軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

贈り物

「あ〜面白かった」

今回のボス戦は楽しかったな。

手に汗握る激闘、派手で激しい猛攻。

こういうのを求めてたんだ。

「私達、行く先々でボスに出会ってる気がする」

バンダナと出会った時もマイセラ=ファガスと戦ってたもんな……ボスに引き寄せられるフェロモンでも付いてるんじゃねぇだろうな。

「むしろ、向こうからボスが来てくれるなんて最高だろ」

「私の事を猛獣の餌か何かだと思ってる?」

ここ数日はポーション制作で忙しかったからな……いやポーションも面白いっちゃ面白いんだが、刺激度で言えば戦闘より右に出る物は無い。

「エリア移動してたらこういう事もあるものさ。んで、報酬は何かな〜っと」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

水天昇の龍玉

攻撃力 150

魔力 100

消費魔力 100

制約 武器枠を2つ使用する

水天昇鯉コイ=ノボリからドロップする遺物。

透き通った龍玉の内部には水流が常に循環しており、使用者の魔力に反応して脈動する。

常に宙に浮き、所持者の意思に同調して飛来し攻撃する。

【水天昇撃】

種類 アクティブ

水の大砲を放つ事が出来るスキル。

膨大な魔力を消費する代わりに、前方一直線に極太の圧縮水流を射出する。

触れた者は攻撃力の300%のダメージを与え、防御力の50%を貫通する。

龍成昇華の水膜衣

体力 200

魔力 200

防御力 70

素早さ 30

自動魔力回復 1秒毎5

状態異常耐性 +30%

制約 防具枠と装飾枠を1つ使用する

水天昇鯉コイ=ノボリからドロップする遺物。

薄い水の膜が衣服のように身体を覆う。

背中には揺らめく、小さな水の翼が浮かび、状況によって龍の影が見える。

【龍成昇華】

種類 アクティブ

一定時間、水龍人形態に変身するスキル。

身体の一部が龍のように鱗と角が生え、水膜翼が成長する。

変身中、以下の効力を得る。

①空中を飛行する事が可能となる。

②攻撃の被弾時、水流が暴発し周囲の敵に攻撃力の50%のダメージを反撃として与える。

③スキル【水天昇撃】の威力が2倍となる。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「………………」

この遺物の性能を簡単に言えば、ドラゴン人間になれて、その上超極太水ビームを撃てるのか。

凄い面白そうだし、間違いなく強いんだけど……ビルドには合わないんだよなぁ……。

それに、これ使ってしまったら強くなり過ぎる気がする。

刺激を求める者にとって、余りにも自分がパワーアップし過ぎると物足りなくなるのが悩ましい。

「バンダナ」

「どうしたの?」

「この遺物要る?」

「………………うぇ?!」

倉庫に入れておくのも勿体無い性能しているのは確か。

なら、他のプレイヤーが使った方がまだ有用だ。

「俺がドロップした遺物……強いっちゃ強いんだけど、俺には必要無いものだし」

「えっと……本当に、本当にくれちゃって良いの?!」

「要らないなら適当に市場で売るか倉庫行きかになるけど」

「欲しい!」

[プレイヤー バンダナに『水天昇の龍玉』と『龍成昇華の水膜衣』を譲渡しました]

バンダナは【大津波】や【雷鯉】と言った、水攻めしつつ感電させるビルドしてるだろうし、もし今贈った遺物を装備してもそこまで戦闘スタイルは変化しないだろう。

「本当に贈られてる……?!」

……どうした、そんなに挙動不審になって。

そこまで俺が遺物くれたのが意外だったか?

確かに言われてみれば、ただで装備あげてる事になるから、「本当に貰って良いのか……?」って気分になるのか。

なる程、そりゃ動揺する訳だ。

「適当に遺物整理済ませたら先進もうぜ〜」

「……あ、うん!」

俺とバンダナは小舟を進ませる。

水の跳ねる騒音が遠くなる頃、大きな滝壺を抜けた先は緩やかな大河だった。

『レーボー大河』

涼しげな風が、流れと共に小舟を押す。

北に近付いているのか、非常に肌寒く感じる。

「体感現実の 秋(・) みたいな寒さだな」

「冷房の風当たってるみたい……」

……だから『 レ(・) ー(・) ボ(・) ー(・) 大河』ってか?

毎度思うが、運営のネーミングセンスはイマイチだな。

遺物の時のセンスは何処に消え失せてしまったんだ?

「そうだ……赤月、どう? 似合ってる?」

バンダナの身体を包む衣服は服というより水着に近い。

布地のような厚みは無いが、薄く透き通った水の膜が滑らかに流れているようだった。

決して零れ落ちる事は無く、意思を持ってそこに留まっている。

幾重もの水膜となって、衣の形を成していたのだ。

表面では淡い水色の光が巡り、川面を反射した日光を受ける度に鱗めいた紋様が一瞬だけ浮かんでは消えていた。

「早速着けてみたのか。中々綺麗だと思うぜ」

「えへへ……」

肩の辺りから二枚の水膜翼が伸びる。

薄く引き延ばされた水が羽のような輪郭を取り、風を受ける度にひらり、ひらりと揺れている。

「……でも、頭のバンダナは付けたままなんだな」

「当然でしょ! 私のアイデンティティだよ!」

バンダナを着けてないバンダナはバンダナに非ず――――

そう言いたげな表情でドヤっていた。

遺物を変えてもバンダナが装着されているのは、きっと重ね着の影響だろう。

「……だが、【龍成昇華】使った後どうなるんだろうな。角生えるらしいが」

「角?! バンダナ消えちゃう……?」

「それは使ってみない事には分からんが……」

流石にバンダナ消える事は無いだろ。

……多分。