作品タイトル不明
エピソード:『【幕間】軍師の休息と、浮つく作者のスペシャルカウントダウン宣言』
――物語の幕間。
そこは、赤茶けた北の荒野と、コーヒーカップが転がる執筆机の狭間にある不思議な空間。
激闘を終え、ようやく銀の仮面を外してソファーでぐったりとしていた軍師リナは、目の前で同じように魂が抜け、真っ白な灰のようになっている作者を、ジト目で見下ろしていた。
リナ:「……作者。一つ、よろしいでしょうか」
輝夜:「あ、リナちゃん……。うふふ、終わったよ……北の国、平定したよぉ……」
リナ:「ええ、おかげさまで。私も心身ともにボロボロです。シュタイナー中将の足湯に浸かって、大福でも食べないとやってられません。……ですが、あなたのその干からびたスライムのような有様は一体何ですか?」
輝夜:「それはね、リナちゃん。君が北壁で極限の知略戦を繰り広げ、命の選別に苦悩していたからだよ……。実はね、君と私の疲労度は見えない 管(リンク) で繋がっている説があるんだ。君が悩むと、私もリアルに胃薬を噛み砕きながらキーボードを叩く羽目になるんだよ!」
リナ:「……私のせいだとでも? そもそも、私をあんな過酷な戦場に送り込み、ヴィクトルなんていう陰湿な毒蛇と盤面を囲ませたのは、他ならぬ作者ですよね? 完璧な自業自得というやつです」
輝夜:「うぐっ……正論の刃が鋭い! でもね! 実はもう一つ、私の心がフワッフワに浮き足立って、本編に没入できない重大な理由があるんだ!」
リナ:「……またストック切れですか?」
輝夜:「違うよ!(そ、それもあるけど……) なんと……あと一ヶ月で、この物語が『書籍化』されるんだよぉぉぉっ!!」
リナ:「…………っ!」
(ピクリと、リナのわんこのような耳――いや、亜麻色の髪が揺れた)
輝夜:「初めての経験でさ! 準備やら何やらで気忙しいし、これまで読者の皆様と頑張ってきたことが『本』っていう一つの形になるんだよ!? そりゃあ、心が宙に浮いて、シリアスな戦後処理とか、次の謀略とか、安直な方向にまとめちゃいそうになるじゃないか!」
リナ:「……なるほど。繊細なんだか図太いんだかよく分からない理由ですが、おめでたいこと、ではあるのですね。……ふふ。読者の皆様の応援の 賜物(たまもの) ですね」
輝夜:「そう! だからこそ、ここで無理に本筋の先(未来)を描いて、適当な物語にするのは私が嫌なんだ。先のストーリーの大枠も、重要なポイントも全部頭の中には出来上がってるんだけどね。今は少しだけ、この世界で『深呼吸』がしたいんだよ」
リナ:「深呼吸、ですか」
輝夜:「うん! だからこれからしばらくの間は、本編の時計の針を少し止めて、『スペシャルカウントダウン』と題して、この世界で気ままに遊ばせてもらおうと思うんだ! 本筋の裏側で他の人たちがどんな風に頑張っているかとか、日常のちょっとした小話とかね」
リナ:「要するに、創作の疲れを、別の創作で癒やそうという……重度の 活字中毒(ワーカホリック) ですね。アイゼンハルト監査官に知れたら、効率が悪いと小一時間説教されそうです」
輝夜:「ははは! 良いんだよ、お祭りなんだから! というわけで読者の皆様。先の展開が気になるところで大変申し訳ないのですが、少しの間、輝夜の『書籍化お祝い』にお付き合いいただけると嬉しいです!」
リナ:「……はぁ。仕方ありませんね。皆様、いつもこの無策で感情の起伏が激しい作者を支えてくださり、本当にありがとうございます。しばらく本筋はお休みになりますが、私たちの日々の裏側を覗き見ながら、のんびりとお待ちいただければ幸いです」
輝夜:「ありがとうリナちゃん! 最高の閑話を書くからね! お詫びとお祝いを兼ねて、帝都の最高級マカロンと、クララさん特製の新作ケーキを山盛り用意するよ!」
リナ:「……っ! し、仕方ありませんね。特別ですよ。……あ、お茶は濃いめでお願いしますね」