軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

チルの合間、その暇潰し

今日も元気にログインを果たした俺はやっぱりクエスト消化をしていた。

やはり、今の構成で強くなるには地道に『遺物強化剤』を使っていくしかない。

――――だが、単調なクエスト程苦行なものだ。

[「白き花、咲き誇る」をクリアしました]

[報酬300HGと『遺物強化剤』を入手しました]

「これで、『遺物強化剤』8個目か」

血湧き肉躍る戦闘とは違って作業みたいなもんだからな、こういうクエストって……。

採取や討伐、運搬に防衛……全く異なる種類のクエストをこなしても刺激が全く足りない。

「……ダンジョンに毒されてしまったかな」

「あ、やっと見つけたにゃ」

声の方を振り返ると、そこには猫のカチューシャを付けた少女が立っていた。

プレイヤーネームは“猫仙人”。

口元には口髭を付けているが、全く爺さん感を醸し出せていない。

「おいおい、こいつがあのBAN様とやり合ったプレイヤーと同一人物かよwww無茶苦茶シナシナなってねぇか?w」

その隣には凄いヘラヘラしている、いかにも盗賊の風貌をした柄の悪い男性が立っている。

プレイヤーネームは“税金徴収者”。

何かムカつく喋り方するな、こいつ……。

しかも、BAN 様(・) だぁ?

「こちとら、クエスト消化の真っ最中だ。そりゃ作業過ぎてシナシナなるっての」

「へぇwだからBAN様とザリガニ釣りしてたのかwww」

「は? お前、それ引き合いに出すかよ」

こいつ、BAN視聴者――――

いやBAN信者か?

どちらにせよ、昨日のあれガッツリ見られてたのか……。

「……んで、何か用か?」

「おぅ、お前凄い眠たそうな顔してるにゃ。どうせなら、私達とバトルするにゃ!」

「ザリガニ釣りマスターの実力見せて下さいよwww」

なんだ決闘しに来たのか。

……上等だ。

返り討ちにしてやる。

それと税金徴収者、お前はフルボッコ確定な。

「まず猫仙人からだ。構えろ」

[決闘申請が承認されました]

次の瞬間、周囲の空間が歪む。

景色が再構築され、外界から切り離されていった。

『決闘場 花園』

今回決闘城に選ばれた景色は綺麗な花園だった。

地面には草と花がズラリと敷き詰められており、爽やかなそよ風に揺られている。

[決闘開始まで]

両者、武器遺物を構える。

[3]

俺は色の異なる二丁拳銃を取り出す。

右銃は赤く煌めいており、俺に似合う色合いをしていた。

左銃は青く輝いており、赤を基調とした衣装に対して一際目立つ色合いをしていた。

[2]

対する猫仙人は鉤爪を構える。

まるでクラウチングスタートを取るかのような姿勢を取り、身体を限りなく低くしている。

[1]

俺は真っ直ぐ、猫仙人の方を捉える。

さて、 何(・) 秒(・) 耐えれるかな。

[0]

[決闘開始]

「【極性災雷】」

次の瞬間、猫仙人は俺の攻撃を横に回避する。

類稀なる瞬発力、それが研ぎ澄まされているのか、雷弾の雨の中、フィールドのあちこちを駆け回る。

「【狂獣鉤撃】!」

猫仙人からは一瞬、獣にも似た殺意を放つ。

他のプレイヤーには決して出せぬ原始的な圧が籠もった攻撃は、俺の喉元へと――――

「おっと」

攻撃される寸前、ギリギリの所で躱す。

その最中、俺は一発胴体へと赤の雷弾を撃ち込んだ。

「ぐぬぬ……」

猫仙人はそれでも怯まずフィールドを駆け回り続ける。

俺の隙を的確に狙おうとしているのか。

タイミング良く、丁度俺の四角となる位置にて攻撃を仕掛けるに違いない。

なら――――

バンッ!

「にゃ?!」

俺は青の雷弾を 自(・) 分(・) の脚に撃ち込んだ。

[電磁(青)の状態になりました]

「にゃ……にゃ?!」

猫仙人は徐々に宙へと浮かぶ。

これにより、攻撃のタイミングをズラされてしまう。

それに加え、猫仙人と俺とでは、異なる性質の電磁がそれぞれ付与されていた。

「にゃー!」

突如、猫仙人が俺の方へと引き寄せられていく。

それと同時に俺も猫仙人の方へと引き寄せられていく。

「終わりだ」

俺は雷弾を連射する。

身体同士が近付く直前、その刹那――――

猫仙人はポリゴンとなって散った。

[プレイヤーネーム 赤月が決闘に勝利しました]

[元の空間に戻ります]

決闘が終了し、俺と猫仙人は元の場所へと戻された。

電磁の実験は成功と言える。

やはり、自分に撃っても効果があった。

ただ……当然だが、ダメージは喰らうな。

余裕がある時にやってみる程度で良いかもしれない。

「にゃ、にゃにが起きたにゃ……?」

「簡単に言えば、お前と俺に磁石の性質付与して、俺とお前が引き寄せ合った」

「はぇ……流石赤月にゃ……!」

「はい、じゃ次」

「え、あっ、俺っすか?w」

観戦していたのか、何やら税金徴収者はポカンと間抜け顔を晒して立ち竦んでいた。

もっと、その顔歪ませてやろうか?

「お前以外誰が居るんだよ。煽っておいて不利になったら即退散なんて……そんな格好悪い事しないよな?」

「あっ……終わった……」

[決闘申請が承認されました]

その後、俺は何もさせず一方的に勝利した。