軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

地獄に対する遠吠え

[「蜂蜜食べたいな」をクリアしました]

[報酬500HGと『遺物強化剤』を入手しました]

[ランク28になりました]

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」

俺のアイテム欄には『遺物強化剤』が45個入っていた。

正直、これだけ集まればクエストの未達成率も大分減ってきている。

最初の時と比べて、3分の1は達成で埋めたはずだ。

それに、俺は難易度が低い所から順にやっている。

少しづつクエストは難しくなり、刺激が増えてきた。

だが刺激度が1から3に変わった所で、死闘の刺激度100には到底届かない。

「これだけあれば、強化には事足りるだろ……多分」

こちとら45個も『遺物強化剤』があるんやぞ!

そりゃもう大幅ステータスアップに決まってるぜ!

ちなみに現地点でのステータスがこれだ。

ステータス

体力 150

魔力 125

攻撃力 50

防御力 50

素早さ 30

毒効力 1毎2

自動魔力回復 1秒毎3

状態異常命中 +100%

そして――――

45個注ぎ込んだ結果がこう!

ステータス

体力 150

魔力 150(+25)

攻撃力 60(+10)

防御力 50

素早さ 40(+10)

毒効力 1毎3(+1)

自動魔力回復 1秒毎4(+1)

状態異常命中 +100%

魔力を5個、攻撃力を10個、素早さを10個、自動魔力回復を10個、毒効力を10個注ぎ込んだ。

え、あんまステータス変わらんって?

何を言うか、凄い変わってるぞ。

ただ、 レ(・) ー(・) ト(・) が違うだけだ。

魔力は1個で5上がり、攻撃力と素早さは1個で2上がる。

そして自動魔力回復と毒効力は10個で1上がる。

「あれだ、特殊なステータスだからレートがえげつないんだな……はっはっは」

……ざけんな!

せめて、5個で1なら……まぁ分からんでもない。

10個で1とかふざけてんのか!

ふざけててるだろ!

「マジで、本当に強化しょっぱい」

これならダンジョン潜った方が良いんじゃないか?

……いや、いやいや、塵も積もれば山となるだ。

俺の行動は無駄にはなってない……はず。

「あ〜もういいや、『ノドカ山脈』探索しよ」

ここ丸一日はクエストやってたからな……気分転換にでもなるだろ。

ずっと単調なクエストばっかやってると気がおかしくなりそうだ。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

『ノドカ山脈』

牧歌的な空、荘厳な山の風景、澄んだ風。

心なしか、その景色は記憶よりも輝かしく写った。

まるでクエスト説明文で穢れた視界を浄化してくれるような、そんな気さえしていたのだ。

だが悲しいかな。

例えるなら、ワインの樽に一滴の汚水を入れたら全部が汚水になるがの如く、その景色に1人の影が垣間見えていた。

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!! やっと虫地獄から解放されたぞぉぉぉぉぉ!!!」

プレイヤーネーム“ぽぽたん”。

彼女は、誰も居ない山に向かって遠吠えを発していた。

その文章の内容から、相当『ムシムシ密林』が最悪な場所に写っていた事を示唆できる。

だがそれよりも、たった1人で叫ぶ光景を、タイミング良く目撃してしまった俺は固まっていた。

「……あっ」

そして、ぽぽたんは後ろからその光景を盗み見していた俺の存在に気付く。

一瞬、静寂が流れた。

これは戦闘中に起こる余白ではなく、単純に気まずい空気が流れた時に起こる間である。

「失礼しました」

「あっ、ちょ、ちょっと待って、お願い、待って!」

「いや、本当に済まん。誰にも言わないから、好きなだけ叫んでくれ」

まぁここは山の上だからな……気持ちは分かる。

俺もあのクエスト地獄の文句の1つや2つ言ってやりたい気分なんだ。

「違う、違うもん! あの気色悪い虫から解放されたから、それで感極待って――――」

「あぁ、分かっているとも。ここでの事は何も聞かなかった事にするし、何も見なかった。そう、俺は今来た」

「✕◇△▼◀◆■☆〜!!」

ぽぽたんの詳しく聞き取れない声が木霊した。