軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

演説する人がいた

翌日はパンジャの観光だ。前に来た時は街中をほとんど見て回らなかったからな。

「王都とぜんぜん違う街並みね」

「そうだな。あんまり高い建物もないから威圧感とかないな」

カタリーナはパンジャののどかな街並みを興味深そうにキョロキョロしている。逆おのぼりさんだな。

カタリーナとハンナリーは地元の人が作ったと思われるアクセサリーを可愛いーっとか言いながら買って行く。王都に戻った時に我に返って、なぜこんな物を買ってしまったのだろうか? とかなりそうだ。

「ねっ、これローズに似合うと思うのっ。買ってあげるから着けてね!」

木彫りの何か分からん顔の人形が付いたネックレス。それ呪具とかじゃないだろうな。

引き攣る顔のローズにお土産ハラスメントをするカタリーナ。ローズは今から儀式の生贄になる人みたいだ。カタリーナもお揃いの髪飾りを買って着けている。こんな趣味とは知らなかったな。

ここにいると「マーギンにもはいっ」とか言われそうなので、ドライフルーツの店に行こうと誘う。

「これはなぁに?」

「それはマンゴーだな。旨いぞ」

「これは?」

「グアバかな?」

カタリーナに聞かれるけど全てを知っているわけではないので、一通り購入して皆で味見をする。結局マンゴーとパイナップルのドライフルーツをメインにして色々と購入。大量に買ってしまったけど、細かく切ってクッキーかパウンドケーキに入れたらいいか。

昼ごはんは地元の料理を食べる。俺はこの中に入っている香草は苦手だけど、女性陣とホープは旨いと言っていた。好き嫌いのはっきり分かれる味だ。どの料理にも入っているのが解せぬ。

「グリーンカレーとビール頂戴」

皆で料理をシェアしていたけど別に注文する。店によって少しずつ味が違うのも良いものだ。好みはイルサンの店の方だけど。

「昼間っから飲むのか?」

「今日は遊びで街から出ないからね」

苦みが少ない飲みやすいタイベのビールを魔法で冷やしてゴッゴッゴと。

「プハーっ」

「俺も貰おうか」

マーギンが旨そうに飲んだビールを見て皆も追加注文。自分のと同じように冷やしてやる。

「おっ、タイベのビールは軽くて飲みやすいのだな」

「ローズもこっちの方が好き? 俺は王都のビールが重くて苦手なんだよね」

「私もだ。ここのビールなら旨いと思うぞ」

特務隊は水みたいだな? と物足りないようだが、この気候と食べ物ならだんぜんこのビールの方が旨いのだ。

「マーギン、あげる」

カタリーナにはそれでも苦かったようで、一口飲んで渡して来た。

「お前ならこっちの方が好きかもしれんな」

南国フルーツパンチを頼んでやると、大きな器で出て来た。この値段でこんなに大きい器とは思わなかったな。

「わぁーっ、美味しいっ」

マーギンも一口飲んでみる。甘いジュースみたいだけど、アルコール度数は結構強いかもしれない。

「フェアリー、あんまり飲むな。そこそこ強いぞこのフルーツパンチ」

「えーっ、だってジュースと変わらないじゃない」

「甘いし、フルーツが入ってるからそう思うだけだ」

と言ってるのにフルーツを食べながら結構飲みやがった。

そして、

「ほら、帰るぞ」

「おんぶ」

当然こうなる。

「ローズ、おぶってやって」

「す、すまない。私も足がふらつくのだ」

カタリーナに飲んで飲んでとアルハラをされたローズも飲んだからな。

ふらつくローズはオルターネンが支え、カタリーナを結局おんぶすることに。アイリスとバネッサがいなくてもやる事が変わらん。

人目を引きながらビーチへと向かう。宿じゃなくてビーチで野営の方がいいらしい。

中央の広場を通ると、何やら演説をしている人がいる。結構な人集りになってるが、聞いているのはほとんどが先住民達だな。

ここからは何を言っているのか分からないが、踏み台に立って演説をしているのはフードを被った小柄な人だ。顔はよく見えないけど声も高いし女性だろう。そしてその横と後ろで同じく深くフードを被った人が6人程SPのように立っている。

