作品タイトル不明
ポーション革命
『そよかぜ山』
『ソル街』の東側は山岳地帯が広がっており、草木は風に撫でられるかのように揺れ動いている。
海から訪れる穏やかな風が、常に『そよかぜ山』全体に流れているようだった。
「ギシギシ……!」
その風の流れに乗って運ばれるは巨大なタンポポの綿であり、その下の先には黒き種がぶら下がっていた。
バキュン!
俺はその黒き種に向けて『魂縫双銃』を放つと――――
ドカーンッッッ!
空中で爆発が起こる。
その爆風で、更に周囲の風が吹き荒れる。
「お前それ普通に環境破壊だろ」
俺が相対しているのは巨大なタンポポのようなモンスターであり、人間のように2本足でバタバタと忙しなく移動している。
タンポポの花の部分には 口(・) が付いており、そこから次々と綿の爆弾を流していく。
バキュン!
バキュン!
「ギシッ……!」
タンポポの食虫植物は蒼白なる弾丸に当たり、大きく仰け反ってしまう。
その瞬間、その身体から白い湯気のようなものが沸き立つ。
「ギ……!」
「どうした、綿爆弾は弾切れか? 魔力使ってたんだな、それ」
吸収の状態異常により、タンポポの食虫植物は綿の爆弾を生成が出来なくなってしまう。
そして――――
「ギ……ギ……!」
白い湯気が 赤(・) に染まる。
『縫魂礼装』に込められた【魂枯渇転化】により、徐々に体力を奪われ悶え苦しんでいる。
「ギ……」
そして、何も出来ずに息絶えるのだ。
[爆裂蒲公英を倒しました]
[500HGを入手しました]
「思ってたより強いな吸収。【魂枯渇転化】のお陰ってのもあるが、毒より扱いやすい気がする」
火力だけなら【紫蜜ノ血】による毒の方が出るが、吸収の本領は魔力を吸う事。
魔力が無ければ技出せなくなるし、もし魔力が空になったら、毒に上乗せして吸収が体力を蝕む。
『災極双転銃』のようなトリッキーな戦い方も良いが、こっちの方が状態異常で戦ってる感が出て良いな。
「そうだ、そうだ、採取もしとかないとな」
[『風揺れ草』×2を入手しました]
[『軽葉樹の葉』×2を入手しました]
[『逆風花』を入手しました]
戦闘に夢中で、つい採取を忘れてしまう。
クエストの時もそうだが、こういう地道な作業が後々重要になってきたりするんだよ。
マジで面倒くさいけど。
「そういや職業の中に 採(・) 集(・) 者(・) って居たよな。もし出会ったら何か素材売ってもらおうかな」
金ならいくらでもある。
所持金だけでも5万HGくらいあるし、金庫を含めたら15万HGはあるんじゃないか?
金があっても使う相手居なかったら宝の持ち腐れなんだよな。
「素材問題は後々解決していくとしてだ。適当に手に入れた素材ぶち込んで実験してみるか」
俺は『ソル街』から出る直前、雑貨店から『空瓶』と『清水入りボトル』の購入は済ませてある。
初めての自作調薬の準備はバッチリだ。
――――さて、一体どんな効果になる事やら。
俺は『調薬釜』を出して、『風揺れ草』と『軽葉樹の葉』、そして『清水入りボトル』の清水を混ぜる。
すると半透明な液体が生成され、『空瓶』で掬い上げた。
[『機動強化ポーション』を入手しました]
[調薬師熟練度2になりました]
[職業スキル【脆弱化】を入手しました]
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
機動強化ポーション
品質 良品級
特性 即効性
効果持続 30秒
プレイヤー赤月により作成された機動強化ポーション。
飲んだ対象の素早さと跳躍力が20%上昇する。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「機動強化ポーションだと?!」
これを飲むだけで30秒間機動力が上がるのか――――
噓だろ、その辺の素材だけで作ったポーションだぞ?!
調薬師面白っ……!
「それで、さらっと職業スキル獲得してたな。どれどれ――――」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【脆弱化】
種類 職業
調薬師の熟練度2で習得するスキル。
『空瓶』に使用すると『割れやすい空瓶』に変化する。
この『割れやすい空瓶』を使用したポーションは投げると即座に破裂し効果を撒き散らす。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「なる程、なる程、つまりこういう事だな? 【脆弱化】」
[『割れやすい空瓶』を入手しました]
俺は『空瓶』を『割れやすい空瓶』に変化させる。
その上で、『調薬釜』に先程の『風揺れ草』と『軽葉樹の葉』、清水、それに加え『逆風花』を加える。
すると――――
[『割れやすい機動弱化ポーション』を入手しました]
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
割れやすい機動弱化ポーション
品質 良品級
特性 即効性、脆弱性
効果持続 30秒
プレイヤー赤月により作成された割れやすい機動弱化ポーション。
当てた対象の素早さと跳躍力が20%低下する。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「素早さと跳躍力の低下来たぁぁぁぁぁ!!!」
これ投げて当てれば、相手の機動力はノロノロになっちまうって事だ。
素晴らしい!
これぞ、状態異常ビルドの俺が求めていたアイテムよ!
「よっしゃー! さっきの素材集めまくるぜ!」
俺は悪人面を浮かべながら『そよかぜ山』を駆け回った。