軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

肉よ、獲物となるのはどちらか

今持っている武器と言えば、『簡易ナイフ』だけだ。

振り回しやすいが、リーチが短く攻撃を当てにくい。

対する目標は飛び回る啄み鴉と来た。

普通なら遠距離武器を調達する所から始まるのかもしれないが、そんな事をすれば日が暮れるのは分かりきっている。

「店長、余ってる 肉(・) 無いか?」

「……肉? あるにはあるが、何に使うんだ?」

俺はその辺の飲食店に入り、そこの店長と話をする事に成功した。

俺の作戦には肉が必要不可欠となる。

クエストの内容には「肉を求めて他のモンスターを追い回す」と書いてある。

肉に釣られた鴉を仕留めようって算段さ。

「……そう言う事なら持っていけ。それと、こいつも持って行きな」

[『普通の牛肉』✕10を入手しました]

[『手榴弾』✕5を入手しました]

「……良いのか?」

「あぁ、実の所俺達も啄み鴉に被害に遭ってるんだ。奴らを仕留めてくれるなら安い出費さ」

肉を求める習性上、飲食店の食料も狙うのだろう。

空に飛んでは銃弾すらマトモに当たらない。

そう考えれば、このやり方が正攻法な可能性すらある。

「あぁ、きっちり仕留めてやるよ」

「俺からも頼んだぜ」

寄り道を済ませた所で早速目的地へと向かう事にした。

『カラカラ荒野』

煌めく日照りに覆われた枯れた大地。

水分という水分は干上がっているようで、植物と言えば風に運ばれるタンブルウィードと刺々しいサボテンくらいだ。

フィールドにはモンスターが闊歩しており、来たるプレイヤーを待ち構えようと鼻を鳴らしている。

そんなモンスター達に見つからないように身を潜め、忍び足で目的地に向かう。

「ここか」

目的地の場所は渓谷だった。

遠目で確認する範囲だけでも、不穏な雰囲気を感じさせる程にモンスターの気配が 無(・) い(・) 。

他の場所では多くのモンスターが呻きを上げているが、ここ周辺だけ静寂に包まれている。

まるで、モンスターが渓谷を避けているようだ。

俺は先程手に入れた普通の牛肉を渓谷の入り口に置いた。

ここで大切なのは出し惜しみせず全ての肉を置く事だ。

どうせ倒すなら一気にやった方が良い。

「カァカァ」

少し離れた場所へと身を隠せば、狙い通り複数の啄み鴉がやって来た。

これを見よがしに肉を貪り喰らう啄み鴉に向かって、2個の『手榴弾』を投げ込んだ。

ドカーン!

[啄み鴉✕8を倒しました]

[40HGを入手しました]

[『黒羽のダガー』を入手しました]

[肉を啄む黒き影をクリアしました]

[報酬250HGを入手しました]

[ランク3になりました]

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

黒羽のダガー

攻撃力 10

たまに啄み鴉がドロップする遺物。

血肉を求め彷徨い、そして朽ち果てるのだ。

【捕食葬送】

種類 攻撃

消費魔力 2

強烈な刺突を行うスキル。

攻撃力150%のダメージを与える。

与えたダメージの10%を体力及び魔力を回復する。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

大爆発を起こし、啄み鴉を巻き込んで倒す事に成功した。

作戦は成功、クエスト報酬250HGはデカいな。

その上、このレアドロップと思わしきダガー。

スキル【捕食葬送】の回復は序盤では地味に助かる効果と言えるだろう。

どちらにせよ依頼は達成、さっさと戻――――――

「何だ?」

一瞬、殺気を飛ばされたような感覚に襲われる。

その在処は渓谷の奥であり、より一層不気味さを際立たせているようにも思える。

「……へっ、売られた喧嘩は買わないとな」

きっと、その殺気は威嚇のような物だったのだろう。

だがプレイヤーからすれば「倒してくれ」と言ってるようなものじゃないか。

好奇心という名の餌を吊るされて、行かないプレイヤーなど存在しない。

[未知のダンジョンを発見しました]

ニヤリと笑みを零す。

まだ誰も知らぬダンジョン――――きっとこの先にはとてつもない強敵が待ち構えているのだろう。

それと同時に、豪華な報酬も待っているのだろう。

「行かない選択肢なんて無いね」

俺はダンジョンの奥へと歩みを進めた。