軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

まもなくサンド街、サンド街です

『Relics Online』のリリース当日、事前ダウンロードを済ませた俺は開始時刻に合わせてVRヘッドセットを装着した。

俺はどのゲームでも 初(・) 見(・) を楽しむタイプのプレイヤーだ。

事前情報を入れず、初日は敢えて効率を考えない。

そういうのは数日経って初めて考えるべきなのだ。

「ここは……」

ガタンゴトンと揺れる音、誰も居ない静寂が一定周期で鳴る音を際立たせているようだった。

窓の奥には荒れた大地の景色が広がっているが、モヤがかかってはっきりとは見えない。

ふと画面が出現し宙に浮かぶ。

[ようこそ、『Relics Online』へ!]

[まずは自身のボディを作成して下さい]

すると目の前に身体と操作する為の画面が出現した。

VRMMOで良くあるキャラメイクだろう。

「うーむ……こういうのは一風変わった格好にしてみたくなるが……性別は男性、赤髪の長髪、赤黒い瞳、ギザ歯――――これだけでも個性が出てきたんじゃないか?」

身長は高めに設定し、スタイルも良くしておこう。

後は格好良い服装を求めたくなるが……初期服しか無い。

これからの防具に期待するしかないか。

「よし完成」

[ボディの登録を確認]

[プレイヤーネームを記入して下さい]

「“ 赤月(アカツキ) ”」

俺はどのゲームでも名前を統一する派なんだ。

赤(・) 月(・) と書いて“アカツキ”と読む。

ここで単純に 暁(・) と書かずにモチーフカラーの赤を使うのがオシャレポイントなのさ。

[プレイヤーネームの登録を確認]

[今よりチュートリアルを開始します]

突如として電車が急停車した。

キキーッとした金切り声を上げ、次第に収まる頃には扉が開かれていた。

『サンド街』

乾いた風が、砂埃を巻き上げながら通りを抜けていった。

大通りの両脇には、古びた木造の建物が並んでいる。

看板の塗装は所々剥げ落ち、酒場の扉は軋むような音を立てて揺れていた。

遠くで風に転がされるタンブルウィードが道を横切り、昼下がりの太陽は容赦なく街を照りつける。

「西部劇みたいだな」

まるでカウボーイやガンマンが出てきそうな景色。

流れる砂の風、その粒子一粒にすら製作者の拘りが垣間見えるようだった。

そんな感動を横目にクエストの画面が表示される。

[ハンター協会の『集会所』に行こう]

「……あそこか」

丁寧にも、目的地にはピンで示されていた。

向かう道中では荒くれ者同士がボードゲームを楽しむ様子だったり、酒で酔い潰れた老人が外でぐったりしてる様子などが見える。

こう言った街の様子を見るのは案外貴重だったりする。

数時間後にはプレイヤーで溢れかえるからな。

[受付と会話しよう]

目的地の『集会所』に入るとタスクが更新される。

何をやれば良いのか明確にしてくれる辺り、中々丁寧なゲーム作りしてるな。

世の中には雑なゲームなんて山のようにあるものだ。

室内は清潔だった。

いや、清潔に さ(・) せ(・) ら(・) れ(・) た(・) 。

入った瞬間、扉の上にある何かが砂埃を吸い取ったのだ。

西部劇風だとは思っていたが、こう言ったファンタジー要素もあるという訳だ。

「こんにちは」

「こんにちは、ハンター協会への登録でしょうか」

「あぁ」

「では、手を前に出して下さい」

言われるがままに手を出すと、一瞬小さな懐中電灯のような物で光を当てられた。

その小さな懐中電灯を機械に入れ、隣の古臭いパソコンにて手早くデータを入力する。

そして、その機械からカードが飛び出した。

[『登録カード』を入手しました]

「カードの内容をご確認下さい」

メニューにあるアイテムのアイコンをタップすると、アイテム欄が表示される。

その中に先程入手した登録カードがあり、使用するとカードの中身が表示された。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

名前 赤月

階級 ランク1

所持金 0HG

武器 簡易ナイフ

武器 なし

防具 ルーキーの服【初心者保護】

装飾 なし

装飾 なし

装飾 なし

ステータス

体力 10

魔力 5

攻撃力 5

防御力 5

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察するに、『登録カード』がキャラのステータス画面の代わりとなるのだろう。

だがMMOで良くあるレベルの代わりに階級があり、職業の概念が無いのは気になる。

それに、この【初心者保護】というのは何だ?

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ルーキーの服

防御力 5

一番最初に配布される服。

付与された加護は荒くれ者を寄せ付けないと言う。

【初心者保護】

種類 常時

他プレイヤーからのダメージを受けない。

ただし、自身がランク10以上となった場合効力を失う。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

良くある初心者に対する救済をスキルとして落とし込んだという訳だ。

これがあるという事は、このゲームには P(・) K(・) が可能という事なのか……恐ろしい限りだな。

さっさと現れて金づ……PKKさせて欲しい所だ。

「質問だが、階級を上げるにはどうしたら?」

「モンスターを討伐するか、依頼を達成するか、ダンジョンを攻略する事で階級ポイントを与えられます。一定量上がりきったら階級が上がり、様々な援助を受けられるようになりますよ」

強くなる為のレベルではなく、より多くのコンテンツを解放する為のランクだろう。

プレイヤー間によるレベル格差をある程度解消しつつ、階級を上げる意欲を促す。

このゲームの運営はやり手だな。

「依頼を受けるにはどうすれば?」

「あちらの『クエストボード』から受けられますよ」

[『クエストボード』で依頼を受けよう]

『クエストボード』の前に立つと、複数の依頼が張り出されているのが分かる。

だがそのどれもが採取依頼だったり、簡単なモンスターの討伐依頼だったり、良くも悪くも序盤を思わせる物ばかり。

「適当に受けてみるか」

[クエスト「肉を啄む黒き影」を受注しました]

俺が選んだのは“啄み鴉”の討伐依頼だ。

見るからに空を飛び回る厄介なモンスターだろうが、ある作戦を思い付いた。

それが刺されば、案外楽に攻略出来るかもしれない。

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肉を啄む黒き影

達成条件 啄み鴉✕5の討伐

報酬 250HG

依頼内容

最近、サンド街周辺で啄み鴉が多く見られるんだ。

よく肉を求めて他のモンスターを追い回す程の凶暴なモンスターだよ。

最低でも5体は討伐をお願いするよ。

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