり、パズズを磔にする。

「さあレンさん、今ですわ!」

振り返る白夜。

すでにレンは、その手をパズズに向けていた。

「【聖槍】!」

暗い空に磔にされたパズズに、一直線に飛んでいく聖なる光の槍。

そのまま突き刺さると、白く輝く光をまき散らして炸裂。

同時に、粒子になって消えていくパズズ。

その光景はまるで、悪魔が浄化されるかのような神々しい光景だった。

「使徒長が光の者と組み、聖なる魔法を!?」

「バカな……! 勢力図が書き換わる可能性すらあるぞ!」

「違う。やはり使徒長はもう……聖きも暗きも超越しているんだ」

鳥肌状態の黒づくめパーティがあげる、驚きの声。さらに。

「共闘する二つの陣営のエースたち。さらに光と闇を超越した使徒長……」

「これ、強過ぎないか?」

「こんなのもう、敗けろって方が無理だろ……っ!」

広がる盛大な戦いに、上がるクルーたちの意気。

こうして戦局は完全に、ブライト防衛部隊のものとなった。