軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

鴉穴に入らずんば血肉を得ず

『腐れ鴉穴(B1F)』

中は肉が腐り落ちたような臭いで充満しており、とても普通のモンスターが生息出来るような場所に思えない。

例えるなら 生(・) 物(・) の(・) 墓(・) 場(・) と形容すべきであり、一目見ただけで危険な雰囲気を漂わせている。

「好き嫌い分かれそうなダンジョンだな。俺は好きだが」

啄み鴉の住処に相応しい地獄、地面に骨が散乱し、血と肉が零れ落ちている。

彼らの骨塚であると予想出来るが、願わくばもう少し丁寧に死体を処理して欲しいものだ。

「カァカァ!」

目の前には夢中になって死体を食べる鴉を発見した。

だが普通の啄み鴉と違い、体毛が紅く染まっている。

「【捕食葬送】」

俺は迷わず【捕食葬送】を使用し刺突を行うと、紅い鴉は大きく仰け反り翼を使って体勢を立て直す。

その隙を狙って懐まで駆け寄り喉元を2回斬りつける。

「カァ……!」

[血染め鴉を倒しました]

[50HGを入手しました]

[ランク4になりました]

「結構硬いな」

血染め鴉――――

スキルによる攻撃1回、通常攻撃2回でようやく倒れる敵が出てくるのか。

分かってはいたが、難易度的に今行くべきじゃないレベルのダンジョンな可能性がある。

「……燃えてきた」

だからこそ、ゲーマーは燃えるのだ。

多少の苦行を経た後の報酬程素晴らしい物は無い。

「あれは……!」

探索を進めると、淡く光る箱を発見した。

間違いない、あれは『宝箱』だ。

「……知ってた。そう簡単には取らせてくれないよな」

その前方にはスヤスヤと眠る血染め鴉が居た。

その血染め鴉は先程見たものより一回り大きい。

「十中八九、中ボスだろ」

俺は手に持った『手榴弾』1つを投げ込んだ。

「カァ?!」

ドカーンと寝起きドッキリを済ませた直後、すぐさま俺は【捕食葬送】を差し込む。

「【捕食葬送】寝起きアタックゥゥゥゥゥゥ!!!!!」

「カァ?!?!」

今……怯んだな?

今、怯んだな。

今、怯んだなァ!

「シァァァァァァァ!!!」

俺は『黒羽のダガー』を振り回し、体勢を立て直す前に身体を切り刻んだ。

喉元、眼球、翼の付け根――――

「カァ!」

大きな血染め鴉は口から酸を吐き出し反撃を試みるも、そこにはもう俺は居ない。

「【捕食葬送】ッ!」

後ろに回った俺は渾身の刺突を行い、漆黒の刃を身体へと突き刺した。

大きな血染め鴉は猛攻撃に耐えれず、命を落した。

[血将鴉を倒しました]

[200HGを入手しました]

[『血酸嘴砲』を入手しました]

[ランク6になりました]

「流石中ボスって所か。一筋縄では行かなかったな」

『黒羽のダガー』が弱いのか、血将鴉が強いのか……。

この報酬を見る限り後者だろう。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

血酸嘴砲

攻撃力 30

たまに血将鴉がドロップする遺物。

血を啜る鴉の嘴は、肉を溶かす酸を宿す。

【血腐食霧】

種類 即座

消費魔力 5

弾の着弾地点に血腐食霧を散布させるスキル。

血腐食霧は5秒間散布させ、命中した敵は腐食状態と出血状態となる。

腐食状態となった者は防御力が20%低下し、出血状態となった者は他の状態異常の効力を上昇させる。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「面白いスキルだな。これを機に状態異常特化のビルドを組むのもアリか」

スキル【血腐食霧】――――

要するに相手の防御力を下げるデバフという事だな。

『血酸嘴砲』の消費魔力は5、つまりこれを使う毎に魔力を5持って行かれる可能性は高い。

これを補う防具が必要だが……この『宝箱』にそれが入ってるかどうかだな。

[『血羽の屍外套』を入手しました]

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

血羽の屍外套

体力 40

魔力 25

防御力 20

状態異常耐性 +40%

腐れ鴉穴のダンジョンにて入手可能な遺物。

血に濡れたような深紅の鴉羽で作られた外套。

それ即ち、死肉の匂いを纏う者である。

【死肉伝播】

種類 常時

状態異常の効力を上げる事に特化したスキル。

状態異常を受けた者の被ダメージを20%上昇させる。

更に状態異常を受けた者を倒すと周囲の敵へ状態異常を拡散する。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「おぉぉぉぉぉ! 中々良い防具じゃないか!」

例えば敵を攻撃して腐食状態と出血状態にすれば、【血腐食霧】の効果で防御力をダウンさせる。

そして【死肉伝播】で与ダメージを上げつつ、倒したら他の敵も腐食と出血だらけになる――――

面白い戦い方になりそうだ。

「待ってろよ、ダンジョンボス! 今倒してやるからな!」

俺は興奮を抑えきれず、更に奥へとダンジョンを駆け抜けて行った。