楽しそうな雰囲気でもないので関わらないのが吉だな。そう思ったマーギンは中央広場を離れてビーチに向かったのだった。

ー中央広場での演説ー

「この堕落した街にいる同胞共よっ。今こそ我らが力を合わせねばならんのじゃっ。 タイベ…… いや、シャーラームーは新たなる魔物の脅威にさらされておるっ。このまま堕落した生活をしていると魔物に飲み込まれるぞっ」

ざわざわ

観客がこの演説を聞いてヒソヒソ話をする。

「あいつ本当にミャウ族なのか?」

「あぁ、多分本当だ。周りにいる奴らはワー族だろう」

「ミャウ族がこんな所まで来たってのか?」

「あぁ、噂じゃかなり強い魔物がミャウ族の周辺に出ているらしい」

「それで俺達まで駆り出そうってのか?」

「そうみたいだな」

「けっ、日頃は他の村の奴らを見下しているくせに、困った時だけ同胞扱いかよ」

「それに堕落した街ってなんだってんだよな?」

「シャーラームーとかいつの時代の話をしてやがんだ。ここはタイベだっての」

演説をしていた者はミャウ族の者だった。日頃から他の神を信仰する者達を下に見ているミャウ族に協力しようとする人は出てこないのであった。

ービーチー

テントの中でカタリーナとローズを寝かせて、皆ものんびり休憩。テントを開けっ放しにして日差しを遮ると、暑くもなくいい気候だ。

「マーギン、いつまでここで遊ぶつもりだ?」

「そうだね。泳ぐなら明日も遊んでもいいけど」

テントの中で寝転んでいるマーギンにオルターネンが話し掛けてくる。ハンナリーはマーギンの横で寝ている。

「泳ぐ?」

「この前来た時は水着を買って皆で泳いだんだよ」

「水着とは下着みたいなやつだな?」

「そう」

「ダメだ。姫殿下を人前でそんなはしたない姿にさせるわけにはいかん」

嘘吐け、皆の前でローズに水着を着て欲しくないだけだろ。

「俺は別にどっちでもいいよ。ちい兄様がダメと言うなら、泳ぐのは止めて明日出発しようか」

「うむ、それがいい」

「あと、今晩のカタリーナの護衛を任せていい?」

「どうしてだ?」

「会いに行く村の人がこの街に来てるか確認しに行くんだよ。時々出稼ぎにこの街に来ているから、ここにいたらすれ違いになるだろ?」

「そういうことか。分かった」

ということで、前にマーイが踊っていた店に晩飯の後に行った。

カタリーナの私も行く攻撃を振り切るのが大変だったのは言うまでもない。

前に来た時ほど混んではいない店内。飲み物を取りに行くと前の時と同じ女が居た。

「あーっ、焼きそばの人っ!」

誰が焼きそばの人だ。

「久しぶり」

「また来てくれるとは思わなかったよっ」

「今回は仕事の話をしに来たんだよ。マーイは来てんの?」

「ううん、刈り入れに帰ってから来てないよ。あっ、ははーん、仕事とか言っちゃって、わざわざマーイに会いに来たの? そんなにお熱になっちゃったんだぁ」

「違うわ馬鹿」

「って、嘘々。マーイから聞いたわよ。ずいぶんとナムの人達と仲良くなったんだってねぇ」

「しばらく村に滞在させてもらってよくしてもらったよ」

「良かったね。マーイ達は王国の人に偏見とかないけど、村から出ない人達はそうでもないからねぇ」

「ゴイルが先回りして色々と説明してくれたお陰かな」

「うんうん、こうして隔たりがなくなっていけばいいね」

「そうだね」

踊り子が踊っている間はここに誰もお酒を取りに来ないのでしばらくしゃべっていた。そして人がお酒を取りにきはじめたので踊り子タイムが終わったのだろう。

「じゃ、お邪魔してごめんね」

「うん、楽しんで行って」

席に戻ろうとした時に他の客の話が聞こえて来た。

「おう、知ってるぜ。広場にミャウ族とワー族が来てたんだろ?」

「おう、なんか強い魔物が出てるから力を合わせて倒さねばならんとかそんな話だったらしい」

「ミャウ族がこの街に来るなんて初めてじゃないか?」

「なんか堕落した街とか言ってたみたいだぜ」

ほぅ、あれはミャウ族だったのか。SPみたいなのはワー族だったんだな。もしかしてロブスンだったのだろうか?

しかし、強い魔物か。ラプトゥルが増え始めてるのかもしれんな。

マーギンはそんな事を思いつつ、1杯だけ飲んで店を後にしたのだった。