作品タイトル不明
荒ぶる蒼炎
蒼炎は半径が25メトル、直径にして50メトルの球体になって拡大するのをやめた。ここまで25メトルもあるのに熱気が凄い。拡大はやめた蒼炎だったが回転はやめない。唸る音は死の音に聞こえる。
1番後ろで全体を見ていた責任者が大声をあげる。
「受験生を避難させろ!水魔法を使える教員を集めてあの炎にぶち当てろ!急げ!」
蒼炎はまだ燃えている。もう蒼炎を撃ってから5分は超えている。僕は避難を呼びかける試験官達の声を無視して蒼炎を見ていた。
蒼炎は怒っていた。
全て焼き尽くす炎。
単純に死を予感させるが、この蒼炎はそれだけじゃない。僕は死の後の生を感じていた。
美しいとぼんやり思った。
僕は心の中で蒼炎に謝っていた。
いつもダンジョン内で使ってお前のエネルギーを無理矢理弱くさせてたんだな。お前は我慢していたんだな。気がつかなかったよ。
今日は好きなだけ燃えろ!お前の真の姿を皆んなに見せてやれ!
その気持ちに応えるように蒼炎は回転しながら唸りをあげていた。
10分ほどで水属性の教員達が現れ、蒼炎に向かって水魔法を撃ち込み始めた。
辺りは水蒸気に包まれた。
魔法研究所からも助っ人が現れ総勢30人くらいの人が蒼炎に向かって水魔法を撃ち込んでいた。水魔法はすぐに水蒸気に変わるだけだった。
僕はそれを見て馬鹿だなぁって思った。
蒼炎は消す事なんてできない。
蒼炎自ら消えたい時に消えるだけ。
僕は根拠は無いが確信していた。
水魔法を撃っていた教員達は次々とMPが切れ魔法が撃てなくなっていった。
半刻(1時間) が過ぎた。教員達は既に諦めていた。蒼炎は変わらない勢いで回転している。熱気が凄い。
僕は心の中で蒼炎に語りかけていた。
蒼炎。お前は美しいな。いつもありがとうな。今日は満足したかい?もうそろそろ今日は終わりにしようか。
僕の語りかけを理解したように蒼炎の回転が弱まってきた。
そのまま蒼い炎が白い炎に変わり、しばらくすると赤い炎に変わった。回転は止まり、球体の形が崩れてきた。燃やすものが無くなっているため急激に赤い炎が弱くなってきた。
地面は半球体で抉れている。学校関係者が手作業で水をかけている。地面が熱くなっており、表面は黒くなっているがその下は赤い溶岩状だ。
地面が深いところで25メトルほど消失しておりその下は溶岩だ。
これ落ち着くまでどのくらいかかるのだろうとぼんやり考えていた。
今日の実技試験と面接は中止になった。
王国魔法学校からは、明日の朝にこの後の試験をどうするか連絡すると言われた。
僕も宿に戻ろうとしたが【黒龍】の杖を試験官に渡したままだと思い、その試験官を探した。魔法射撃場の隅にいるのを見つけた。僕が近寄って行くと恐怖の表情を浮かべた。
僕が「杖を返してください」と言うと慌てて杖を持ってきて返してくれた。
僕はこの試験官に一言言っておいてやろうと思い口を開いた。
「良かったですね。あなた方が作った結界が壊れるところが見れて」
そう言って僕は試験会場をあとにした。