作品タイトル不明
妹の為のチャレンジ精神は仕事を増やす
慶長元年(1596年)七月十三日
信濃国 高遠城
「それでは婿殿!竹!儂達は出立するが、勝千代だけでなく、もっと子を持ち、信濃国を日の本で一、二を争う平和で豊かな国にする事を期待しておるぞ!」
「はい!義父上もお元気で!」
「励みます!」
竹姫が義光に「旦那を支えるなら、腹芸くらいせんか!」と怒られた翌日、義光は勝四郎と江を甲斐国へ連れて行く為、挨拶もそこそこに出発した
そんな義光達が甲斐国へ近づいているだろう、いや、早く到着してくれと願っていた六三郎はというと
慶長元年(1596年)七月十五日
甲斐国 躑躅ヶ崎館
「典厩様、田之助殿!元服後の仮名と諱の候補として、此方の名はどうでしょうか?
仮名は「 東之助(とうのすけ) 」として、諱は「 信光(のぶみつ) 」と仮の候補になりますが」
「柴田様。どちらも父上の名を使っていただき、誠にありがたいかぎりなのですが、まだ、決断するに至らないのです」
「六三郎殿、田之助が済まぬ。じゃが、儂としても、分家とはいえ北条家の姫を嫁に迎えるのじゃから、出来るかぎり悩んで
最終的に、「これだ」と思う仮名と諱に決めてもらいたい。色々と考えてもらっておるのに済まぬ」
田之助の元服後の仮名と諱の候補を出していた。もっとも、あくまで最終決定は武田家当主である勝四郎の判断になるので
そこら辺も含めて六三郎は「とりあえず候補は出しておくか」ぐらいにしか考えていなかった
皆さんこんにちは。武田家で世話になって2ヶ月と少しになりました柴田六三郎です
妹夫婦が武田家で開く祝言に参加しろと、大殿からの命令で滞在中なのですが
何もしないでお世話になりっぱなしも良くないので、大殿に移譲した北条家の長老の幻庵さんの曾孫達の婚姻の総仕上げとして
田之助くんの元服後の仮名と諱の候補を考えているのですが、今すぐに決めなくても別に良いのです!
何故なら、最終決定は勝四郎くんが下すのですから!俺はあくまで提案するのみです
まあ、候補の名前は紙に残しておいて、勝四郎くんが帰って来てから見てもらえば良いです
江の為に頑張った勝四郎くんなら、田之助くんにも良い名前を付けてくれるでしょうから!
まあ、俺の個人的な推測は此処までにするとしましょう!この甲斐国ですが、久しぶりに来たら
埋め立て工事をしていた頃と違い、お金と人が動いているのが分かる程、活気があります!
特に酒造に関しては、ワインだけでなく、なんちゃってビールも基本的な作り方を紙に書いて残しておいたので
それを見ながら杜氏の皆さんの創意工夫で甲斐国産のクラフトビールが出来ている様です。これで何とか江が貧乏暮らしをしないで済むかなあ?
何故、俺がそんな事を考えているのかと言いますと、勿論、兄として江に不自由な暮らしをして欲しくない気持ちが9割ですが
残りの1割で、江が不自由な暮らしが辛くて親父とお袋に泣きの文でも出そうものなら
俺がまた何度目の甲斐国への出張に行かされるからで、そんな事が起きない様に祈っているのです
そんな事は無いと思いますよ勿論!ですが世の中に絶対は無いですから、万が一にもそんな可能性を潰しておきたいのです!
なので、甲斐国で取れる材料で新たな酒、若しくは新たな酒の材料になりそうな物でも見つけて、メモでも残しておこうかなと思います
それじゃあ、ちょっとばかし散歩にでも行きますか!
「典厩様!田之助殿、少しばかり気分転換も兼ねて外に行って来ますので」
俺が「散歩してくる」と言うと、典厩様が
「六三郎殿!それならば、田之助達を連れて行ってくれぬか?六三郎殿と共に歩いて何か気づくかもしれぬので、良いかな?」
「田之助達を連れて、何か教えたり見つけたりしてくれ」と頼まれました。まあ、それくらいなら良いか
「分かりました。それでは田之助殿、姉弟を連れて来なされ」
「姉上もよろしいのですか!?」
「男では気づかぬ事に気づくかもしれぬじゃろう?とりあえず、連れて来なされ」
「は、はい」
そう言う事で、武さん、田之助くん、義衛門くん、新三郎くんを連れて散歩を兼ねた銭の種探しに出発です
武さんに関しては、まだ中学生くらいなので、赤備えの皆が筋トレも兼ねて駕籠に乗せて移動して
3兄弟は頑張って俺達の歩くペースについて来ております。4人と一緒に移動して、約2時間程歩いていると
「し、柴田様!赤備えの皆様!少しばかり休ませてくだされ!」
「田之助兄上と同じく!」
「皆様について行くのが、やっとです!」
3兄弟が「休ませてくれ」と、リクエストして来たので
「仕方ない!少しばかり休もう!」
「「「ははっ!」」」
休む事に決めました。そんな弟達に長女の武さんは
「三人共、そんな体たらくでは御屋形様は勿論、仁科様や典厩様にも元服は早いと言われますよ!しっかりしなさい!」
3人に喝を入れていましたが、3人共疲れているので、マトモに反応出来ないので
「まあまあ、武殿。我々の移動速度について来るだけでも疲れてしまうのは仕方ないので、休ませてくだされ」
俺がフォローしておきます。俺のフォローに武さんは
「柴田様、弟達が申し訳ありません」
平謝りしております。このままだと話が進まないので
「武殿、気にしないでくだされ。それよりも、躑躅ヶ崎館から一里半程の距離に、これ程、松の木が大量に植えてあるとは!
喜兵衛!この松の木は、昔からこうであったか、何かしら知っておるか?」
とりあえず周囲に大量に植えられている松の木を見て昌幸さんに質問すると
「拙者が父上から教えられた話ですが、信玄公の父である信虎公の時代に大幅に植えたそうです
なんでも、松の実はいざという時に食糧になると同時に、松の葉は水に滋養を与えてくれるらしいとの事です」
と、教えてくれました。信玄の親父さんの時代から植えられているのか、間違いなく70年以上昔の話じゃないか
しかし、松の実が食える事は分かるけど、松の葉が水に滋養を与えるとか、本当かなあ?
あれ?水に滋養と言う事は、水に何かしらの変化を生むと言う事だよな?俺の予想が当たっていたら
日本で初どころか、世界で初の物を作れるかもしれないな!
昌幸の答えを聞いた六三郎は、いつもの癖のポーズで考えながら、その場をウロウロし始めた。そんな六三郎を見た武達姉弟は
「柴田様は何をしているのですか?」
と、源太郎や昌幸に質問する。質問を受けて源太郎が
「各々方、殿は何かしらの妙手になりそうな際、あの様な独特な姿勢になるのです
なので、もしかしたら甲斐国の新たな特産品が生まれるかもしれませぬぞ」
大まかに説明する。源太郎の説明が終わると同時に六三郎は何か思い浮かんだ様で
「皆!躑躅ヶ崎館に戻るぞ!!典厩様に許可を得てから挑戦してみたい事がある!
それが成功したら、日の本でも甲斐国でしか作れない物が出来るぞ!」
「「「「誠ですか!?」」」」
六三郎の言葉に武達4人はとても興奮していた。六三郎が挑戦したい事とは一体?